正義を纏う男②
〈ジャスティス〉
「警備の皆、よく来てくれた!!!!」
大きな声が、横のスピーカーを介さずとも伝わる。
周りを見ると、耳をふさいでいる人もちらほらいた。
〈ジャスティス〉
「これよりぃ! シャインロック町に正義を行う!!!」
あたりから、割れんばかりの雄たけびが聞こえた。
〈レーナ〉
「やっぱり、いつ見ても人気だけはあるんだな」
〈ミドリ〉
「…ゴーさんって、どんな人なんです?」
〈レーナ〉
「私からはちょっと…」
なぜかレーナさんが口を詰まらせる。
師匠と弟子の間柄、秘密みたいなこともあるんだろうか?
「なんだ? おまえさん、ゴー・ジャスティスを知らねぇのか?」
隣のおっさんが少し威圧的に話しかけてきた。
〈隣のおっさん〉
「心配すんな!! おれが教えてやろう!!!」
優し。
あのお方、ゴー・ジャスティスは、まさしく正義そのもの!!
どんな時も、どんな相手にも立ち向かう強靭な心と体!!
そして警備史上唯一、不殺での最高位到達だな!!
〈ミドリ〉
「最高位? なんの?」
〈隣のおっさん〉
「お前さん何も知らないんだな… いいか?」
位ってのは全部で四つ。
低級官、上級官、特別官、そして最高位の四つだ。
最高位になると、自分で称号を決めることができるのだ!!
〈隣のおっさん〉
「それが、正義を纏う男ってわけだ」
〈ミドリ〉
「へぇ~」
レーナさんはこの話を、どこか興味なさそうに聞いていた。
ジャスティスの話は、まだ続いていた。
〈ジャスティス〉
「ここ、シャクシャイン町に、犯罪集団がいるという通報がはいった!」
「わが正義の名のもとに、ローラー作戦を開始する!!!」
うわ、正義ひでぇ。
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「外、騒がしいね」
「どうせ馬鹿な警備の連中だろ」
「数……どんくらい?」
「…80ちょいかな?」
「多いね~ ローラーかな?」
「まぁ、都合はいいでしょ」
「二分後?」
「うん」
「あそこの目立ってるデカブツでいいの?」
「そう、殺せ」
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あまりにも突然。
あまりにも突然だった。
突然、二度発砲音が聞こえた。
ドサッ、なにかが倒れる音がした。
警備の人々のもっと前、ジャスティスが凶弾に倒れていた。
後から分かったのだが、その時に放たれた弾丸はジャスティスの腹部と足を貫いていたらしい。
…普通、撃たれた人を心配するだろう。
しかし、警備の目線は別のところに集中していた。
もちろん、僕とレーナさんも。
ジャスティスの背後の、酷くさびれたマンションの屋上に、誰かが立っている。
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〈ミーヤ〉
「二人ともおそいなぁ~」
私たちは、警備の集合場所の近くで待機していた。
理由は「まだ君ら犯罪者だから」だそうだ…
まぁ、そうだよな。
私は、荷物の中から、バットを取り出した。
〈セレ〉
「え、それは何?」
〈ミーヤ〉
「バットだよ、え? バット知らない?」
いやいや、こんなとこでバット出すって…
おい、素振りすんな、すんなって、スイングはや。
〈ミーヤ〉
「私野球すきなんだよね~」
〈セレ〉
「そうなんだ」
〈シャル〉
「よっ! 北部リーグの三冠王!」
シャルがはやし立て、ミーヤが踊る。
最近こんな会話のパターンだ。
退屈しないからいいけど、私には疑問があった。
その質問をしようとしたとき、銃声が聞こえた。




