NIGHT飛行と夢③
彼女は分かってなかったらしい。
あの頃も、さっきも、殺そうと思えば殺せた。
私の斬撃は、速い。
気づいた瞬間に、相手の身体は崩れ去る。
さっきの攻撃全て、全力の15%程度だった。
その斬撃を出せない理由は二つ。
一つ目は、その斬撃は周りを巻き込むという事。
速すぎる速度によって、空気圧が一点に集中。
辺り5メートルはその斬撃の影響を少なからず受けるだろう。
今、屋内で戦っているのだ。
使えば、私自身にも危険が及ぶだろう。
そして二つ目。
私は前回、その斬撃を使ったにも関わらず彼女に負けた。
彼女の能力が分からない以上、使うのは危険だ。
だが、ここまで頭にきたのは久しぶりだ。
彼女は分かってなかったらしい。私は、気が短い。
反射的に、私はそれを使った。
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「痛ッッ!」
顔に痛みが走る。
嘘だ、僕は何もされていないはずだ。
思わず顔を触った、顔には切り傷が付いていた。
「まずい、逃げるよ!」
キャルロットが僕の手を引く。
手を引かれ、出口をくぐった時、僕は振り向いた。
…身体に大きな切り傷が付いていたセレちゃんと、
少し笑ってるように見えるミーヤさんがいた。
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斬られた。
斬撃は体を貫通して、後ろの壁が壊れる音がした。
もう助からないだろう。
「あれぇ、これで終わり?」
「…」
私は、地面に座り込む。
これから、私は死ぬ。
「なんでだろうね」
「…」
「なんでこの前は負けたんだろうね、私は」
「…」
「じゃあさよなら、可愛い負け犬さん」
彼女は遠ざかっていく。
意識が薄れていく。
最後に思い出したのは、忌々しい、親の顔。
さてと、終わったなぁ〜
これで、301人目かぁ。
ミドリくんには悪いけど、仕方ないかなぁ〜
…どうやって逃げるかなぁ。
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「ここなら安全だよ」
僕とキャルロットは、警備署前の、広場まで逃げた。
「ありがとうございます、シャルロットさん」
「…キャルでいいよ、大丈夫かい?」
「大丈夫です」
僕らは来た道を振り返る。
逃げていた最中、音はしなくなっていた。
戦いは、もう…
セレちゃんを助けに行かなきゃ
セレちゃんを助けに行かなきゃ
セレちゃんを助けに行かなきゃ
「セレちゃんを助けに行かなきゃ」
「…私は、止めないよ」
「!」
「でも、約束してくれるかい?」
「彼女は、私の獄友でね。
できればでいいよ、殺さないでほしい」
「………分かったよ」
「…やっぱ付いてくよ、君、絶対殺すだろうし」
もう一度、僕たちは牢屋に向かった。




