NIGHT飛行と夢②
最初に動いたのは、セレちゃんだった。
残像だけを残し、ミーヤの背後に回り、斬りかかる。
「ん〜残念」 ミーヤは、難なく背後の攻撃を躱す。
「あなたさぁ、こういう時能力使わないよねぇ。
二年前もそうだったでしょ?」
「そうですね、あまり役に立たないので」
「それは良かったぁ〜」
ミーヤが鎌を出す。
毎回思うけど、体の何処から出てるんだろう?
「あの、あれって何処から出してるんですかね?」
「あぁ、あれは最初に習う基本みたいなもんだよ。」
死神は、全員能力を持っているって知ってるかな?
顕在や潜在とかを持たない一般ピーポーも使える。
原理は簡単。
大きいポケットをイメージする、ただそれだけ。
「ま、人間は生まれながらに能力なんて持ってないけどね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は、可愛いものに目がない。
私の住んでた家には、ぬいぐるみがぎっしりある。
抱きながら寝ると、たまにいい夢が見れる。
牢屋の中なんてそんな物あるわけない。
ミドリくん、抱きしめると最初は抵抗する。
でも次第に抵抗が弱くなって、なすがままになる。
それがすげぇ可愛い、母性が溢れ出てくる。
まだ抱きつき足りないから。
ミドリくんを取られるわけにはいかない。
私は鎌を出す。
私の能力は、斬撃を飛ばす。ただそれだけ。
でも、知恵と工夫、ひらめきと行動力さえあれば
何でもできる、無敵の能力。
彼女も、それぐらいはわかるはずだ。
…私は一度、彼女に負けた。
問題は、何故、どうやって負けたのかが分からない事だ。
あの時は、気づいたら牢屋の中にいた。
まるで夢だったみたいに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
激しい攻防が目の前で起こる。
両者、徐々に傷だらけになっていく。
僕は、知り合いの戦いを見ていられなかった。
「そういえば、予定変更、今日逃げるよ」
「…まあ、そうでしょうね」
「私そろそろ逃げていい?」
「(´・ω・`)」
「…ごめんね?」
息が詰まる。
あの日と同じ感覚がする。
目の前には、同じ相手が立っている。
「何ぼーっとしてんだよ!」
彼女が鎌を振り下ろす。
無数の斬撃が宙を舞って、私の元に飛んでくる。
避ける、躱す、弾く。
防戦一方だった、一転して相手の手数に押されていた。
間合いの内側に入っても、斬撃のカウンターが飛び、会心の一撃を与えられずにいる。
…正直、出せる手がない。
なんなのこいつ? 斬撃全部躱すんだけど?
能力なし? 基本的な身体能力だけで攻略されている?
一度、距離を取ろうにも彼女は接近してくる。
そのたびに斬撃を出している。
正直、おおよそ囚人の体力じゃすぐ限界が来る。
私はすでに疲れていた。
それを悟られないようにこっちから攻める。
((ジリ貧だ、何か手は?))
((そうだ!!))
「…あの。」
「うん。」
「さっきから戦いながらすっごいこっち見てません?」
「うん、二人とも見てるね」
「やっぱ逃げてi」
言い切る前に、彼女たちはこちらに飛んでくる。
先についたのはミーヤだった。
僕の肩に手を乗せ、鎌を首にかけた。
ミーヤ「参った参った」
セレ「は?」
ミーヤ「いやぁ、君強いよぉ」
ミーヤ「ここでねぇ、疑問をぶつけていい?」
セレ「…何です?」
ミーヤ「何で私たち、戦ってる?」
ミドリ「…手出したのそっちでしょ。」
ミーヤ「たしかに」
ミーヤ「でもさ、君はミドリくんを探しに来たんじゃない?」
セレ「まぁ、そうですね」
ミーヤ「あきらめてくんない?」
セレ「へ?」
ミドリ「え?」
セレ「正直、私はもう疲れた。」
ミーヤ「じゃあそれでいい?」
ミドリ「ちょっと?」
「だからさ、一発で終わらせるからさ、こっち来な。」
「へぇ~ まだやろうっての、この「即撃」のミーヤと!!」




