即撃⑥
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取り調べが終わって、僕の頭の中は疑問符が飛び交った。
……囚人の大脱走が、近いうちに起こる。
ここは警備も堅い、明日、ここは戦場になっているんだろうか。
正直、静かに脱走してもらいたい。
そして、その状況下の中、僕の命は保証されない。
「予想だけど、どさくさに紛れて君を始末する可能性がある。」
,,,あの真剣なまなざしが、冗談を言っているようには見えなかった。
牢屋に戻ってきた僕は、ミーヤさんに迎えられた。
「おかえり、どうだったぁ?」
「いや、能力はまだわからないんだそうで」
「そっかぁ、それは残念」
そういえば、ミーヤさんは脱走に関わっているんだろうか。
,,,さすがに聞けないか。
「…ミドリ君ってさ、ほんとによーく顔に出るよね」
「はい?」
「ま、いいや、そろそろお風呂だよ」
放送が鳴って、僕はお風呂に向かった。
着いてすぐ目に留まったのは、囚人の団体だった。
おそらく、近日どこかで行う大脱走の計画を立てているのだろうか。
会話は、あまり聞こえなかった。
そそくさとお風呂を済ませ、牢屋に戻ってきた。
ここは、女性の囚人が多いのか、昨日も静かだった気がする。
「おーい」
向かいの牢屋から声がして、振り向くと人が立っていた。
「こんばんわ、新入り君」
「あ、こんばんわ」
「私はグラス・キャルロット。 あなたは?」
「…ミドリです」
「そ、ミドリ君ね」
牢屋越しにわかる、はつらつとした男の人だった。
ポッケに手を入れて、ミステリアスな雰囲気が漂っている。
「単刀直入に話すよ」
「はい?」
「一緒にここを出ないか?」
「…脱走ですか?」
「そうだね、結構仲間もいて、成功すると思うけど。」
「…遠慮しておきます。」
「おっと、残念。振られちゃった。」
「なんかすいません」
気まずい雰囲気が流れる。
先に口を開いたのは、キャルロットだった。
「…私はね、いろんな人と仲良くできる、なぜだと思う?」
「何でです?」
「そういう能力だからだよ。」
「私の能力は、「相手の名前を知ると、相手のことが分かる能力」だ」
「,,,それって」
「うん、もう君の事もわかるよ。」
「その、正体不明の能力もね。」
まじ? 本気で言ってる?
「ぷっ! あはははは!!ホントに顔に出るねぇ君!」
「やめてくださいよ恥ずかしい」
「で、どうする? 協力してくれるなら、教えてあげるよ。」
「……お願いします」
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「あちゃ~ やっぱそっち行ったか~」
私はモニターを見つめる、その目は、特別収容所にむいていた。
おそらく、脱走について話しているのだろう。
さて、どうするかな。
見て見ぬふりか、そのまま執行に行くか。
やっぱり休憩の時間をずらすといいことがあるなぁ。
「決行は三日後だ。」
お、良いこと聞けちゃった。
このままいけば、ミドリ君は彼らと一緒に出れる。
ふつーに対応して、私が死なないようにしよ。
「レーナ、休憩行ったか?」
お、先輩だ。
「これからです〜」
「そうか、代わるよ。」
「あざます〜」
普段より優しいな、良いことでもあったのかな。
休憩室に向かっていた私は、先輩とすれ違った。
「今から休憩?」
私は返答を返せなかった。
さっきのは違う人だと私は理解した。
私は、騙された。
そして私は、それが出来る人を一人知っている。




