1パート
健太は拓人になついているのか外に出た途端走ってきて手を引っ張っていった。
なんだか照れくさいがうれしかった。小さい弟がいるとしたらこういう感じなのだろう。
木々の間を爽やかな風が流れているところに拓人は健太を肩車しながら優と歩いていた。
拓人の30年前の友達、しかし若い頃に会っているため自分自身の友達のようでもある。よくわからないが稀有な感覚だった。
しかし、そもそも拓人は2年前に飛びたかったのになぜ30年も前に飛んでしまったのか。頭がいい真美もそれはわからない。単なる偶然なのだろうか。
しかも、30年前に飛んで何か大きな事をしたわけではない。父については研究のレバーを一緒に考えただけ、真美については荷物を運んだだけ。こんな事で何がどう変わるというのだろうか。やはり、無意味だったのか。
だとしたら本当に自分が嫌になる。自分の未来の娘である愛は過去に飛び、未来を変えるために飛び立っていった。もしかしたら真美の考えも変えたかもしれない。
愛はそれだけのことをやってのけた。しかし、俺自身はなにも変えられなかったというのか。
「おい、優くん。ここにいたのか。」
優からここの場所の話を聞いた隆弘と広明が合流した。
「お、久しぶりだねー。というか変わってないなー君らは。」




