2パート
広明と隆弘はなにやら大きなビニール袋を抱えていた。
「なんかいろいろ持ってきたな……あらま、なんじゃこりゃ。変なのばっか持ってきて。約束のものは?」
「あれはこっち。」
「ちゃんとそろってるの?」
「もちろんだよ。」
「ならいいか。」
優は袋を抱えて肩車をやめて手をつないで一緒に健太と歩く拓人に話しかけた。
「少し、みんなと海岸歩かないか?」
優の提案で愛が旅立っていった海岸の砂浜をみんなで歩いた。
「俺さぁ、さんざん考えてようやくわかったんだ。拓人、お前が2年前に飛ぶはずだったのに、なんで30年も前に飛んでしまったのか。」
「え?わかったの?」
優は袋を黙って手渡した。袋の中には木製のジグソーパズルが入っていた。
「組み立ててみ。俺達があの研究室を出る時にみんなで作ったんだ。」
単純なのかとても簡単だった。
組み立てると彫られていた線がつながり、文字になっていた。矢澤研究室の共通テーマである「時を越えて」という文字だった。
「俺たちは何年も時を越えて過去へ行くための研究をしてきた。それで俺達の代はなにかものを残したくてみんなでこのパズルをほったんだ。形となって俺達の思いが伝わりますように。」
時を越えて、素敵な言葉だ。
隆弘が聞いた。
「さて、拓人くん。君は30年前に飛んで若い頃の俺達に会った。そして現代に戻り未来の娘と未来を変えるために君のお母さんのお友達と会い、今はこうして健太と歩いている。楽しかったかい?」
「楽しかったです。」
それは自信を持って言えた。父の迫力に押されながら父の研究の手伝いをして母に会いに行こうとしたら荷物を持たせられて。でもたくさんいろんな人がいた。そして健太。俺みたいなだめ人間に懐いてくれて一緒に歩いてくれた。話だって真正面から聞いてくれた。6歳くらいなのに俺なんかより遥かに立派なのかもしれないな。
広明が今度は言った。
「楽しかったのならよかった。既に誰かが言っていたかもしれないが君は30年前に飛べたが何も残せなかったと言った。個人的にだが俺はそうは思っていない。君は確かに大きなものを残した。あの時、手伝ってくれた事で俺たちは研究を大きくすすめることができるようになった。そして過去へ行く研究は一つの結果としてまとまった。君は大した事をしていないと思うかもしれないが確かに大きなものを残した。」




