海道―ソーン―【3】
すみません、一度ここで小説を整理したいと思います。
あ、内容を変えるわけではなく、まとめるだけです。
読んで下さっているみなみなさま本当に感謝です。
「げっふ。にゃろう、痛いじゃねーか!」
長時間戦っていた事で自然と集中力が落ちてきていた。背後からの一撃のタイミングを計り間違えてしまい、ジソウは左腕に鋏の大降りを叩きつけられてしまう。
「っ、ぬりゃ!」
しかし、吹っ飛ばされつつも体勢を整えたジソウは、途切れかけていた集中力を繋ぎ止めると、お返しとばかりに針の穴を通すような正確さで鋏の間を通して弱点へと打根を投げつける。
ガッと鈍い音を響かせ見事に弱点へと突き刺さった打根の一撃はカタイガニのHPを十二分に削りきり、倒すことに成功。
打根は『回収』と念じることで紐を巻き取った状態で手元に戻っている。投擲武器とは思えない有能さである。
「よし、今居るのを倒したら今日は引き上げよう!」
ジソウは目の前のモンスターの攻撃をかわしながら自分の精神的な状態とステータス上の数値的な状態を鑑みて、区切りをつけるべく二人にそう告げた。
何十体のカタイガニを倒しただろうか、初めほぼ真上にあった太陽は大分傾いており、空は赤とオレンジと青のコントラストを描いていた。
「了解。……ふっ、ぜぇぁあっ!」
相良は特に異論は無かったのでジソウの提案を了承した。
返事をし、しかしロングソードを振る手は緩めない相良は敵の攻撃を避け、それのよって出来た隙を見逃さずに気合一閃、敵の左腕の第一間接に刃を叩き込んだ。
すると規定以上のダメージにより部位破壊の切断が発生し、第一間接から先がくるくる独楽の様に回転しながら吹き飛ぶと砂浜に落ちて消滅した。
「リミカ、後は頼んだ。」
片腕の状態などもう脅威でもなんでもない。バランスを崩してまともに鋏を振る事も出来なくなったカタイガニをリミカのために用意したのだ。
彼女はまだ戦うことに不慣れである。
母ライオンは子ライオンに狩りの練習をさせるため、傷ついた獲物を用意するという。
弱体化させた敵を宛がう相良のこの行為はまさに母ライオンのそれである。
「分かりました!」
リミカはこれが三度目という事もあり、上手く相良と立場をスイッチした。
なぜ、このようにリミカも戦う事になったのかというと、少し前、MPが切れたリミカに私にも何か出来る事は無いのかと縋る様な目をされながら求められたからだった。
断るに断れなかった相良はどうしようかと思いながら、ちょっと待てと言って戦っていたところ、偶々前に出てきたカタイガニの振り下ろしを避けた後に、ロングソードをカウンターで脚関節に強く叩きつけると破壊することが出来たのだ。
と、そこでピンときた。自分がこうして敵の戦力を大幅に奪うことでリミカでも十分戦えるのではと。そして、申し訳なさそうに後ろで佇むリミカに短く「頼んだ」と言った。
結果は大成功である。小さい悲鳴が時折聞こえるが、拙いながらもなんとかリミカはカタイガニの一撃をかわして杖で攻撃を仕掛ける事が出来たのだ。未だにタイミングが掴めないようではあるけれど、時間をかけていけば倒せていた。
その様子を相良はちらちら横目で確認をして、どうやら大事はないと判断できるとフッと息を吐いた。
一方でリミカ本人は、内心、相良に頼られたという事実は嬉しかったのだが、満身創痍のモンスターを倒すということに若干気乗りはしなかった。卑怯に感じられたからだ。とはいっても、相良とジソウの戦う姿を見てしまえば自分の実力不足は確実なので「頑張れ私!」と気合を入れなおした。
「――や、やあっ!」
最後の一撃、とばかりにリミカはカタイガニの振り下ろしを避けると杖を思い切り弱点に突き出す。
ゴンッと鈍い音が響き、リミカは上手く狙った場所に一撃を与える事に成功。HPがなくなったため鋏を砂浜に叩きつけた格好のままカタイガニは光の粒子となった。
「ふへーっ。」
ようやく倒せて一安心と膝に手を付き大きく息を吐いたリミカ。何度か攻撃を受けてしまい満身創痍といった感じだ。これで敵の状態が相良によって弱体化されてなければ今頃死に戻りしていたのは確実だ。
「おっす、お疲れさん。」
「あ、どうもです。」
「大丈夫か?」
「はい、なんとかー。」
先に戦闘を終えていたジソウと相良はリミカを観戦していたようで、それが終わると彼女に声をかけた。相良は少々不安げだったが、リミカが気の抜けた笑顔を返してきたので安心しつつ、その表情に笑いそうになってしまったが、なんとか堪えた。
リミカは急に顔を逸らした相良を疑問に思ったが、まあいいかと忘れる事にした。
それよりも、先ほどの乱戦にて前衛に出て支援魔法を受けていたとはいえ、ほとんどのモンスターを引きつけて戦っていたというのに、二人がほぼ無傷で自分の目の前に立っていることを思うと、そちらの方が個人的には驚愕だった。
「じゃあ、あらかた狩り終わったしこれで街にもど……っ、なんだっ?!」
「キャッ、じ、地震?」
体全体がグラグラしてバランスが取れないでいる。足元が崩壊しているのではないかと一瞬思ってしまうほどの揺れだけにリミカは腰を落としてしまう。
揺れは五秒も無かっただろうか、しかし、ちょっとした酔いが残った。
「いや、ただの地震とは違うようだ。……おい、ウインドウを開いてみろ!」
相良の慌てた声に驚き、彼に習いウインドウを開こうとしたが、その前にけたたましいアラームが鳴り響き、勝手に目の前にウインドウが展開された。その表示は緊急時を思わせるような真っ赤な画面である。
「な、なんだ、これ。」
「イヤ、これ気持ち悪い……。」
「何が、起きているんだ?」
各々が画面を見守る中、唐突に一つの文が現れた。
『コレヨリ強制転移シマス』
えっ、と思う間に、三人の体が光りだすと足元に大きな魔方陣が現れた。
ジソウはそれが転移門に描かれていたものと似ていることに咄嗟に気付く。
「ちょっ、リミっ――。」
その瞬間、大きく魔方陣が輝いたと思うと三人は砂浜から消えた。
ただしジソウはリミカと相良の手を握ることには成功していた。
とっても思わせぶりにここでひかせてもらいます。
はてさてどうなることやら。




