お父様!
お父様がいません。どこに消えたのでしょう。
「イー団長、お父様を見ませんでしたか?」
「ピースメイ!ピースメイ!」
スクリーンにくぎ付けになっているイー団長の背中の服を思いっきり引っ張ります。
「イー団長!」
「これはこれはイリス王女様どうかいたしましたか?」
「お父様がいません。知りませんか?」
「王でしたらおトイレに行かれるとのことでしたが……少々長いですね」
「探しに行きましょう!」
「はっ!」
グッド宰相に話しかけます。
「グッド宰相!」
「なるほどヤマダの権勢によって世界が守られると」
スクリーンの人と夢中になって話しこんでいるグッド宰相の服を引っ張ります。
「グッド宰相!」
「イリス姫さま失礼しました。情報収集をしておりました故」
「お父様が逃亡した疑いがあります。捕まえに行きますよ」
「かしこまりました」
王城の中に入るといたるところで小さなスクリーンの前で釘付けになっている人を見かけます。外に出られない皆さんも見ていたんですね。お父様を見かけていないか聞き込みを続けます。
「国王様でしたら玉座の間へ行かれましたが」
兵士から有力情報ゲットです。玉座の間へ急ぎます。
「お父様!」
玉座の背もたれに抱きついているお父様を発見しました。
「嫌だ!この席はわしのものだ!誰にも渡さん!」
「ではこのまま億千万の軍勢に滅ぼされるのを待つつもりですか!」
「それも嫌だ!」
「国王様とてもじゃあありませんがあの数相手では勝てません。早く他の国と同様に下りましょう」
「ファングレス王国は五百年以上の歴史を持つ大国だぞ!わしの代で潰したとなったらご先祖様に顔向けできないじゃないか」
「大丈夫です国王様。私が聞きこみをしたところ勇者様は君臨すれども統治せず。既存の統治体系は崩さずそのまま残して運用するそうです。ただ国王様の上に立つ人ができるだけです。王とも名乗って良いそうです」
「それは本当かグッド!」
「はっ!実際に勇者様を王とする国の臣下からの情報なので信頼できるかと」
「わしは王でいられるのだな」
「大丈夫です。我らが王よ」
「うむ、うむ、ならば良し。ではすぐさまバルコニーにとって返し下ってやるとしよう」
「「はっ」」
なんとかなりましたね。さすがグッド宰相です。鼻水は拭いてくださいお父様。
バルコニーに戻って来ました。その間もスクリーンをみたいと思ったら小さなスクリーンが目の前に表示されたので最新情報は逃していません。大小様々な国や集落の王が下り、残すは四国のみとなりました。
人間国最大国家ライメイレン帝国、強力な軍事国家で保有する戦力も百万を超えるとか。商業国家エセベンサイカン、国土は広くありませんが中央大陸の交通の要所を押さえており商業で発展した国家です。後は、魔国。魔王はまだ沈黙を貫いています。そして大陸第二位の国土を持ち大陸最古の国と呼ばれる我が国ファングレスです。
「これおもろいでんなぁ、異世界の人たちのみやのうて自分らの世界間でも繋がるやないか。どんな人とも話したい放題や!」
変わった方言を話す恰幅の良い四十代くらいの陽気な様子をした男性が画面に映ります。
「ほう気づいたか。褒めてつかわす」
「「「「「「「おもろ!おもろ!おもろ!」」」」」」」
「夢中になっていじっとって下るの忘れとったわ。エセベンサイカンも下るでぇ、国内の統治はお任せや我が王はん!」
「くるしゅうない、我が傘下に入ることを認めよう」
「ははぁ~」
残り三国です。バルコニーに戻ってきました。いつの間にか出店がいたるところで出ていてお祭り感が増しています。
「「「「「「「飲め!飲め!飲め!」」」」」」」
「「「「「「「食え!食え!食え!」」」」」」」
「「「「「「「踊れ!踊れ!踊れ!」」」」」」」
「「「「「「「今日はいい日だ!建国祭!」」」」」」」
スクリーンの向こうの皆も飲んで歌って踊っています。私たちの世界のスクリーンに映っている他の地域の人々も我が国の国民と同じように盛り上がっています。我が国の国民は気づいているのでしょうか?我が国はまだ下っていませんよ。盛り上がっている場合じゃありません。でも水を指す必要はないでしょう。遅いか早いかです。
「次は誰だ」
「お父様!」
「ならん!こうなったら最後狙いじゃ!」
「どうして!」
「恰好がつかん!」
ダメだこの親!




