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勇者召喚で来てくれたのは、ピースメイカーさんでした!  作者: 夕暮れの家


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初めての経験をしました

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 世界会議決定事項一覧


【済み】・世界の名はアーガレストと決定


【済み】・エルフ国の樹立


【済み】・邪神エビフトが治める新世界をこのアーガレスト世界を元に同じように創る


【済み】・新世界へはアーガレスト世界から自由に行き来できるようにする


【済み】・新世界からアーガレスト世界へは悪意を持つものは移動できないようにする


【済み】・アーガレスト世界に住む動物たちで今の生活を望むものは新世界へ、安全な生活を望むものや人や魔族との共存を望むものは引き続きこちらの世界に住めるように移動させる


【済み】・五十の部族がライメイレンの土地にて一つの国家を築く


【済み】・エジプシャンに雨を降らす魔道具を与える


【済み】・すべての奴隷を解放する


【済み】・すべての奴隷はその国が買い上げ、教会がその後の奴隷だった人たちの世話をする


 ・亡国の復活と戦死者の死者蘇生、戦争で傷ついたものの回復


 ・ライメイレン帝国の戦争の賠償は領土の割譲と賠償金


 ・この世界では二度と戦争を起こしてはならない


 ・魔王とその配下は戦争ができる世界へ送り届ける


 ・異世界交易と異世界旅行の実現


 ・異世界を含めた全ての生物の奴隷化を禁止


 ・世界の平和は全種別において対話でなされていく


 ・エビフトの完全復活


【会議日数】

 二日(責任を持っていい感じに全て叶える)


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「次は戦争で傷ついたものを救いましょう。今時間を止めているものを回復させ復活させましょう」


<<オール・ヒール>>


 モニターに映る様々な怪我をしたものたちの傷が癒えていく姿が映ります。


<<スタート>>


「それでは各医者よ。戦傷者の頬をぺちぺちしてください」


「かしこまりました」


 ぺちぺち


「お、俺は……」


「僕は……」


 白衣を着た方が手を組み祈りのポーズをしながら感謝を述べます。


「神よ、各王よ、そして勇者様よ。ありがとうございます!」


 良かったです!これで戦争で傷ついたものはいなくなりました。


「では、次は『ライメイレン帝国の戦争の賠償は領土の割譲と賠償金』ですが、領土の譲渡は既に行われ、賠償金、これはこの世界に生きるものが自分たちで決めるべきでしょう。私が関与する必要はないと判断します。一言いうならばライメイレンにも生きる民がいるということを忘れないように。それでいいですか?」


「ええで~」


「問題ない」


「問題ないです」


 各国の王が賛同していきます。これは解決ですね。


「次は『この世界では二度と戦争を起こしてはならない』ですが、魔法で二度と戦争をできないように縛ることもできますが、私の趣味ではありません。そのため、各国の広場に魔道具を設置します」


「パンパカパーン!戦争メーター!」


 勇者様の手に何か複雑な細工物が現れます。


「これを設置します」


<<ソコニアレ>>


 勇者様が呪文を唱えるとモニターは各地の広場を映します。我が国の噴水広場も映っています。何か広場の上空に白字で数字が表示されいます。25と書かれています。なんでしょう?


「これは最大100まで表示されます。これは各国がどれだけ戦争を他国に仕掛けそうかを可視化するものです。数字が多いほど戦争を仕掛けそうになっているのがわかります。装置のそばへ行けば他国の数字も閲覧できるようになっています。各国はこの数字を見ながら戦争が起こらないように対処していってください」


 なるほどそういう仕組みなんですね。


「なるほど戦争の芽を見つけたら早めに摘めということですか」


 ルーベンス王がいいます。


「そうです。戦争の芽が可視化されるので、芽が出たら各国が協力して事に当たってください。国同士の戦争というものは、明日ふらっとやるは事実上不可能ですからね」


「確かにそうですね。戦略を練り食糧を貯め軍備を増強する。その動きが可視化されると?」


「その通りです。それ以外にも実行可能な人が企んだ段階でも数値は上がります。この程度の制約で上手く運用してみてください」


「わかりました。やってみましょう」


 ルーベンス王や他の王も賛同していきます。思っていた方法とは違いました。戦争が二度と起こらないようにするのは、私たちの行い次第なんですね。その方がいいのかもしれません。私たちの世界の平和は私たちで守らなければなりません。二度と悲しい結末を迎えないように、これは子孫にも伝えていかなければなりません。


「次は、『魔王とその配下は戦争ができる世界へ送り届ける』ですね。サクッとやっていきましょう。もう旅立つ先の世界は神々と相談済みです。」


 魔王さんたちの旅たちです。


「魔王様、いつにこの時が来ました」


「そうだな。我らの覇を示すときが来たようだ。皆のもの付いて来てくれるな」


「「「「「はっ!」」」」」


「ギラル、ザッフラル、ランドルフ、古魔王軍と呼ばれし新たな我の配下よ。そなたらの夢が叶うときが来た。食らう、奪う、殺す。原初の波動を解き放つ時が来た!我と歩む覚悟はあるか!」


「我が名はギラル、その夢食らいつくす所存!」


「元よりそのつもり!」


「当然でございます。我らは魔王様と共にどこまでも!」


「「「「「魔王様!魔王様!魔王様!」」」」」」


「準備はいいかな?」


 勇者様が問えば魔王は決意を込めた顔で頷きます。


「大丈夫だ!勇者よ。飛ばしてくれ!」


 異世界の皆さんが言います。


「うちだ!うちに来い!」


「いやうちだ!俺たちと戦おうぜ!」


「魔王ちゃーーーん!かかってこいやーーー!」


「「「「「歓迎!歓迎!歓迎!」」」」」


「では、魔王軍の皆よ、新世界にて己が道を進むがいい!」


「お前に言われなくとも」


 ラーパに似た音色が響きます。徐々に盛り上がるその音色は鼓動を早くします。


「皆よ!暴れるぞ!」


「「「「「おう!」」」」」


「「「「「魔王様!魔王様!魔王様!」」」」」


<<イッテラッシャイ>>


 魔王を含めた魔王軍の皆様の姿が消えます。どこの世界へ旅立ったのでしょうか?


「どこいった?」


「どこだ?」


 するどい牙が生えたものが大きい口を開け、ギラギラとした目を輝かせて言います。


「フハハハハハ!面白い!面白いではないか!皆のもの見ろ!我が世界だ!」


「舐めてる!」


「舐められてんのか?」


「ハハハハハ!ぶっ殺す!」


 黒、赤、黄色の泥を煮込んだような皮膚のものたちが憤ります。


「よりにもよってキージャーか!」


「キージャーに行ったー!」


「「「「「無謀!無謀!無謀!」」」」」


「おいおい、流石に無茶が過ぎないか?」


 心配です。大丈夫なんでしょうか?


「どんな世界なんですか?」


「かなり昔からある世界で闘争が終わらない世界なんだよ」


「そうでござる。闘争の世界と聞いて皆が真っ先に思い浮かべるような世界でござるよ」


「昔からバトル繰り広げて弱肉強食しているから雑魚まで魔王レベルと言われているわ」


 心配です!そんな凄い世界へ行ってしまうなんて!モニターに魔王さんが映ります。早速魔王さんが戦っています!襲い掛かってきた恐ろしい獣を殴り飛ばすと吠えます!


「その程度かーーーっ!舐めているのは貴様らだ!我が魔王軍を舐めるな!」


 ギラルさん、ザッフラルさん、ランドルフさんが不敵に笑います。


「キージャー世界、上等だ!」


「昔から偉そうでむかついていたんです」


「遣り甲斐があっていいじゃないか。簡単にやられてくれるなよ」


 魔王軍の進軍が始まりました。これから彼女らの物語が始まるのでしょう。モニターに映った獰猛な笑みを浮かべた魔王の横顔は希望を前に光り輝いていました。


「はい、次は『異世界交易と異世界旅行の実現』を叶えていきましょう。これはどちらも異世界のゲートを作るだけにします。交易や旅行は各人の判断にお任せします。困難もあるかと思いますが、その困難含め異世界交流です。是非、楽しんでください」


 ゲートです!これで私たちも異世界に行くことができます!


「繋ぐ世界は神々と相談済みです。設置ゲートの位置はモニターの地図で見えます。では早速やっていきましょう」


<<クリエイト・ゲート>>


 世界各地の様子がモニターに映ります。赤い光でできたゲートが現れました。我が国はまた噴水広場のようです。


「異世界やーバンバン稼ぐで~」


 エセベンサイカンの国王率いる軍団がゲートに向かって進軍していきます。早いですね。うちの国も使節団を派遣した方がいいでしょう。グッド宰相を見ると頷きで返してくれます。


「異世界交流か~」


「異世界って何が面白いんだ?」


「俺には関係ないかな?」


 意外にも国民の反応は薄いです。かくいう私も異世界と言われてワクワクはするのですが、実は余りピンとは来ていません。


「異世界旅行とは何がいいのでしょうか?」


「良さは色々あるでござるよ」


「ええ、色々あるのよ。でも、そう思うのも無理ないわ」


「有名な一節を紹介しましょう。とある有名な異世界トラベラーの日記に書かれていた文です。」


『私が取り憑かれたように異世界に旅立つからあるとき小僧が心底不思議そうに問うてきた。「異世界の何がいいの?」と私は大人になり行ってみればわかると答えた。


 異世界の星空の下、草のベットに四肢を投げ出し風を感じてやはり思う。異世界とは大人が忘れてしまった初めてがあるのだと。


 人は生まれ落ちて幼少期までに初めてを沢山経験する。それは時に感動と共に刻まれるが、時と共に重い鎖に繋がれていく。知らない夜空を見上げる度に私は思う。ああ、私はまた生まれ落ちた。この星空は私に生を思い出してくれる』


「有名な一節でござるな」


「異世界旅行ブームを作った一文よね」


 また生まれた?そんな体験ができるのでしょうか?少し興味が湧いてきました。


「では、定時となりましたので、本日の業務はここまでとしましょう。皆さん続きは明日行います。それではお疲れ様です」


 ◆


「おい、間に合わなかったぞ」


「わかってる。うるさいなこちらも全力でやってるんだ」


「さっさとハッキングを成功させろよ」


「なら、お前がやれ!」


 そんな会話がどこかで行われていましたが、私たちの知るところではありませんでした。


 ◆


 勇者様はバルコニーを出ていきます。今日のお仕事は終わりのようです。確かにもう夕食の時間です。勇者様と夕食を食べ、湯あみをしてベットへ身を投げます。


「色々あった」


 本当に色々ありました。急速に世界が変わっていきます。良い変化なのでしょう。私は天上を眺めていると紹介して貰った一節を思い出しました。


「ああ、私はまた生まれ落ちた……か」


 寝間着から冒険用の服に着替えます。バレないように二階の窓から魔法を使い飛び降ります。姿を消す魔法をかけます。そして、素早く誰にもばれないように城から抜け出します。少し夜の道を歩くと私は噴水広場の赤いゲートの前に来ました。


「異世界……」


 吸い込まれるようにゲートを潜ります。少しの浮遊感の後、気づけば広大な草原の中にいました。夜の帳が落ちた世界の中、異世界の空気を思いっきり吸い込みます。


「なんか美味しそうな匂い?」


 神聖な森の中にある神殿で吸うような匂いがするかと思えば、何か食欲がそそられるような匂いがします。


 匂いの元へふらふらと歩いていきます。しばらく歩くと風が湿っているような気がします。


「海」


 白い砂浜に黒い海がリズミカルに乗り上げています。


 ザーザー


 海の音に耳を貸し、目を瞑り砂浜に座ります。しばらくそうしていると突然声をかけられました。


「恋をしているのかい?」


 ドキッとして背後からかかった声に振り返ると太っちょの赤い猫さんがいました。


「あなたは?」


「わしは名もないニャラザだよ。恋をしているのかい?」


 しているのでしょうか?


「そうか、恋をしているんだね」


 恋をしていることにされてしまいました。


「空を見てみなさい」


 大きな赤い星と青い星があり、周りに無数の色々とりどりの星があります。


「赤い星はピピ、青い星はぺぺという。ピピとぺぺは遥か昔より寄り添う夫婦星なんだ」


「そうなんですね」


「ピピは恋多い青年だった。燃えるような恋を沢山したんだ」


 はいと相づちを打ちます。


「焦がれる恋を沢山した。その思いが残っているからまた次の恋へと走ってしまう。ぺぺという存在がいながら」


「情熱的な方なんですね」


「そうだ。僕はピピなんだ。どうだい?僕なら忘れさせられるよ。お茶でもどうだろうか?」


 異世界に行くと初めてのことがあると聞きましたが、ビックリです。人生初のナンパでした。


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