世界が喜びに包まれているのですが、悲鳴を上げないでくださいお父様
バルコニーで勇者様が世界会議で決定したことを順に叶えてくださっています。
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世界会議決定事項一覧
【済み】・世界の名はアーガレストと決定
【済み】・エルフ国の樹立
【済み】・邪神エビフトが治める新世界をこのアーガレスト世界を元に同じように創る
【済み】・新世界へはアーガレスト世界から自由に行き来できるようにする
【済み】・新世界からアーガレスト世界へは悪意を持つものは移動できないようにする
【済み】・アーガレスト世界に住む動物たちで今の生活を望むものは新世界へ、安全な生活を望むものや人や魔族との共存を望むものは引き続きこちらの世界に住めるように移動させる
【済み】・五十の部族がライメイレンの土地にて一つの国家を築く
・エジプシャンに雨を降らす魔道具を与える
・すべての奴隷を解放する
・すべての奴隷はその国が買い上げ、教会がその後の奴隷だった人たちの世話をする
・亡国の復活と戦死者の死者蘇生、戦争で傷ついたものの回復
・ライメイレン帝国の戦争の賠償は領土の割譲と賠償金
・この世界では二度と戦争を起こしてはならない
・魔王とその配下は戦争ができる世界へ送り届ける
・異世界交易と異世界旅行の実現
・異世界を含めた全ての生物の奴隷化を禁止
・世界の平和は全種別において対話でなされていく
・エビフトの完全復活
【会議日数】
二日(責任を持っていい感じに全て叶える)
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「次は『エジプシャンに雨を降らす魔道具を与える』ですね。エジプリャン王国国王カンベールさん、これが魔道具です。」
そういうとモニターの先のカルベール王の手に涙型の透明な装置が渡されます。それと同時にドサッと紙の束が渡されます。
「説明書と作り方やメンテの仕方を書いた紙も渡します。後は上手く使いこなしてください」
「感謝する!」
勇者様が頷くと次の議題へと移りました。
「次は『すべての奴隷を解放する』と『すべての奴隷はその国が買い上げ、教会がその後の奴隷だった人たちの世話をする』をやりましょう」
「おら奴隷から解放されるんだべ」
「やったーーー!」
「もう自由になれるんだ」
「怖い」
奴隷の皆様の声が聞こえてきました。
「大丈夫ですよ。きっと良い方向にいきます」
私がそういうと丁度私が画面に映りその声が届いたみたいです。
「「「王女様!王女様!王女様!」」」
非常に恥ずかしいですね。勇者様早くやってしまってください。
「では、奴隷の皆さんについている首輪から外していきましょう」
<<アン・ロック>>
「外れたべ!」
「とれた!」
「凄い!」
「「「「「賢王!賢王!賢王!」」」」」
モニターには喜ぶ元奴隷の皆様たちが映ります。首にはもう従属の腕輪はありません。従属の腕輪は複雑な魔法で雇用主じゃないと外れないはずなのに凄いです。しかも、世界中の腕輪を同時なんて。
「はい、では次に奴隷だった皆さまの雇用主に引換券を配ります。奴隷の雇用主の皆様受け取ってください」
<<プレゼント>>
「なんだ?これは」
「金額が書いてある」
「なるほどわかりました。これを国へ持っていき金銭を受け取れということですね」
勇者様が頷きながらいいます。
「そうです。この紙には皆さまの奴隷の適正価格が書いてあります。適正価格は皆さまの販売価格を元に作っています。その紙を持って国へ提出してください。国の方はモニターに映るこの紙を持った人が来たらお金をちゃんと払ってください。私の計算では各国は問題なく払える額に納まっているはずです。国にお金がないなどと言わないでくださいね」
グッド宰相がその話を受けて関係各所に命令を伝えていきます。私の国は大丈夫でしょう。
「では最後に元奴隷の皆様は行き先がない方は教会に保護されてください。教会は最寄りの教会でいいでしょうか?」
聖女様が応えます。
「最寄りの教会で大丈夫です。教会関係者よ、あなた方に慈悲を求めます。金銭面や物資などが辛ければ本教会へ連絡してください。速やかに対応いたします」
「はっ!」
「かしこまりました」
「御心のままに」
「「「聖女様!聖女様!聖女様!」」」
「では、最寄りの教会へ送ります。行き先がない元奴隷の方は手を挙げてください」
皆が手を挙げていきます。
「イリヤ、まだうちで働いて欲しいんだ。賃金はちゃんと払う」
「ホントですね?なら残ります」
「教会へなど行かさないぞ!まだうちで働け!」
「誰がこんなとこで働くかハゲ爺!」
「行かないで欲しいな。娘も君を慕っている」
「行かないでパネラお姉ちゃん」
「私はどこにも行きませんよ」
様々なドラマが繰り広げられています。皆さまのお別れの挨拶などが落ち着いたところで勇者様が手を振ります。
「それでは」
<<イッテラッシャイ>>
「ようこそセリント教会へ!」
「さあ、スープがあるんだ。皆入りなさい」
「まあまあ、まずは体を綺麗にしましょうね」
温かい人たちに囲まれて奴隷だった皆さまもほっとした顔をしています。聖女様がスクリーンに映し出されます。
「皆さま、教会は皆さまと共にあります。奴隷だったもののみでなく職も食べるものもないものは教会を訪れてください。教会は皆さまへ必ず手を差し伸べます」
ボロボロな服を着た少年が聖女様に問います。
「教会へ行けばいいの?」
聖女様が優しく微笑みます。
「ええ、是非、教会に来てくださいね」
「わかった!」
少年は走り出しました。
「さあ、皆さま教会へ!」
「「「「「聖女様!聖女様!聖女様!」」」」」
「ここに来ればいいって言われてたから来たんだけど…」
抱きしめて神父がいいます。
「ようこそ、アリストラ教会へ。神の御子よ」
各地の様子を見て、微笑みながら聖女様がうんうんと頷いています。
「そうあるべきだったのです!これこそが教会の正しい姿なのです!皆のもの今こそ教会の在り方を正すときです。神の慈悲の心を世界に広めましょう!」
「「「「「神の御心のままに!」」」」」
「「「「「聖女様!聖女様!聖女様!」」」」」
また世界は優しい世界になった気がします。
「では、次は『亡国の復活と戦死者の死者蘇生』をやっていきしょう。方法に関しては創造神様と相談済みです。安心してください」
「お願いします!」
「お願いだ!」
亡国の王子のクダルフォン様やクリストファー様が願う姿が映し出されます。どこからかハープリッシュの音色が響きます。繊細な絹織物に包まれるかのような空気の中、それは行われました。
「では」
<<キミニアイタイカラ>>
かつて繁栄をしていた国がまた世界に現れました。そこに生きていた住民がまたその地に移動しています。そして、いないはずの人がいます。
◇
牢屋に繋がれていた体は気づけば、王城の玉座の間にいた。体は綺麗になっており、私は以前お気に入りでよく来ていたドレスを着ていた。そして、夢のような光景が広がっていた。
「父様!」
「私は……」
父様は何が起きたのかわからないようだったが、その胸に飛び込んだ。父様は優しく頭を撫でてくださる。
「ただいまでいいのか?」
「はい!おかえりです」
そう、笑顔でいうと涙が止まらなかった。まだ、あの牢屋で見ている夢のような気がした。無数のモニターが私たちの周りに浮かんでいる。国の各地で笑顔が見えた。モニターに映る我が国は以前と寸分も変わらず、また泣いてしまうと父様がくしゃくしゃと頭を撫でてくださった。
◇
再会を喜び合う人たちがモニターに沢山映っていきます。
「お母さん!」
「あなた!」
「俺は……生きてる?」
ハープリッシュの音が祝福のように降り注ぎます。その音に乗り各人の涙が零れて落ちていきます。我が国でも各地で抱き合う姿が見えます。
「お父さん!お父さん!」
「おまえさん!」
ああ、会いたかった人に会えたのですね。私も少し……。
「勇者様!感謝します!」
「勇者よ!感謝する!」
クダルフォン様とクリストファー様が涙を拭きながら感謝を述べます。ヒョンダル王国やススキンザ王国などの他の国も元通りになっているようです。
「私は何も。世界会議での決定を実行したまでです。可決した世界に感謝を。そして、協力してくれた神への感謝もしていただけると神も喜ぶでしょう」
「神よ!」
「すべてのものよ!」
「「「「「わああああああああ!」」」」」
言葉にならない感謝が重なり合います。良かった。本当に良かったです。涙をぬぐいます。もうこんな悲劇を起こしてはいけません。戦争は二度と起こしてはいけないのです。
「ギャアアアーーーー!」
空気を読まず我が国の財務大臣の悲鳴が聞こえた気がします。我が国にも沢山の奴隷がいたようです。頑張ってください財務大臣!お父様の宝物を売っていいと伝えましょう。
「ギャアアアーーーー!」
お父様の悲鳴が聞こえた気がしましたが、気のせいでしょう。こうしてまた世界は喜びに包まれました。




