一日で解決するでしょうか?
日が沈み夜になってきました。私はバルコニーにいるのですが、火を灯し広場にはまだまだ人だかりが出来ています。皆お酒を片手に食べ物を食べながらなど、リラックスした状態で世界会議を楽しんでいます。
「まとめましょう。動物たちは今の生活を望むものは新世界へ、安全な生活を望むものや人や魔族との共存を望むものはこちらの世界でということでいいでしょうか」
「今の生活を望んで新世界へ行くんじゃ。新世界も今と同じ生活が保障されなければならないのう。可能かのう?」
「この世界を完全に模倣した世界を創りそこで暮らすようにすることは可能だよ」
「イメージ通りじゃ」
「各動物たちの望み通り移動させることは可能かのう?」
「もちろん」
「フフフ、ハァハッハー!聞いていれば長々と下らない話し合いを!いいですかエビフト様が統治される世界ですよ。この世界と同じ生活ができる訳がないでしょう!いえ、生物が生きられるわけがないでしょう。混沌と恐怖が支配するのですよ!」
団長の言う通りです。そうなんですよ、ずっと気になっていました。
「混沌と恐怖のう、人族にはわからなかったかも知れんが、言葉が通じないつい最近までわしは混沌と恐怖が支配しておると思っておったのじゃ。それほど変わるかのう?」
「貴女はエビフト様を舐めている!創造の時代、世に混沌と恐怖をもたらし神に封印されなければならなかったレベルなのですよ!」
「そうじゃもたらしたんじゃ混沌と恐怖を、じゃが、具体的に何をもたらしたかは伝わっておらんじゃろ?」
「そうですね、聖典にその記述はありませんでした」
聖女様が答えます。
「わしは言語をバラバラにしたと見ておる。仮にエビフトが復活して言語をまたバラバラにしたとしても元に戻るだけじゃ」
なるほどそういう考えなんですね。勇者様は……ニヤニヤしていますね。どちらなんでしょうか?
「仮にそうなってしまえば、対話ができなくなってしまいます!」
「それで困る連中を送るつもりはないのじゃが、困るようならまた魔法をかければよいのじゃ」
「またヤマダを頼るというのですか?それも全会一致させると?」
「それはエビフト団の方が阻止しそうじゃありませんか?」
ルーデンス王そうですよね。私もそう思います。
「これだから愚民は、しないわよそんなこと。何故ならストロバリオスは所詮エビフト様の十二の化身の一柱、エビフト様を上回ることなどないのです!エビフト様さえ復活されれば良いのよ!」
「なるほどのう。お主はそういう考えなんじゃな。まあ統一言語の魔法じゃが、後一回ヤマダに間近でやってもらえればわしがやってみせるのじゃ」
「可能なんですか?」
「まあ普通は気づかないかのう。ヤマダはのうこの世界に来てから使っている魔法全てこの世界の理の中にある魔法しか使ってないのじゃ。わしはヤマダが召喚され、わしを探知した日から逆にずっとヤマダを探知し調査しとったからわかるのじゃ。こやつはわしらに勉強する機会を与えてくれておるのじゃよ」
「どう捉えるかは自由だよ。けど、うっとおしい魔法は普通にレジストするからね」
魔法師団団長が仕掛けた魔法はうっとおしかったんですね。
「さてそろそろ良い時間になってきたよ。可決したい議題が積んでるんじゃないかな?」
「そうですね。可決させていきましょう。邪神エビフトの復活はエビフト団の方に他の議題で挙手してもらうために最後でいいでしょうか」
「「「異議なし!」」」
「邪神エビフトが治める新世界を創造する代わりに呪いを解くのはやっていただけるということでいいですね」
「まあいいでしょう。それくらいやってあげるわ」
「では邪神エビフトが治める新世界をこのアーガレスト世界を元に同じように創る、を可決したいと思います。挙手を」
皆の手が挙がり、光が空へ打ちあがり弾けました。可決です。
「新世界へはアーガレスト世界から自由に行き来できるようにする。なお、新世界からアーガレスト世界へは悪意を持つものは移動できないようにする。を可決したいと思います。挙手を」
可決されます。
「アーガレスト世界に住む動物たちで今の生活を望むものは新世界へ、安全な生活を望むものや人や魔族との共存を望むものは引き続きこちらの世界に住めるように移動させる。を可決したいと思います。挙手を」
こちらも可決されます。
「お待たせしました。部族の長たちよ、次は貴方達の建国についてです」
「では我が部族から」
「ふざけるな!我が部族だ!」
「時間が無駄よ、席順で順にやりましょうよ」
また各部族が揉め始めました。
「あのさあ、建国するっていうけど、川沿いの土地や森を含んだ土地など人気が出そうな土地をどの部族がもらうか決まってるの?」
勇者様が問います。
「我が部族が」
「なんだと我が部族だ」
喧騒がひどくなっていきます。
「後、お前らさ各部族百人、多いとこで三百人だろ。その中で働けるもののみと考えると更に少なくなる。それで国を作ってもできることたいしてないと思うよ。田畑作ったり治水工事したり家を建て街を作るのに人手が圧倒的に足りてないと思うんだけど」
「ならばどうすれば……」
「それに下手すれば五十の部族が近くにひしめき合ってたら揉め事起こるんじゃないかな?後さ今までの生活を変え定住するって例えば田畑の耕し方とか知ってるの?」
「王よ、我らを導きたまえ」
「「「王よ!」」」
「これは王としての決定ではなく提案なのだが、お前ら全員で一つの国作ったら?」
五十くらいの部族がざわつきます。
「王よ、我は他の部族を見るのはこれが初めて今日知り合ったものと上手くやれる自信がありません」
「習慣や慣習が違います。まとまらないでしょう」
「一つの国となるとまとめ役が必要かとそれが決まらないかと」
「王が我らと共に歩み導いてくださるのでしょうか?」
「しょうがあるまい。貴様らの王として勤めを果たしてみせよう」
「「「おおっ!」」」
「「「王よ!」」」
「だが残念ながら我には時がない。我を待つ世界は多いのだ。そのため我の代わりに貴様らの王を勤める臣下を派遣しよう。その者の元で一つの国を作り平和に暮らすのはどうだ?」
「「「王の身心のままに!」」」
「失礼する。その派遣して下さる臣下は信用できるのだろうか?」
「ならば今紹介しよう。現れろ!スラ蔵Mk-II!」
勇者様の前に魔法陣が現れました。魔法陣が輝き虹色の光が飛び出します。そこから現れたのは……。
プルン!
「これがスラ蔵Mk-IIだ!」
勇者様が青いスライムを抱きしめています。
「スラ蔵Mk-IIお前の名前は今日から……そうだな、スラポンだ!」
「僕スラポン?」
「そうだぞースラポンだー」
勇者様がムニムニとスライムを抱きしめ顔を埋めながら言います。
「スラポン皆に自己紹介だ」
プルン!
勇者様の腕の中から飛び出し着地すると触手を出し敬礼のようなポーズを取ります。
「僕の名前はスラポン!億千万の同胞たちよ聞け!僕が来た!」
勇者様の同胞たちのスクリーンが無数に表示されます。
「「「「「「「スラポン!スラポン!スラポン!」」」」」」」
「可愛いぞおおおおおおおお!」
「スラ蔵Mk-II!」
「喜べアーガレスト世界の連中!スラ蔵様のご降臨だぞ!」
「「「「「「「スラ蔵!スラ蔵!スラ蔵!」」」」」」」
「アーガレスト世界の住民たちよ聞け!僕はスラ蔵の系譜を受け継ぐものなり!王の第一の臣下なり!」
「なんだ?スライムが喋ってるぞ」
「すげえのか?」
「プルプルしてる、かわいー」
「僕の頭の中には億千万の同胞たちと共に歩み困難に打ち勝ってきたスラ蔵たちの記憶が蓄積されている。その蓄積量百億年以上!僕に導けない国はない!僕が導けないとは即ち世界の歴史の否定!だがあるかも知れない!世界の歴史の前にも解決できない国難が!しかし、僕は諦めない!諦めることがないことを誓おう!この生尽きるまで共に歩むことを!さあ僕の手を取れアーガレスト世界よ!僕と共に栄光の日々を作りだそう!」
プルリ!
「「「「「「「スラポン!スラポン!スラポン!」」」」」」」
「ありがとう同胞たちよ!アーガレスト世界の住民よ!僕を受け入れるのならば僕の名を叫べ!僕の名はスラポンだ!」
「「「「「「「スラポン!スラポン!スラポン!」」」」」」」
「ありがとうアーガレスト世界!今日この日より君たちは僕のそしてこれから生まれる僕の仲間たちの同胞だ!」
「「「「「「「スラポン!スラポン!スラポン!」」」」」」」
スラポン!スラポン!はっ!情報収集しましょう。
「ござるさん。スラポンさんは凄いんですね?」
「そうでござる。スラ蔵はヤマダが創造する人口生命でヤマダが賢王と言われるゆえんでござる。その叡智は並び立つものがいないと言われるヤマダの第一の臣下であり賢者でござるよ」
「スラ蔵には私たちの世界での経験も入っているのよ」
「うちもよ」
「スラ蔵は私の世界が育てた!」
「はいはい、うちの世界だから」
「はい揉めない皆でしょ」
「スラ蔵は賢くて可愛いこれ常識ね」
「うちのスラリンが至高よ」
「でた!うちのスラフォンが一番だから」
「スラ蔵たちに違いはないでござるよ」
「「「は!?」」」
「ちゃんと個性があるって証明されてますから」
「ござる。後でうちの世界に来な!あんたはうちらに喧嘩を売った」
「その後うちな」
「私のとこは最後で良いわよ。生きていたらね」
「勘弁して欲しいでござるよ!申し訳ないでござる!この通りでござる」
ござるさんが地に頭を付けて謝っています。スラ蔵さんはお姉さん方に大人気のようです。
「さあ王よ、我が父ヤマダよ、僕に使命をお与えください!」
「ここに集いし五十の部族をまとめ導くのだ!後、他の王に相談されたら相談にも乗ってやれ!」
「はっ!」
プルリ!
「五十の部族よ、良いな」
「「「はっ!」」」
「では可決しよう。ここに集いし五十の部族がライメイレンの土地にて一つの国家を築く。これに賛成するものは挙手を」
皆が手を掲げ光が立ち上り弾け可決されます。
「喜べ五十の部族に連ねるものたちよ!今宵より新たな時代が幕を開けるぞ!」
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!」」」」」」」
「次の議題があるもの」
勇者様がそう問うと浅黒い肌をした王が手を挙げます。
「エジプリャン王国カンベール・サ・エジプシャンだ。先日相談した通り、砂漠に囲まれ水不足に悩む我が国に雨を降らす魔道具が欲しい」
皆さんが口々に大丈夫だと頷きます。
「では可決したいと思う。エジプシャンに雨を降らす魔道具を与えることに可決するものは挙手を」
全員が挙手します。光が弾け可決しました。
「感謝する!人口が増えた際には適切に制限することを誓おう」
カンベール王が安心した顔をしています。良かったです。
「さあ次だな。一段落着いたからその前に少し脱線だ。貴様ら動物たちの魔物になりたいや空が飛びたいなどの願いはどうするつもりだ?」
勇者様が問いかけます。
「それは無理でしょう」
ルーデンス王が答えます。
「種族進化、新たな生物の創造。我なら叶えられるぞ」
「悪魔の甘言です!惑わされてはなりません。生物には今の形で意味があるのです。神様がお与え下さった姿形を誇りに思いましょう!」
「直に願いを聞いた身としては叶えてやりたいのお。ヤマダよ、お主はこういったな。この世界は死した後に魂が巡り新たな生を受けると」
「そうだ」
「であれば魚が鳥に、犬が魔物に生まれ変わることもあるということじゃな」
「そうだね」
「であれば今生では叶わないが来世で叶うかもしれないということでこの件は納めてもらえないかのう皆」
「ワォーーン!(残念だけどいいよ!)」
「トビトビ!(来世で僕は鳥になる!)」
「ヒラヒラ!(死んだ後の楽しみができた!)」
「ギョギョ!(いいわね、夢があるわ!)」
「これは同意が取れたとみてよいのかのう」
「そうでしょうね」
「じゃあ聖女様とリンネに座布団一枚ね」
聖女マリアンヌ様が四枚、リンネさんが六枚です。
「時間が来たことだし、今日はもうこれでお終いとする。夜の間は、我は席を外す。皆は寝るなり話し合うなり自由に時を過ごすといい。その間は貴様らの姿は放映されない。密談がしたいものはするといい」
本日の会議はこれで終了です。一日での解決はできませんでしたか……。




