最初の議題はお父様から?
「我が司会を務め始めようではないか」
勇者様の号令で遂に世界会議が始まります。
「まず始めに何について話し合おうか?議題あるもの挙手せよ」
「うむ、まずはわしから行かせてもらおう」
お父様が挙手しています。大丈夫でしょうかハラハラします。
「所属と名前を言いその後に発言するとよい」
「ファングレス王国国王ツバイス・ラン・ファングレスである。皆のもの!我らの世界の名前を決めようではないか!世界の名前決めこそ、この栄えある世界会議の第一の議題に相応しい!」
「ええで~名前決め。大事なことやしな」
「勇者殿に名もなき世界と言われる度に悲しい気持ちになったものだ」
商業国家エセベンサイカンのホナ国王とカールした口髭が特徴的なバブリッシュ王国のピンドン国王が賛同します。
「俺たちの世界の名前が決まるのか」
「何になるんだろうな」
「かっこいいのがいい!」
世界中から期待を寄せる声が集まってきます。気になります。隣で一緒にスクリーンを見つめるグッド宰相に話しかけましょう。
「グッド宰相これはお父様のアドリブですか?」
「いえ、イリス姫さま台本通りです。国王様が何か議題を持ちこみたいと是非にとおっしゃったので皆で考えました」
「そうですか、因みに名前の候補も考えたのですか?」
「はい、それはもう皆でああではないこうではないと意見を出し合いまして、残念ながらその結果会議のほとんどの時間を要してしまいましたが……」
「期待しても?」
「ええ大丈夫です!」
自身満々です!期待しましょう!お父様が立ちあがります。
「それでなもう既に候補は考えてあるだ。皆のものよく聞け!それは……」
「ちょっと待った」
勇者様が制止します。
「悪いが基本世界の名は神が決める権利を有している。勝手に決めてもいいが神が決めた名が登録されるため意味のないものになるぞ」
「「なんと!?」」
お父様とグッド宰相がハモリます。仲いいですね。
『登録されるの?どこにかしら?』
芯の強そうな女性の声、この声は武神様ですね。
「ふむ答えようこの世界の武神よ。此度この世界の創造神はアインシュテルネへの参加を許可された」
『ホント!?創造神様アインシュテルネですって!』
アインシュテルネとはなんでしょうか?
「アインなんちゃらってなんだ?」
「あっ飲酒してるね?だろ」
「ちげえよ、愛しゅてるねだろ」
「答えよう、国民共よ!アインシュテルネとは全世界で最大規模を誇る各世界の上位神のみが集う神様の互助組織である!これに参加できる神はほんの一握りであり、大変名誉なことである!つまりだ!誇れ国民共よ!貴様らの神は他の世界の偉い神様にも認められたってことだ!」
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!」」」」」」」
「凄いことなんですね」
「そうでござる」
「ござるさん!」
「アインシュテルネは参加に対してはその仕事ぶりを評価した他世界の上位神三名の推薦がなくてはならないと言われている狭き門でござる」
「この世界の創造神よ!誇れ!貴様の数えることができない程の長い年月をかけた仕事が認められたぞ!泣け!もう一人で背負いこむことはない!これからはアインシュテルネの仲間がいるぞ!」
「実態は神様同士で酒を飲んで愚痴を言い合ったりしていると聞いたことがあるでござる。神様は孤独でござるからな。そういう組織も必要なんでござるよ」
一人ぼっちで世界を見守っていてくれた神様がこれからは一人じゃない。いい話です。あっポツポツと雨が降って来ました。温かい雨です。
「神様泣いてるんでしょうか?」
「お母さん神様泣いてるの?」
「どうかしらね、嬉し涙だといいわね」
はわわっ、私のつぶやきが採用されてしまいました。恥ずかしいです。
「アインシュテルネに登録された世界の名は全世界に広まり二つとない名となる!神よ!既存の世界の名を記したリストを送付する。その中にはない名を決めよ!」
『創造神様のお言葉を伝えるわ。愛する我子たちよ、皆が生きる世界だ、皆で決めたもので良い。とのことよ』
「では代表者共にリストを開示する。このリストにない名を選べ」
「すごい量があるんやな~」
「皆さんどうやって名を決めているのですか?」
聖女様がリストを確認しながら勇者様に問いかけます。
「一番多いのは神の名を借りることだな。自分たちの世界を創ってくれた神に感謝を込めて神の名を名乗る世界が多い」
「ではアーガレストとしましょう!創造神アーガレスト様の名を頂き私たちも感謝を込めてアーガレスト世界と名乗りましょう!幸いリストにもありません!」
「いいんじゃねえか?」
「アーガレストか呼びやすいしいいと思うぜ」
「やっぱ聖女様はいいこと言うな」
「「「「「「「アーガレスト!アーガレスト!アーガレスト!」」」」」」」
「はい、聖女マリアンヌ民衆の半分以上の賛同を得たから座布団一枚ね」
聖女様の座っていた座布団の下に赤い座布団が一枚追加されました。
「ありがとうございます!神様いかがでしょうか?」
『ありがとう聖女マリアンヌ!神様にとっては憧れのシチュエーションなのよこれ!いいですよね、創造神様!……創造神様のお言葉を伝えるわ。『皆の考えた名だ否はない』だそうよ。もう素直じゃないんだから。痛い痛い痛い、創造神様の恥ずかしがり屋』
「では皆さん決を取りましょう!この世界の名はアーガレスト!賛成する人は手を挙げてください」
聖女様が代表者に呼びかけます。皆が手を挙げる中、お父様がノロノロと手を挙げています。お父様の手が伸びきると皆の手が光り空に向かって伸びて集まり弾けました。可決です!聖女様が立ちあがり両手を広げます。
「今ここにアーガレスト世界が産声をあげました!アーガレストの名を広めるのです!」
「「「「「「「アーガレスト!アーガレスト!アーガレスト!」」」」」」」
お父様が項垂れています。あっグッド宰相もです。
「アーガレスト良い名です……ハハッ」
流石にお父様でもあの流れで自分の意見を言うのは無理だったようです。因みに後から聞いたところ神話から取って栄光の船<<シュトールン>>だったそうです。創造神様のお名前に比べると弱いでしょうか。




