勇者様は寝転がってなんか凄いことを言っています
ベッドに横なっている勇者様の前にスクリーンが表示されました。私の前にも同じ画面が表示されます。十歳くらいの男の子が映っています。
「皆様にご連絡です。私への連絡は公平を期するため全ての民に表示されます。あーあーあーでは少年我に何の用だ?」
ベッドでうつ伏せになりながら画面を見上げ偉そうな声を出しています。ちょっと可愛いです。
「ピースメイカー様、僕にも世界会議に参加する資格を!」
「ふむ、亡国の王子か」
「そうです。僕の名はクダルフォン・ラン・アルバスタ。アルバスタ王国の第一王子です。いえ、でした」
「問おう、少年よ。汝は世界会議で何を為す?」
「アルバスタの再建を!避難して逃れたアルバスタの多くの民がいるのです」
「よかろう。そなたにも王たる資格があるとみた。右手を天に掲げよ」
<<マーク・オブ・キング>>
少年の右手が光輝きます。
「ありがとうございます!」
「おお、ぼっちゃま、いや我らが王よ」
「「「王よ!」」」
「皆、苦労させてごめん。でも絶対世界会議でアルバスタを勝ち取ってくるから」
「「「王!王!王!」」」
「私にも王たる資格があるのだろうか……」
スクリーンに鎖に繋がれたみすぼらしい格好の女性が映ります。ここは牢屋でしょうか?
「そなたは亡国の姫か?」
「私の声が届いたのか!?私の名前はクリストファー・ラン・キベルタ。今はこんな身なりをしているが、今は亡きキベルタ王国の第一王女だ」
「そこは魔国の牢の中か」
「そうだ、我らは魔族に捉えられ奴隷や家畜として売られていく定めだ」
「世界会議への参加を望むか?」
「我らは負けた身、だけど望んでもいいのだろうか?」
「何をだ?何を望む?」
「失われしキベルタをだ。そんなことは叶わないとわかっている。だが望んでしまうんだ……」
「全ては世界会議次第だ。世界会議の結果によってはキベルタを元に戻すことも可能となろう」
「本当か!?ならば望むぞ!私も世界会議に出たい!」
「いいだろう。鎖に繋がれているか。そのままでよい。右手に王の印をやろう」
<<マーク・オブ・キング>>
「チャンスは与えた。それを生かすも殺すもお前次第だ」
「ああ」
涙が彼女の頬を伝います。
「他の亡国の直系は……残ってないな。聞け!失われし国の民たちよ!貴様らの代表は先ほどの二名、クダルフォンとクリストファーだ!願え!伝えよ!どうして貰いたいか」
「私の旦那を返して!」
「僕の家族を生き返らせて!」
「ヒョンダル王国を!」
「ススキンザ王国を!」
「クダルフォンとクリストファーよ、他の亡国の民の願いも叶えてみせよ」
「ああ、わかった」
「わかりました」
「他に我に用あるものいるか?」
「王よ、今よろしいでしょうか?」
画面に美しいドレスを纏った女性が映ります。
「オリュンダ王国の王妃か、なんだ?」
「私の手に印がないのですがどうしてでしょう?」
「ふむ、オリュンダ王国は国王が存在するな、そちらに印があると思うが」
「我が夫は長らく病で臥せっております。私が代わりに国政を」
「では選べ、王の病を治し王が出席するか、それとも今これより貴殿が正式な王となり出席するか」
「我が夫は名君と謳われた賢王でした。叶うならば夫に出席して貰いたいです」
「そうかならばお主が王の手を握れ」
「手をですか?」
「そうだ、時間が惜しい走れ」
謁見の間にいた王妃がドレスを掴みあげ走って王城内を移動します。寝室に入りました。一人の男性が横になっています。手を握ります。
「ハアハア、こ、これでよろしいでしょうか?」
「元気だった頃を思い回復を願え」
「はい!」
王妃様が男性の手を両手で包み、おでこを乗せ祈ります。
<<オール・ヒール>>
男性を優しい光が包みます。
「頬をペチペチしてやれ」
「ペチペチですか、こうでしょうか」
王妃様が男性の頬を手の平でペチペチします。
「む、私は……」
「あなた!」
「エリーゼか、私は一体?」
「明日までにちゃんと今日あったことを説明しておくように」
「はい、ありがとうございます!」
「「「「「「「ピースメイ!ピースメイ!ピースメイ!」」」」」」」
無数のスクリーンが表示されます。皆さんのまだいたんですね。
「他には誰かあるか?」
「わしじゃ。わしも参加者のようじゃからのう。質問よいかの?」
「「「「「「「リンネ!リンネ!リンネ!」」」」」」」
「リンネか、いいよー」
「いきなり気安いのう」
「ちょっと王様疲れてきた」
勇者様がベッドの上でゴロゴロしながら言います。やっぱあれは演技だったのでしょうか?
「お主がよいならそれでもよいのじゃ。明日からやるのはわかったのじゃがいつまでやるんじゃ?」
「皆からの議題がなくなるまでだよー」
「うむ、そうかでは議題がなくならない限り会議はずっと続くということじゃな」
「いい質問だね、その通りだよー」
「そうか、では次じゃ、どこまで叶えてくれるのじゃ?先ほど亡国を元に戻すとか聞いたが不可能じゃないかのう」
「それもいい質問だね、会議で可決したことは可能な限り叶えるよ。自由な発想をして欲しいからね、こう言うよ」
勇者様がベッドで仰向けになって両手を広げます。
「全てだ!良いかよく聞け!会議で可決されたことはピースメイカーの名にかけて全て叶えてみせよう!誰がだ!神かもしくは我がだ!」
「「「「「「「ピースメイ!ピースメイ!ピースメイ!」」」」」」」
「ヤマダに叶えられない願いはない!」
「全てだ!全て叶うぞ!」
「自由な発想でね、それが大事よ!」
「「「「「「「ピースメイ!ピースメイ!ピースメイ!」」」」」」」
「うむ、では例えばじゃ。此度の戦争が起こる前に戻してくれ!とかありなのかのう?」
「ありでしょ」
「「「「「「「あり!あり!あり!」」」」」」」
「なしでしょ」
「「「「「「「なし!なし!なし!」」」」」」」
「ヤマダどっちだ!?」
「……あーそういう感じですか、了解です」
勇者様がどこかに確認を取っているようです。
「我が答えよう!此度の戦争はもう世界の歴史として刻まれた。ゆえにそれを覆すことはできない。それがこの世界の神の見識だ!もう少し語ろう、この世界の仕組みだと死した魂は巡り浄化され新たな生命の魂として宿る。すなわち死者を生き返らせようとすれば芽吹いた新たな生命が死に絶えることになる。ゆえに覆すことができないのだ。それが一般的な見識だ」
「「「「「「「ブー!ブー!ブー!」」」」」」」
「当たり前よね、だからなしなのよ」
「つまんねえ叶えろよ」
「でもだろヤマダ!」
「聞け!名もなきこの世界の住民よ!それでもだ!それでも望むか?それでも願うか!?元の世界を!?この戦争をなかったことにしたいか!?」
「したい!僕はこの戦争をなかったことにしたい!」
「したいぞ!私も望む!元の世界を!」
亡国の王子や姫が叫びます。
「ならば叶えよう!我が叶えよう!新たな生命が死ぬこともなくこの世界の仕組みが壊れることもない再生を!」
「「「「「「「ヤマダ!ヤマダ!ヤマダ!」」」」」」」
「……あー神からお言葉を賜った『時を戻すのはダメだ』とのことだ」
「「「「「「「ブー!ブー!ブー!」」」」」」」
「ならば!元の魂の複製に記憶の残滓から記録の頂きから寸分違わぬ生命を生み出すのはどうだ!我ならば出来る!元の人間と寸分違わぬ人間の創造が!どうだ神よ!」
「は!?マジかよ無理だろそんなん!」
「私じゃ無理だわ」
「これぞヤマダの真骨頂でござる!神よりも神!でござる!」
「どうなんだ!有りなのか?」
「「「「「「「有り!有り!有り!」」」」」」」
「……神からの言葉を授かった『それならば有りだ』と!皆聞け!この世界の住民よ!此度の戦争はなかったことにできるぞ!」
「「「「「「「うおおおおおおおおおおお!」」」」」」」
「お父さん帰ってくる?」
「そうよ!お父さん帰ってくるのよ!」
「やったあああああああ!」
「あーだが聞け!皆のものよ、それも世界会議の結果次第だ。世界会議で世界を元に戻すと可決されればの話だ。わかるな我は全てを叶えよう。しかし願うかどうかは皆の決断次第だ」
「成るほどの、つまり世界平和のためにお主にやってもらいたいことを決めればよいのかの?」
「勿論、皆が協力すれば叶えられる願いを可決してもいい。その方が健全だろう。しかし、手が及ばない願いもあろう。その場合は我か神か、そのどちらかが叶えてやろうという話しだ」
「神は嫌いじゃからお主がよいのお」
「それは内容次第だ。後、制約がある。大事な話しだ良く聞け!」
制約とは何なのでしょう?




