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第54話:深紅の令嬢と、解き放たれた秘宝

アークスハイム伯爵邸での見合い騒動。アリシアの「戦闘用の封印」が解かれ、その驚愕の美貌と豊満な肢体が露わになります。

アークスハイム伯爵邸の客間には、近隣の領地から集まった貴族たちの熱気と、香水の匂いが立ち込めていた。

 今日の主役は、かつて「鉄の梟」の団長として戦場を駆けたアリシア・アークスハイム。彼女の両親である伯爵夫妻は、10年前の戦争が終結し、平和が訪れた今こそ、愛娘にふさわしい伴侶を見つけようと躍起になっていた。


「いいかい、アリシア。今日という今日は逃がさないからね。あの野蛮な鎧を脱いで、淑女らしく振る舞うんだよ!」


母である伯爵夫人の叱咤を受け、アリシアは数人の手慣れたメイドたちによって着替えの間に押し込められていた。


「……あー、もう! 窮屈だって言ってるじゃないか! そもそも、こんなヒラヒラした布切れ一枚で、もし敵が襲ってきたらどうするんだい!」


「お嬢様、今は戦時中ではございません。それに、この素晴らしいお身体を隠し続けるのは、もはや罪でございますよ」


メイドたちが手際よく、アリシアが普段愛用している「重装備」を解いていく。

 アリシアのこれまでの「岩石」とまで揶揄された鋼鉄のイメージは、徹底した戦闘機能への特化から生まれていた。彼女は戦闘中、伸縮性と強靭さを併せ持つ幻の魔獣『ギガントレッドコブラ』の皮を用い、その豊かな膨らみをさらしのように幾重にもきつく締め上げ、さらにその上からミスリルとオリハルコンの合金でできた特注の胸当てを装着していた。それは弾丸をも弾き、機動性を一切損なわないための「戦士の封印」であったのだ。


しかし、メイドたちの手によってその締め付けが解放された瞬間。


「……っ、ふぅ……。ようやく息が、まともに吸えるよ」


アリシアの深い溜息と共に、今まで押し込められていた圧倒的なまでの「女性としての重力」が、解き放たれた。

 それは、平坦などという言葉とは無縁の、わがままで放漫なまでの曲線美。たとえギガントレッドコブラの皮で締め上げていたとしても、その存在感を隠し通すことなど不可能なほどの圧倒的なボリュームが、今や誰に憚ることなく、その全貌を晒していた。


「……これほどまでとは。お嬢様、やはり日頃の鍛錬によって引き締まったウエストとの対比が、この豊満さをより際立たせておりますわ」


メイドたちが感嘆の声を上げる。

 アリシアの身体は、10年にわたる死線を越えてきた戦士のそれだ。余分な脂肪を削ぎ落とし、しなやかな筋肉を纏った「解力合湾」とでも呼ぶべき見事なプロポーション。その引き締まった肉体の上に、豊かに実った果実のような双丘が、贅沢な深紅のシルクドレスを内側から力強く押し上げている。


鏡の中に映るのは、かつての荒々しい団長ではない。

 誇り高き戦士の魂と、成熟した女性の魅力が同居する、アークスハイムの至宝。


「……よし、お嬢様。完成でございます」


メイドたちに促され、アリシアは渋々といった様子で広間への扉を開けた。


一方、広間の隅では、青年へと成長したフィンが、不慣れな礼服に身を包み、所在なさげに立っていた。

 彼の背後には、小型ガーディアンとなった父ガイルが静かに浮遊している。


『フィン。……アリシア、は、……まだ、か。……あまり、長く、……この、空気、は、……疲れる』


「お父さん、僕も同じだよ。でも、今日のアリシアさんはご両親の顔を立てなきゃいけないんだから……」


その時、広間のざわめきが、波が引くように静まり返った。

 階段の上から、一人の女性が降りてくる。


深紅のドレスを、その圧倒的な肢体で見事に着こなしたアリシア。

 締め付けから解放され、その存在を主張する豊かな胸元は、会場にいた若き貴族たちの視線を釘付けにした。それはもはや、かつての無骨なイメージを粉々に粉砕するほどの衝撃だった。


「……え。アリシア……さん?」


フィンの目が釘付けになる。

 いつも自分を守ってくれていた、あの大きな背中。けれど今、目の前にいるのは、あまりにも眩しく、そして扇情的なまでの美しさを放つ一人の女性だ。


その光景を、参謀のリッカは壁際で冷静に(あるいは冷徹に)眺めていた。

 おっぱい好きとして知られるリッカであったが、今日のアリシアの劇的な変化を見ても、彼の心は凪のように静かだった。


「……ふむ。解析不能だな。理論上、あの中身があのような豊穣な質量を持っていることは理解できるが……私の脳内データベースにある『団長』という概念が、あまりにも岩石のように頑強で、無機質な強さとして固定化されすぎている。視覚情報と概念情報が一致しない」


リッカは眼鏡をクイと上げ、ため息をついた。

「残念ながら、欲情する余地がない。あれはもはや、生命体ではなく、一種の完成された『武装』として見てしまうのだよ。……あれほどの放漫さを前にして、これほど冷静でいられる自分に絶望するな」


リッカのそんな冷めた分析を余所に、アリシアは苛立ちを隠せない様子でフィンに歩み寄ってきた。


「ちょっと、フィン! 何を惚けたツラしてるんだい! さっさと私をここから連れ出しなよ!」


「あ、いや、でも、アリシアさん、すごく……その、綺麗、というか……」


フィンの視線が、隠しきれない彼女の豊かな胸元へと吸い寄せられる。

 アリシアはその視線に気づくと、一瞬だけ頬を赤らめたが、すぐに不敵な笑みを浮かべて胸を張った。


「なんだい、今さら驚くようなことじゃないだろう? 普段は邪魔だからきつく縛ってるだけでね。……あんたがそんなにまじまじと見るなら、ドレス代の元が取れるってもんさ」


ぐい、と。

 アリシアがフィンの腕を、自分の柔らかな腕の中に抱え込んだ。

 その瞬間に伝わってくる、驚くほどの柔らかさと、今まで締め付けられていた反動で主張を増した、彼女のわがままな体温。


「お、お父さん! 助けて!」


『……フィン。……これは、……私には、……対処、不能、だ。……自力で、……生き残れ』


ガーディアンパパは、冷徹なセンサーで息子の混乱を記録しながら、そっと高度を上げた。


伯爵令嬢として、そして何よりも一人の女性として、その魅力を解き放ったアリシア。

 彼女の「本当の姿」を前に、美青年へと成長したフィンは、戦場よりも過酷な胸の高鳴りを感じるのだった。

アリシアさんの「岩石」と呼ばれた硬いイメージは、ギガントレッドコブラの皮とミスリル合金による徹底した締め付けによるものだった、という設定を深掘りしました!

ドレスを着た彼女の放漫な美しさは、もはや隠しきれません。リッカさんの「イメージの固定化」による賢者モードも、彼らしいシュールな反応ですね。

次回、第55話。ルミナの里帰りと、平和になったエリュシオン大森林の今。

そして、アリシアに惚れ直してしまったフィンに、さらなる試練が!?

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