101話 マーガレットの暗示とお茶会の招待状
優梨達はお風呂に入った後、リビングで少し雑談して、二階に上がったのだった。
「それじゃあ。自分の部屋はこっちなんで。ユリ先輩。アリス先輩。おやすみなさいっす。」
«おやすみなさい。»
「ふぅ。やっぱりふかふかのお布団で寝られるって最高だね。」
「泊まらせてくれたマーガレットさんに感謝しなくちゃ…」
「アリスちゃんの言う通りだ。それにしても今日は驚くことばかりだった。まさかマーガレットさんが
リュナさんって女の人と結婚してて、さらにその人との娘さんが居たなんて。女同士で子供が作れるなんて、私がこの世界に来て一番驚いた気がするよ。」
「アタシも驚いた…でもそれより嬉しい感情の方が大きかったな…」
「嬉しい感情の方が…?」
「ねぇ…いつか方法を教えてもらえたら、アタシと子供を作ってくれる…?」
「なっなっ…」
「その反応、嫌…?」
「違うよ!嫌なわけじゃない!ただ…」
「ふっふっふ。」
「何で笑ってるの…?」
「わかってるよ。まだ想像出来ないぐらい。結婚してから考えようね。」
「はっはい…」
優梨は顔を真っ赤にした。
「でも女同士の場合、子供ってどうしたら出来るのかな?」
「そっそれはやっぱり…」
「今、スケベな発想したでしょう?」
「してないから!」
「そう?アタシはしたけどな…」
「なっなっ…」
「予行練習する…?」
「そっそっそれって…?」
「冗談だよ。それもまだ早すぎるよね。」
「なっ何だ…」
「でもキスぐらいはいいでしょう…?」
「うっうん…キスなら…?」
二人はキスをした。
「今日はしてなかったから、一回じゃ足りないな…?」
「アリスちゃん…」
「おかわりするね…?」
眠りにつくまでひたすらキスをした。
「女同士で子供を作れるなんて…いいな…」
メアは羨ましがっていた。
−それから二時間後−
(ふわぁぁ…さっき寝る前にジュース飲みすぎたかな…?)
「スゥゥ…スゥゥ…。」
(ふっふ。可愛い。)
アリスは起き上がると、階段を降りてお手洗いに行った。するとその帰り際…
(あれっ…?まだリビングの明かりがついてる…?マーガレットさん、まだ起きてるのかな…?)
【我の計画はすでに最終段階になった、順々なる下僕よ、時が来たら我のために動くのだ、わかったな?】
《はい。ソウル少将様。》
【それでよい。フッフッ…】
「マーガレットさん…?まだ起きてたんですか…?」
「はっ!」
(しまった、今の聞かれたか!?)
「ああ。仕事の資料を見てたんですね?」
「えっええ。少しやることがあったから。」
(どうやらさっきの会話を聞いてはいないようだな…?)
「大変ですね。隊長って。」
「まっまぁね…アリスちゃんはどうしたの…?こんな遅くに…?」
「ジュース飲みすぎたみたいで…お手洗いに行ってたんです…」
「そうだったのね。」
(つまりソノサキユリは近くに居ないんだな…?これはチャンスだ…)
「今日はありがとうございました…マーガレットさんを本当のお母さんみたいに甘えられて、アタシ、すごく嬉しかったです…」
「いいのよ。お礼なんて言わなくて。」
「マーガレットさん…」
【なぜなら今からきさまは我の下僕になるんだからな?】
「えっ!痛っ!?」
アリスは両肩を強く掴まれた!
「まっマーガレットさん!?」
【私の目を見て】
「目を…?あっ…あっ…」
(なっ何!体が縛られたみたいに動かない!)
【ソウル・コントロール】
「うぐっ!」
アリスの瞳が赤くなった。
【これで今からきさまは我の下僕だ、わかったな?】
『はい、ソウル様…』
アリスは片膝を床に着いて答えた。
【それでいい、きさまは部屋に戻って眠ったら、我が指示を送るまでこの出来事を忘れるのだ、わかったな?】
『はい、ソウル様…』
【いいぞ、では部屋に戻れ。】
『はい。』
アリスは部屋に戻って行った。
【これでいつでも奴を手駒に出来る…だがまだ使わん…時を待つのだ…時を…】
−そして次の日の朝−
「んっ…もう朝か…」
(優梨さん、おはようございます。)
(ふわぁぁ…メアちゃん、おはよう。)
「スゥゥ…スゥゥ…。」
アリスはまだ優梨の手を握って眠っていた。
「可愛い…私に似てるとか、もうどうでもよくなるくらい…昨日はいきなりだったから、はぐらかしちゃったけど…本当は私も…」
すると階段を勢いよく上がって、ララが部屋に入ってきた!
「ユリ先輩、アリス先輩!!大変っす!!」
「どっどうしたの!?」
「ふわぁぁ…何…?」
「見てください!今、郵便ポストを見に行ったら、お二人宛の封筒が入ってたんす!」
「あっ本当だ…私達、宛だね…?」
「でも誰からかな…?」
「それが重要なんっすよ!封筒の裏表を見てください!」
「裏表…?何々…魔族…レア大佐より!?」
「魔族!?」
「そうなんっすよ!!魔族から送られてくるなんて、自分、聞いたことがないっす!!もしかしたら、中身はお二人への宣戦布告の手紙かもしれないっす!」
「宣戦布告…?」
「まだそうと決まったわけじゃないんじゃ…?」
「とりあえず封筒に何が入ってるから、見てみてください!」
「そっそうだね…?」
優梨が恐る恐る封筒を開けると、中には手紙のようなものがニ通入っていて、そのうちの一通を読んでみることにした。
「なっなんて書いてあるんっすか…?」
「えっと…」
"初めまして、可愛い冒険者のソノサキユリとアリス。私はサウスの近くの森に城がある、魔族レア大佐よ。いきなりで驚くでしょうけど。12日の午後にお茶会を開くから。あなた達をご招待したいのよ。城までの道のりはもう一つの手紙に描いてあるから。来てくれる事を期待して楽しみにしているわ。魔族レア大佐より。"
「お茶会の招待状…」
「これは絶対に罠っす!行くことないっすよ!」
「アリスちゃん…私…」
「わかってるよ。」
「ありがとう。」
「まっまさかとは思いますが…?行くつもりしてるっすか…?」
«うん。»
「どっどうして…?」
「お礼が言いたいから。」
「お礼…?どうして魔族にお礼なんて…?」
「実はね…」
二人はララにメグ少佐との出来事を話した。
「そうだったんすか…そんなことが…?」
「だからサウスには魔族退治に来たんじゃなくて、魔族にお礼を言いに来たんだ…内緒にしててごめんね…?」
「謝らないでくださいっす。お二人がサウスの街に来てくれてなかったら、今頃、あの森でストライク・イノシシに殺されてるはずっすから。」
「わかってくれるってこと…?」
「もちろんっす。敵だろうと何だろうと恩人は恩人っすもんね。」
「ララちゃん…」
「お礼言えるといいですね。自分、応援するっす。」
「ララちゃんと友達になれてよかったよ。」
「アタシもだよ。」
「そっそんな…自分みたいな駄目な冒険者と、あなた達みたいなすごい人と友達だなんて…おこがましいっすよ…」
「駄目なんかじゃない。」
「あなたは私達の最高の理解者だもん。」
「ユリさん…アリスさん…」
「あっマーガレットさんに手紙のこと言ったほうがいいよね…?」
「そういえば、マーガレット姉はお二人の考えを知ってるっすか…?」
「うん。冒険者ギルドで話したから。」
「そうでしたか。」
優梨達は一階にいるマーガレットにお茶会の招待状が来たことを伝えに行った。
「なるほど。12日、つまり今日の午後に魔族からお茶会に誘われたというわけね。二人はどうするつもりなのかしら?」
«行こうと思ってます。»
「そうでしょうね。私はあなた達の考えを応援するわ。行ってきなさい。」
「でもいいんですか…?ギルドに報告しないで…?」
「この場合、ギルドのルールに背くことになるんじゃ…?」
「知ってるのは私とララだけよ。秘密にするわ。」
「そうっす。自分も絶対に喋りません。」
«ありがとうございます…»
「何にせよ。出掛けるんだから腹ごしらえしなくちゃね。朝ご飯はもう少しで出来るから待ってて。」
«はい!»
優梨達がリビングに行った、すると…
(驚いたぞ、まさかこんなに早く…その時がやってくるとはな…?これで我の計画を実行するための駒がすべて揃った…この日をどれほど待ちわびたことか…フッフッフ…)
マーガレットは目を閉じて、昨日、連絡を取っていた人物にテレパシーを送った…
【順々なる下僕よ、いよいよその時が来た。ソノサキユリ達が魔族の城に向かい次第、計画を実行するぞ、よいな?】
《はい。ソウル様…》
【期待しているぞ、マナ。】
ついに動き出すある恐ろしい計画…果たして何が起きるのか…?