100話 アリス、マーガレットに甘える。
「ただいま帰ったっす!」
「お帰りなさい。ララちゃん。」
«ただいまです。»
「二人もお帰りなさい。」
「マーガレットさん、帰ってきてたんですね?」
「ええ。いつもこの時間には帰ってくるようにしてるわ。ララちゃんが寂しがったら可哀相だから。」
「なるほど。」
「自分、そんなに子供じゃないっすよ…」
ララは照れた表情でむくれた。
「ふっふ。晩御飯は出来てるけど、食べるかしら?」
「食べるっす!歩き疲れて腹ペコペコっすから!お二人もそうっすよね?」
«うん。»
「わかったわ。今、用意するわね。」
優梨達はマーガレットの作った料理を食べた。
«ご馳走様でした!»
「とても美味しかったです。」
「やっぱり自分より料理作るの上手っす。」
「喜んでくれてよかったわ。」
「美味しくて…とても温かい感じがしました…おふくろの味ってこんな感じなのかな…」
「アリスちゃん…」
「アリス先輩はおふくろの味を知らないんですか…?」
「知らないというか、忘れちゃった…幼い頃にアタシの両親はモンスターに殺されちゃったから…」
「そっそんな…」
「そうだったのね…?」
「あっ!でも姉が親代わりだったので寂しくはなかったんです!ただお母さんにご飯を作ってもらったら、こんな感じなのかって思っちゃって…それで…」
「すっすみません…自分、無神経なこと聞いちゃったみたいで…」
「いいんだよ。ララちゃんは何もわるくないから。」
「じゃあ、アリスさん。この家にいる限りは私のことをお母さんだと思ってくれていいのよ。」
「えっ…?」
マーガレットはアリスをそっと抱きしめた。
「これって一体…?」
「私にはあなたぐらいの歳の娘がいるから。何だか他人事だとはとても思えないの。だからいいのよ。本当の娘みたいに甘えてくれて。」
「マーガレットさん…」
「好きな呼び方でいいのよ。」
「まっママ…」
「はい。アリスちゃん。」
「うぐっ…うぐっ…」
「アリスちゃん。」
「アリス先輩。」
優梨とララはマーガレットに甘えるアリスを優しい眼差しで見ていたのだった。
「みんな歩き疲れたでしょう。お風呂沸かしてくるわね。」
「居候だし、自分がやるっす!」
「いいのよ。私がやるから。」
マーガレットは微笑むとリビングを出た。
「マーガレットさんって本当に優しい人だね。」
「家事も出来るし、ギルドの仕事も完璧にこなすし、おまけにあの美貌っすから。非の打ち所ないっすよ。」
「ママ…」
しかし、お風呂場に着いたマーガレットはさっきとは別人のように鋭い目つきをしていた。
(やったぞ、今のでアリスという娘は心を許したはずだ、これでいつでも暗示をかけられる。だがしかし肝心なのはソノサキユリとあのララという間抜け娘だ…ソノサキユリはあんなとぼけた顔をしながら、底知れぬ力を感じた、慎重にやるべきだろう…そして、なぜか何度、暗示をかけてみてもララという娘には全くかからない…ただ暗示がかからないぐらい相当鈍感というだけなのか…?まぁいい、少し様子を見るか…焦らなくても我の計画を実行出来る時がきっとやって来るはずだからな…)
ちょうどその頃、家の前にあの犬耳メイドの姿があった。
(どうしよう…?どうやってこの手紙を渡そう…?やっぱり直接、渡した方がいいかな…?)
優梨に会った時のことを思い出した。
『ごめんね…?怪我はない…?』
『はっはい…』
『ならよかった。』
(ワゥゥン♡だっ駄目だ。あの子に直接会って、手紙を渡すのはドキドキしすぎて、とても出来そうにない…仕方ない、郵便受けに入れることにしよう…?誰に送った手紙かわかるように名前を書いておいたほうが良いよね…?)
ロリメイドは手紙が入った封筒にペンで優梨達の名前を書いたら、家の郵便受けに投函した。
(夜も遅いし、みんな心配してるはず…早く城に帰らなくちゃ、ソノサキユリ…)
犬耳メイドは切ない表情をすると街を出た。
「帰るためとはいえ、やっぱり暗い森の中を歩くのは少し怖いな…」
『遅かったですね。』
「えっ…?」
すると帰り道にメグ少佐が現れた。
「メグ様!どうしてこんなところに!」
「あなたの帰りが遅かったので、心配になって迎えに来たんですよ?」
「心配してくださったんですか…?」
「当然です。あなた達、メイドは部下であり、大事な家族でもあるんですから。」
「メグ様…」
「さぁ、帰りますよ。」
「はい。」
メグ少佐の腕にくっついた。
「歩きにくいですね…?」
「駄目ですか…?」
「まぁ…いいですけど…?」
「クンクンッ。安心する匂い。まるでお母さんみたい…」
犬耳メイドは城に着くまでくっついていた。




