幽鬼と鬼灯 5
今考えたら人ってとがった棒で刺すだけでやられるよね。、、、ちょっと考えるわ
「霧散鏡花」
この技を思いついたのは中学二年の頃だった。ハッキリ言ってネーミングセンスはないが、字が体を表していると思う。
理屈は簡単だ。何かで相手の視覚を遮り、その瞬間に後ろへ回り首を刈る。というシンプルなものだ。実際にこれを決めるには相手の注意を引けるものを持つことや相手の集中力を一時的に切ることなど限られた状態でないと成功しないが、今回は運が良かった。
「ふ~俺の勝ちだ」
首を飛ばせれ倒れているキョウジュウロウに話しかける。まだレベルアップの音楽を聞いていないし、姿が消えていない。
「、、、お、おぉ、、見、事、、な、り、、真、な、、る旅人、よ」
うっわ首だけ浮いてら、コワッ!
恐らくイベントシーンなのだろうが、なかなかにインパクトがあるな。
「力、の足、、り、ぬ身、、であり、、なが、ら、、俺を、、英傑を、、正面か、、ら倒、すと、は、、、」
背面からだけどね?少し流暢に話せるようになったキョウジュウロウは、更に言葉を続ける。
「、あ、あ、、かつて、の、いく、さより、幾、年、いま、こそ、しする、とき、」
キョウジュウロウの身体が崩れていく。どうやら本当に終わりのようだ。
「き、さま、なま、えは、」
「ホオヅキだ」
「ホオ、ヅキよ、こ、こ、は、どこ、だ」
ああ、場所が分からないのか。最初に〔鑑定〕で見ていて思ったが、こいつ、眼が見えないのか。
「藤咲社の境内だ」
キョウジュウロウの身体が震える。自分がどこにいるのか知った喜びだろうか?ずっとその場所にいたのに気がつかなかった驚きか?その感情が何なのか俺には分からなかった。
「こ、の、、」
「ん?」
「か、た、な、、を、あ、そ、、こ、へ、やく、そ、く、な、の、だ、」
社の方を指しながら、刀を持ち上げる。どうやら刀を社の方まで持っていってほしいそうだ。
返事をする前に、目の前にスライドが現れた。なになに?
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※注意
ここから先、返答次第でドロップアイテムが変わります。よく考えて行動してください
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ほーん。なるほど。つまり、この刀を社まで持っていけば本来手に入るはずだったものが手に入らなくなると?
チラリと刀を見る。古ぼけていても分かる立派な拵えをしている。先程切りあった感触からすれば、恐らくかなりの業物であることは推測できる。多分だけど上位ランカー達の武器にも匹敵するだろう。
そもそものところ刀というものは俺にとっての得意武器にあたる。現実だけではない、様々なクソゲーに登場し、幾度となく使ってきた武器だ。見た感じ特に癖もなさそうだし、というか使いやすいだろう。
ハッキリ言って、滅茶苦茶欲しい。
チラリとキョウジュウロウを見る。身体と離れた位置に浮いている頭から、そのないはずの眼から、頼るような、願うような、期待の込められた眼差しが向けられる。
男からこんな視線向けられてもなー。とはいえ、もう答えは出ている。ただ、少し腹が立つから、少しばかり付き合ってもらおう。
「はいはい、分かったよ」
そういいながら、刀を左手に持ち、頭を右に抱えながら、社の方へ向かう。
「!、な、に、を、」
「大体女性との約束を他人に任せる気か、バカたれ」
何かごそごそと動いているが無視だ無視。女性経験がない俺でもそんなことせんぞ、普通。
「雫さんって言うんだろ、その人」
「!な、ぜ、」
「いや第一声が「しずく」だったから」
「む、」
「その見えん目を限界まで見開いて確めろや」
「ぬ、ぅ、」
社の階段に足をかける。嫌な音を立てて軋む。一歩、二歩と踏み出すうちにこいつも覚悟を決めたようだ。
「開けるぞ」
「あ、あ、」
社の扉を開ける。瞬間、驚きの光景がそこにはあった。
「すげぇな」
「あ、!あぁ!」
古くなった壁、くすんだ鏡、剥げた塗装、それでもなお威厳を放つ内装、そんなことよりも目を引いたのは、床にあった一つの死体だった。
流石に現実のものに比べて補正がかかっていたが(何か少し綺麗な骸骨みたいな感じ)、巫女の服装をしており、床に仰向けで寝ている。骸骨ながらに、どこか寂しそうな顔をしている。
「見えてるか、お前。この人、多分だけどずっとお前のこと待ってたんだぞ」
「お、おぉ!」
脇の頭から返事はない。頭だけでありながら、この状況を理解できているようだ。
この女性は、恐らくずっと待っていたのだろう。何年も、何十年も、待っていたのだろう。立った一人で、愛した人を。
ヤバい泣きそう。
「刀、何処に置けばいい?」
「、、、」
返事がない。頭を思いっきりシェイクしてやろうかと思ったが、ちょうど女性の右肩の辺りに幣が横向きに置いてあった。
「よっとな」(ゴトッ)
幣と向きを揃えるようにして刀を置く。ついでに顔の横に頭をおく。
「し、ず、く、!」
キョウジュウロウが嬉しいような、どこか悲しいような、今までの死体のような声ではなく、よく通った声を出した。
「は!?」
キョウジュウロウの頭が煙をあげて急速に朽ちていった。それに答えるようにして巫女さん(骸骨)の死体も急速に朽ちていく。
さっきまで得意気だったが、こんなことになるとは思わなかった。やらかした感がハンパない。だがその感情も、次の瞬間には更なる驚きで塗り潰されていった。
朽ちた時に出た煙が、鎧姿の若者と、美人な巫女の姿に形を変えた。その二人は、とても嬉しそうに、やっと会えたと言わんばかりに抱きつき、泣いているが、幸せそうな顔をしていた。
途端、奥の古びた鏡から光が漏れる。思わず目を逸らしてしまうような光のなかで見た光景は、満開の藤の下で口付けをする二人と、それを見守る、まるで日本神話の神様の様な服装をした、女性が一人、、、あっ、こっち見た。
「へっ?」
光が収まった時に見た光景は、光が溢れる前に見た光景とは別物だった。いや、同じものなのだろうが、その光景を理解するまで少しの時間がかかった。
「すっげ」
真新しい壁、磨き上げられた鏡、ムラなく塗られた塗装、そして、太陽の光を柔らかく反射する綺麗な床には何もなかった。まて、太陽の光?
「まさか、、、!」
急いで外を確認すると、強烈な光が眼には言った。そして、行きを飲むような光景が広がっていた。
「雲が晴れてる、、、!」
あれほど分厚かった空は、今や一つの曇りもない空へと変わっていた。東から朝日が上る。そして、鳥居のようなものの前に出れば、更なる変化に気付く。
咲き乱れるは、藤の花。山を覆うように、藤の花が咲いていた。藤の花は、朝日を受け、幻想的な光景を見せていた。
思わず溜め息が出る。人間、感嘆すると案外溜め息が出るものだ。
「まぁ、こういうのも悪くないか」
少し新しくなった階段に腰掛け、タバコを取り出し、火をつけ、深く吸い込む。
あんにゃろうあんな美人な彼女(巫女さん)いて気が付かなかっのかよ。あいつも結構なイケメンだったし。まぁ、何だかんだで良かったと思うよ。
けれど、今一番気になるのはあの女性だ。あの人、予想を立てるならまず間違いなく女神、それもここで祭っている神様と答えるような容姿をしていた。着ている服もさることながら、顔も絶世の美女だった。
「ま、関係無いか」
恐らくここから先、会うことはないのだろうから。
《ポーン》
ユニークモンスター
迅雷のキョウジュウロウ が討伐されました。
討伐したプレイヤーは ホオヅキ です
「刀、持っていっちまったな、多分。欲しかったなー、あれ。まぁいいけど」
タバコの煙を吐きながら、満足そうにそう呟く。
「なぁこれ、お前がやったのか」
〈ポーン〉
ユニークモンスター 【八皇】
怒髪の妖鬼妃・ユラ
と 遭遇しました
瞬間、世界が止まった。
みんな気になるタバコの設定
タバコ:コモン
一般に売られているタバコ。子供は吸っちゃだめだよ✨
裏設定
タバコ:コモン
未成年アバターが吸うとひどい苦みとえぐみがプレゼントされる。ついでにデバフでVITが格段に下がる(個人差)。主人公はまあこんなものなのかと思っている。




