プロジェクト・レブンズ3
澄み渡る青空に一点の黒点。
広がる混濁は、濃く、深く。
「最悪」は、動き出しました。
少女は突飛な出来事と出会いの連続と、日常からの剥離に気付く頃。
限られた選択肢は刻々と手元から消えていきます。
──目に見えぬ暗雲から、思想と思惑の雨が降り始めます。
※機密書類につき、要厳重保管。
・プロジェクト レブンズ
~研究途中経過資料~
当管轄内での成功個体全7体のコードネーム及び『役割』の分担が完了。
個別呼称は随時変更可能である。
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レブンズ01 [統率型] 「シンフ」
レブンズ05 [夜行型] 「ノク」
レブンズ28 [共鳴型] 「ソーナ」
レブンズ36 [反復型] 「ロロン」
レブンズ44 [独立型] 「ケルツ」
レブンズ49 [無形式] 「リオ」
レブンズ00 [万能型]
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*レブンズNo.00であるラプソディの捕獲が難航中。
最悪の場合、管轄下にある6体のいずれかにラプソディの役割を継続させ、放棄する方針。
しかし、この個体の研究価値は他6体を優に上回る。
この案件を最重要案件とし、利用可能な権利を最大限、又はそれ以上に行使し、案件の早急な解決に向ける。
《作成者》
〈政府研究開発独立機構 GRDIO〉
【プロジェクト レブン担当研究員】
[キリヤマ ユキヤ]
____コーバスシティー
グラディオ特殊研究棟?-?-?
「今日は何を…するんですか…?」
カプセルから出され、真っ先にベットに寝かせられて拘束具を付けられる。
「あの……ぇ…?」
「それで何をっ…!?」
「やだ!!目ぇ引っ張らないでぇッ!!!」
「いぃッ!!!いやっぁぁ!!やめ………」
グチャ……
「ああああぁぁぁぁッッ!!!」
「ぁいぎぃぃぃ……たぃ目ぇァッッ!!!!」
「五月蝿いですよー?これも研究の一環なんですからガマンしてくれないと〜」
情けない声を上げる身体。
この時点で失敗してるも同然だ。
それでも一番最初よりはマシになった方で、あの時の方がもっと杜撰な姿を晒していた記憶がある。
「ぎィイィ………ぁぁ…………」
「まだまだダメですかねぇ〜」
「ィ…………たぃ……ッ…ぢが……」
最初はもっと酷かった。
ちょっと首を切られたりするだけで血が出て………
「後は〜……」
「こことかぁ?」
「もぅ…やめ…て……」
「残念ですがぁ、止める訳には…いかないんです……よぉ!」
「いゃ…!おへそに何を………ぅぐぁぁぁぁッッ!!」
あまりにも虚弱で、血が出ればグッタリしてすぐに動かなくなって。変な声を出したり、目が変な方向いたり。ただただ滑稽だった。
「これかなぁ…っとぉ〜?」
「……………ひぃっ…ぅぅぅああぁぁぁッ!!!」
ニュルニュル……!!ドボォッ……
切り裂かれた腹から内蔵が勢いよく不快な音と共に引き抜かれる。
「いあぁぁぁぁぁぁあぁあああああっ!!!」
無理やりに手を動かす博士の手は汚い赤に染まって、目は狂気と殺意に満ちていた。いつも見てきた姿。その姿をいつも、いつも濁りきった視界に歪んで映し出される。
「ぁぁ……うぐ…ぃぎぅぅ………ッぁ…………」
ただ叫ぶだけ。今のこの身体にはこれ以外に出来る事はない。
目は片方引っこ抜かれて、今も眼球が入っていた穴からダラダラと血が流れ出ている。
お腹はヘソに手を突っ込まれて両手で割かれ、お腹の中をグチャクチャに掻き回された後、何処か適当に内蔵を掴んで引っ張られている。
──グッ……
「あがぁっ……はッ………っはぁ……っはぁ………うぅうッ!」
伸ばし切るとこまで伸ばされた腸は全部体外に出し切り、博士は最後だとばかりに思いっきり力を込めて引っ張った。
ブチッブチッ……ベチャ…
お腹は中に入っていたものを全部出してペッタンコになって、ボロボロに割かれた真っ赤なお腹になった。
「ヒュー…ヒュー……ぁっ、げほっ」
肺にも傷が付いたのか空気がうまく吸えない。口からは逆流した血反吐が垂れる。
でも、死なないし、死ねないこの身体。
博士が作ってくれたこの身体。
博士のために耐える。
いつか博士はこの痛みを消してくれるみたい。
痛くないなら、死ねなくてもいいかな。
「もう少しですかねぇー」
博士は動けなくなった身体を見てそう言った後、首を掴んで持ち上げた。空っぽになってる身体は軽くなって今も液が流れ出ている。
片手で掴まれた身体は再びカプセルに放り込まれて扉が閉まる。
そのまま身体には麻酔がかけられて、カプセル内によくわからない液体が満たされていき、ボロボロの身体は眠りについた。
そしてまた、起きたら直ってるその身体は、この人のために使われる。
これで10回目。次で11回目。この人は身体の完成を待ってる。
別に私を待っているわけじゃないと、知っている。
でも私は我慢するよ。
この人が痛みを消してくれるその時まで……。
私は待つ。
外に出してもらえるその日まで、そして出してもらえたら、絶対に……必ず──。




