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空色空想ネスト  作者: グレーミー
Chapter2「黒鳥」
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地下の巣穴

____ビルゴシティー 河川排水トンネル内部?




どれくらい進んだか。

早歩きだが、冷える体がそこまで頭を回らせてくれない。


なんせ携帯もカバンの中なのだから正確な時間など分かるはずもない。そして外の状況を一切遮断するトンネル内。これでは体内時計と時間間隔が頼りなのだけど……。

そろそろ夜なんだろうってことくらいしかわからない!

(さいわ)い、帰りに買って食べたパンのお陰で空腹は抑えられている。でも逆にこの場合だと重要な目印をずらしてしまい、初めて寄り道のパンを恨んだ。


小鳥に目を配りながら徒歩10分くらい?

長く続く同じような道のりにようやく終点が見えた。

「はずなんだけどね……」一時は出口、もしくは行き止まりかとも思えたが、目の前には小さな金属製の扉。

こういったのは開かないのが定番だ。錆びついていて苔も少々、長らく使用してないのが見て取れる。

しかし、結果は思わぬ方へ転じることに。

試しに取っ手を押してみるとドアの留め具が一斉に外れ、扉全体が開くというより倒れて壊れた。



「…………」



ワザとじゃ、ないから……セーフだよね。き、緊急事態だし!

思った異常に古い、そしてボロい立てつけの(元)扉を通り抜けると細い一本道。


「は……針とかでないよね……!」


ちょっとゲームなんかである古典的な罠を連想してしまい、ヒヤリとした空気に一瞬身がすくむ。

ボタンの連打かコマンド入力で助かるなら幸せ者だが、そうはいかない。

余計な心配ををしつつ、通路先を目指すが────



「うッッむン??!」



(ひら)けた場所に出た瞬間だった。

後ろから謎のぬるい風を感じ取る。振り向くことは間に合わず、そのまま布を口に押し付けられる。

驚いた私は湿気を含んだ布の成分をしっかりと吸い込んでしまい、突如体が軽くなるのを感じた。





____???シティ 場所不明




「──そろそろ起きるかね?……ちょっと強すぎたか」

…………。

「──起きなー待つのも疲れたしさ、おらー」

……?

なに……?

眠ってた……の、私。

────!!!



「ストーカー!!?」

「……おおわ!ビックリさせんでよ。それに、女が女ストーカーしてどうすんのやって」

「あれ……え」



先ほどの暗闇と反対に明るい場。小さな小部屋みたい。

私に話しかける通りの良い声。



「あのー……」

「ほれっ、水」

「あっ、どうも」



髪を短くまとめた大人の女性。

それもスタイルの良い健康的な体の、活気に溢れた人のよう。

手渡された水を飲みながら、女性を眺める。

キレイダナー。はは、パンを道端で買ってる私には到底訪れなさそうなステータスの高さだ。

そう、どうやったら大きくなるんだろうか。その胸は……。



「あん?どうかしたか?」

「あっと、いいえ! ごちそうさまでした!」

「いいーんだよ、ただの水だし。それに眠らせちゃったのウチやからさぁ」

「えっ?」

「いやー侵入者かと思ったんけどなぁー、武器も無いしどうしたもんだか。持ってたもんたら、小さい鳥ってんだからさ」

「──そうだ!鳥……! あの、その鳥って……」



女の人に言われようやく手元の存在に気付く。

あれからまた時間が経っているはず。ここにも時計は無く、正確な時間はおろか大体もつかめない。



「あー鳥なら、隊長の部屋と思うよ?」

「た、隊長……?」

「そそ、若いやつさね。なんなら──」

「ノル、まだなの?そろそろ……ってノル!!」

「──!!?」


「……誰」


目の前の扉からの来客、そしてすぐに突きつけられた銃。

ブレのない動作でこちらに構え、一瞬の隙有らば撃たれる間合い。

対する私は、誰だと言われるまえから手を挙げている。というより挙がっていた。人間のいざという時の反射は当人も気づかないもので、しきりに無言のアピールを主張していた。



「ルーズじゃん?どしたのさ」

「ノル、その子は何なの?」

「だーいじょぶだって!とりあえず下げなよー漏らしたらどないすんのさ、なぁ?」

「漏らしません!!」



漏らしたらどうしようなどと瞬間的に考えたが、生きてる間はそんな事態は想像したくない。

手を挙げまま首を横に振り、一応腹に力を込める。



「敵では」

「ないって、ほら」

「……いいでしょう」


「びっくりした……」



かなり不満そうだけど、何とか物騒なものをよけてもらえた。

銃なんてテレビやゲームの中でしか見たことが無いが、危険で恐怖を与えるものくらいは突き付けられなくとも分かる。時代が古くても形を変えて存在して、多くは傷つける。平和のための兵器は凶器としての能力が万国共通で、その恐ろしさを熟知しているから成り立っている。

こういうの抑止力?とかなんとか授業で聞いた気が。平和ボケしている私にはすごい疎遠な単語だったはずが、急に距離が縮まった気がする。



「んで、どうしたん」

「時間よ。 忘れたとか?」



「あーそうやったー」目をそらし頭を掻く『ノル』と呼ばれる女性。外人さん?

『ルーズ』と呼ばれていたもう片方の方も女性で、こちらは落ち着いていてノルさんとは逆にクールな感じ。そして少し怖い。

ノルさんは立ち上がると私に手を差し伸べ、軽々と起こすと小部屋の出口へ手招きされる。


「わりぃね……ついてけなくて」

「いえ、そんな」

「あ、そそ。 旅団長室はここを出て左、そっからは適当に看板見ればいけるはずやね」

「あの──」

「帰り方もそこで何とかなるっしょ、鳥も」

「あ、ありがとうございます。 あの!名前一応……ルリって言います」

「おーよ!ウチはノル、んじゃな~」



部屋を出て廊下で別れる。

先に出ていたルーズさんの姿はもう見えない。

大きく手を振りながら歩いていく姿もすぐ角で消え、足音だけが響いてくる。

二人は一体誰なのか。

服装と持ち物は、野蛮にテロリストと疑われても仕方がないけど、何か違う。旅団って言ってたし。



「んあー……? 何だお前」

「へ? ああ! あの旅団長室ってどっちですか!」

「はあ? あーその先だけどよ……」

「ありがとうございましたッ!」

「お、おい!……何だって子供がここに……」



ノルさんに教えてもらった通りの道を再び聞き、半分逃げる形でその場から小走り。

小部屋は他にも連なってあり、そこから今度はおじさんが出てきたのだ。

流石に名も知らないおじさんはマズイと思った私の咄嗟の行動だったが、声が大きく響いておじさんまでビックリさせてしまった。


少し埃臭い廊下を早歩きで抜けると、光量が格段に上がり四方から喧噪が聞こえる大広場のような場所に出たのだけど。

「……煙臭い」

今度はタバコ……?あとはなんだか鉄臭が……。

廊下へ引き返したいところだけど、どのみち明らかに子供がいるような場所ではなさそう。

何とかして旅団長室とかいう場所に行かなければと、少し脇に大広場に沿った通路を見つけ上方へと続いているようだ。


ひとまずは……と、意を決して小鳥と出口を見つけるため、旅団長室を目指すことになった。

──帰れる、のかな……これ?

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