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空色空想ネスト  作者: グレーミー
Chapter2「黒鳥」
26/52

接触へ

「うぅ〜〜〜〜ん…………」


宿題にある程度区切りが付いたところで空腹感を感じ、お昼にしようとリビングへ。

ソラはどうしてるんだろうと思って静かに階段を降りてこっそり覗いてみると、画面に流れる音と映像をジッと凝視していた。

まさかずっとこの姿勢……?

今は12時だから…かれこれ4時間くらい。

同じ姿勢で同じ場所なんて私には絶対できない。

私だってこの4時間ずっと机に向かってたわけじゃ無い。時々休憩を入れながらでようやくここまで時間が潰れた。あらかじめ飲み物とか少しつまめるお菓子を持って二階に上がったから、途中で一階に行くことがなかった。


何かに気づき気配でも感じたのか、ソラが振り返り私を見つけた。なんて察知力、鳥の感ってスゴイなぁ……


「あ……お昼ご飯にする?」


首を立てに振り、パンがいいと注文を受けた。パンぐらいだったらお安い御用だけどね。

トーストにタイマーをかけて、その間に牛乳をコップに注ぐ。


「……ねえ、ルリ」


ん?と注ぎ終わったコップをテーブルに置いて振り向くと、ソラが私の目の前にいて、そこからは一瞬の出来事だった。


「んむっ!?」


私の体にソラはギリギリまで近づいてきたと思えば、私の顔にいきなり近づいて……

──唇と唇が合わさっていた。


「(んんん〜〜〜!!?)」


たった1秒くらい。体感時間だと無駄に長く感じる。体は硬直して動かない。

ソラは目を開け、口元から離れた。

つーっと細く途切れた唾液が離した口元から糸を引く。


「んく……!??」


驚きと疑問でどう対応すればいいのか、未知の体験によって息を吸うときに口に入った液を一緒に飲んでしまった。


「ねえ、ルリ。これ何?」

「ふ……ぅえ………」


把握しきれない状況を待たずしてソラから質問が問われる。頭を無理やりフル回転させても追いつかない私の目に映ったものは今流れているテレビ。

番組はドラマのようで、ちょうどキスシーンだった。


「ルリ……?」

「へぁ…ぇ……キ、キス?」


空中浮遊した意識は疑問に対して疑問で返してしまった。



あれから数分後。

気持ちは落ち着いても、体はまだ火照っていた。とてつもなく恥ずかしいのか何なのか。

よく分からないあたふたした自分の感情は今も迷宮入りをしている。

テーブルをまたいで座るソラは小麦色を通り越して黒に焦げたコゲパンをくわえている。

私の頭の中もこのパンみたいに真っ黒に焦げてオーバーヒート中。


「ごめん、ルリ…」

「いや…だいじょぶだよ!ただ、始めてこんな、こと、ね……」

「ハジメテ?」

「なっい、いや!?、こっちの話しだから気にしないで!?」


ソラは首を傾げたままコゲパンの半分まで到達していた。

苦くないのかな…?タイマーのつまみを大体で回した結果、5分以上熱線を浴びた白いパンは真っ黒に姿を変えた。


あの後自分の記憶とソラに事情徴収したところ、私が降りてきて昼食の準備をしている時に、ソラが見ていたのは恋愛ドラマで、ちょうどキスシーンを熱演している場面だった。

どうやらそれ以外にも初めて見るテレビに疑問が殺到したらしく、その中でもインパクトがあったのか、そのシーンが何なのか聞きたかったそう。

でもそれを言葉で表現出来ず、実演に至ったらしい……

いかにも鳥っぽい。

見たものもの聞いたものをそのままマネする能力。ソラが鳥であることが再認識されて、ファーストキスも…いやいや!…?これはノーカウント?でもあぁ…!無駄に鮮明に残っているのが小っ恥ずかしい。


「パリパリ………ムシャムシャ………」


……別にキスをとられたことは怒ったりはしてないけど、でも……ソラが見ただけで出来るのか不思議に思うくらいリアリティーのあるキスで、その……

ぁぁぁーーっ!!!ダメだダメだ……また頭がおかしくなっちゃいそう……ストップ、これ。


「ソラ……家にいる?ちょっと散歩してくるから」

「いる」


少し落ち着こうと外へ。よく暇な時に行く河原があって、私のお気に入りの場所になっている。

ちょっと落ち着きに行こう。

家から徒歩で10分ほど、ここは住宅街のためか周りには緑が少ない。コンクリートの道路脇とかの小さなスペースに人工的に植えられた木や花があるくらい。

川と街を守る防波堤を越えると河川敷があり、背丈の低い草木が一面に広がっていて、そこで当たる風がすごく好き。黄昏てるというのかは分からないけど、昔の習慣が今もこうして続いている。


この河川敷はビルゴシティーの住人にも身近に利用されていて、ランニングをする人や散歩をする人で賑わっていて、特に特別な場所でもないのだけど。



「──ふぅ」


だいぶ落ち着いてきた……

河川敷には春の草木が薄っすらと広がっていて、夏になったら緑の色が一層濃くなるだろう。そんな期待を寄せながら、川が見える方の斜面に座って風にあたる。

たなびくそよ風はいつ感じても心地よく安らぐ。昔もよく来ては斜面を転がって無邪気に遊んでいた記憶がわずかにある。


──しばらくしていると、あまり見かけないバンが河川敷上の細い道に停車する。

扉が開き最初に現れたのは眼鏡をかけた人。白衣に身を包み、他にも何処かの制服を着た三人が降りてきた。

遠くから確認できたのはここまで。

白衣の人は三人に指示を出した後、一人だけ私の方に歩いてきた。


「すっみませーん!ちょっといいですかぁー??」


手を振りながら近づいてきたその人の白衣の腕にはグラディオマークが刻まれていた。

この人、グラディオの研究員?

私に手を振りながら近づく人は、白衣の良く似合う独特の雰囲気を持った男性だった。


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