プロジェクト・レブンズ2
────二つの集合体。
一つは街を支える研究員達。
もう一つは裏社会に暮らす傭兵達。
どちらも未来への最善策を探しますが、上手くいきません。
空は少しづつ…青から黒に変わってしまいました。
そして少女とソラは、出会うのです。
まだ青い、空の下で。
※機密書類につき、要厳重保管。
・プロジェクト レブン
~研究途中経過資料~
レブンズNo.51~No.100 途中結果一覧
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レブンズ51……完成率38%で突然変異。緊急隔離を行い、現在調査中。
レブンズ53……身体組成完了。コードネーム『コンチェルト』
レブンズ69……完成率41%で組成が中断。素体分解が発生し失敗。
レブンズ70……完成率87%で暴走。組成器から緊急パージ後、沈静化を行うが失敗。殺処分へ。
レブンズ73……完成率90%で未熟覚醒。予想外の事態により緊急隔離。現在調査中。
レブンズ80……身体組成完了。コードネーム『ファンタジア』
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___上記以外の試作No.は遺伝子操作後、変化無し、又は成長未発達、組成器前段階。
随時結果が出次第、追記し記録する。完成体についてはさらなる再調整を加え、レブンズ00の護衛保護に回し早急な対応を急ぐ。
失敗個体は必要な手続きの後、リカバリープランを作成。無意味な廃棄の発生を防ぐよう呼びかける。
《作成者》
〈政府研究開発独立機構 GRDIO〉
【プロジェクト レブンズ担当研究員】
[アサガスミ エミカ]
『させない。私は未来を…あなたがいる未来を壊してみせる。父の願い、私の願い、実現してみせる』
そう女は亡き父の願いとともに決心した。
____コーバスシティー
グラディオ研究棟 F-6-1
「──で、エミカさん。この細胞組成マップのことなんですが……」
「ぇえ…そうね、そこに置いといて。後で確認するわ。急いでるなら今見ておくけど」
「あ、いえ!まだ仮書類ですので、余裕はあります。時間の空いたときで結構ですよ」
分かったわ。
目線はデスクに置かれたパソコンのディスプレイからずらすことなく、キーボードを打ち続ける。
画面には普通の人が見ても理解しがたい数列に、言語。私からは当たり前のように出てくる語群が、同じ研究室にいる科学者たちでさえ、時々首をかしげる。
──カチッ……
長い文章の最後に締めくくりの結果を書き記した後、エンターキーを少し強めに押して一段落する。
「まだ余裕。ね」
椅子に寄りかかり背もたれを限界まで倒して戻す。
脇に置かれたファイルに手を伸ばしながら、先ほど研究者の一人が言っていたことを思い返す。
「そう余裕はないものよ……」
ぼそり、と中に綴じられた書類に向かってつぶやく。
「いやぁー研究者ってイヤですねぇ~。知らなくても良い事まで…大発見しちゃうッ」
「ユキヤ……?」
「やぁ先輩」
いつの間にか書類を横から拝見していたのはユキヤだった。
「知らなくていいこと。ね」
「ぇぇ、そうですよ?今僕たちが知っている。いや、知ってしまった事実や理論。
覆したくてもそこには裏付けや立証させる事案に実験────」
「その中で……僕たちが知りたかったことは一体幾つ位なんでしょうねェ?」
不敵に微笑みながらコーヒーを啜るユキヤ。
「……さあね。分からないわ」
私は出来ることなら、この「分からない」を口にしたくはない。
「分からない」を解明してモノにするのが、私たち研究員だから。
ただ、彼だけは。ユキヤだけ、違う。
よく分からないのだ。
だから私は、彼にはよくこの言葉を使ってしまう。
「──いいコーヒーは悪魔のように黒くて、天使のように甘いそうですが……」
「…え?」
「ある人が言ってたとか言ってないとかの名言のようなものですよぉ」
「……まるで僕たちのことのようですねェ…?」
「……」
「それじゃぁ、頑張ってくださいねぇー。僕も担当区画からお呼ばれしたので」
スライド式の自動ドアが閉まり、部屋の隅にいた一人が話しかけてくる。
「変わった方ですね…」
「そうね」
「でも、世界も割と変わってしまったわ」




