ギルドと転職と
あの生ける彫刻のような男ライモンドに助けられた後、労働ギルドに向かおうとするとライモンドは何故かついてきた。
ギルドに向かう途中、間が持たなくて簡単な自己紹介をした俺にライモンドは興味深そうな視線を寄越した。神々しい外見とは裏腹に話をしてみると案外に気さくなライモンドだったが、俺のような移民とはあまり接する機会がないのだろうか。
ギルドでは魔工に関わる仕事を第一希望に、すぐに魔工の仕事がないなら日雇いで肉体労働をしながら生活を繋いでいこうと考えていたが、名門アンゲーベン商会をクビになった俺についての悪い噂がもう流れていた。恐らくイディオットの仕業だ。
ギルド員は冷たくブルーメに斡旋できる魔工の仕事はないと伝えてきた。掲示板には何件も魔工関係の募集が貼ってあるのに。
俺が何をしたというのだ。誠実に目の前にある仕事をこなしてきたつもりだった。移民というだけで、なぜここまでの目に遭わなければならないのか。
どんな仕事ならあるのか聞く俺に、ギルド員はかなりハードな肉体労働を斡旋してきた。無理なら歓楽街で身体を売るしかないと嫌味まで言われて。
ブルーメの体格や能力から考えてもこなせるかわからないような仕事であったが、背に腹は代えられず仕方なしに申し込もうとした時、ライモンドがギルド員との話に割って入ってきた。
ライモンドは、移民は平民と同等の権利を有しており、相談者が希望した職業に対して能力を有しているにも関わらず正当な理由なく紹介しないことは法律違反であること、斡旋する仕事が段階的でないことなどを詰めるとギルド員はしどろもどろになり押し黙ってしまった。
それを見ていた他のギルド員がなんとギルド長を呼んできた。イディオットはギルド長まで巻き込んでたった一人の貧乏な移民を追い詰めたいのだろうか。そう思うと怒りよりも悲しみの感情が湧き上がってきてぐっと唇を噛んだ。
ギルド長はギルド員に耳打ちされ、ブルーメを馬鹿にしたような目で見ると尊大な態度で近づいてきた。
しかしブルーメの前に立った瞬間、ギルド長はブルースライムのように真っ青な顔になった。
顔色と一緒に態度までヘコヘコと媚を売るようなものに瞬時に変わると、魔工の募集用紙を両手に抱えてすごい速さでブルーメのところに持ってきた。
狐につままれたような気持ちだったが、たくさんの募集用紙をあれやこれや眺めていると、ライモンドがそのうちの1枚をブルーメの前に置いた。
「グリンベルク王立学院 魔法工学部教員募集」




