今日は本当に良い天気2
――予想以上に事態は深刻だ。
レオンハルトは外周の境災班の元へ状況を確認すべく向かった。
否、向かおうとした。
外周へ続く扉はすぐそこに見えている。
しかし、いくら走っても辿りつけない。
樽電池の低く唸る脈動が頭蓋の奥を揺らしてくる。
振り返れば、銀色は未だ赤く脈打つ樽電池を眺めている。
アイツは何を見ている?
あの俺を見ていない青紫の瞳を思い出した。
――ドクン
全員の心音を奪うかのように樽電池が大きく脈打った。
赤い閃光が身体を突き抜けるように奔る。
無意識に唾を呑んだ。
しばらくすると、また元の脈動に戻る。
ヤバい。
いつ限界を迎えてもおかしくない。
どうすればいい。
固定を最大まで――いや、違う。
この最後は、おそらく爆発ではない。もっと別の――
高速で思考を巡らせている最中、レオンハルトは何かに無理やり引き摺られるかのように銀色に視線が向いた。
その隣で、試験監督長が恍惚とした表情で銀色を見つめ、口を開いた。
「「―君の力を見せてくれ。こんなに美しいカタチを、提供したのだから―」」
声が揺れ、幾重にも重なるように聞こえた。
レオンハルトの背筋に悪寒が走る。
――ライモンド試験監督長はあんな声ではない……!
ドスン、実験場の片隅でイディオットが倒れ込んだ。白目を剥いている。
その時、微動だにせず脈動を見つめていた銀色が、ふいに風に揺れる花のように美しく揺らぎ、その手で赤い心臓をそっと撫でた。
レオンハルトは瞬きも忘れて息を呑んだ。
「…こんなことしたら、可哀想だろ。泣いてるじゃないか」




