動悸ドキドキ、したくない3
「AAAだとっ!?」
この場にいた全員が、それが何を意味するのか知っていた。
魔気災害等級—それはC~S級に分類される。
その中でもAAA指定は、S級に至る危険兆候を伴う特殊警戒指定——
面接官も受験生も、みな凍りついたように固まった。
「…し、死にたく、ないっ!」
受験生の一人が何処から出たのかわからない甲高い声をあげた。
次の瞬間、前のめりにドアへと駆け寄った。
「……!!」
それが合図かのように、我先にと受験生たちが狂ったように出口へとなだれ込んだ。
「み、皆さん、落ち着いてください!第7境界避難層へ案内します」
柔らかな茶髪の職員が慌てふためく面接官や受験生を必死になだめて誘導を始めた。
ブルーメはそんな状況の中、ぼんやりと心ここにあらずといったふうにヒビの入った境界ガラスを見つめていた。
「…銀アタマ!お前も早く来い!」
「ブルーメ、私と一緒に」
レオンハルトが手を伸ばすより早く、ライモンドがぼんやりとしていたブルーメを包むように肩を抱いた。
レオンハルトの琥珀の瞳が、翡翠の双眸を強く見据えた。
「ライモンド――」
青紫の大きな瞳がゆっくり翡翠の奥を確認するように動いた。
「――あっち。俺、いかなきゃ」
ブルーメは避難方向とは真逆の方向を指差した。
その表情を見て、ライモンドが小さく頷く。
「馬鹿か!そっちは恐らく災害中心域だぞ!」
災害中心域へ歩き出すブルーメとライモンドを背に、レオンハルトは顔を歪めた。
「クソっ、人の話聞けよ!」
レオンハルトが2人を追って駆け出した。




