動悸ドキドキ、したくない2
「なんだ?接触不良か?」
ぱちんと点滅した魔気灯に面接官達が一斉に目をやる。
しばらく眺めていたが、その一瞬だけの偶然かとブルーメに姿勢を向き直した。
「それで、ブルーメ・クンツェ。君はB値についてどう解釈している?世界の基準が間違いだと言いたいのかね」
やや落ちついた面接官がそう問い直した。
「B値が間違いとは言わない…です。俺…僕が言いたいのは、全ての低B値が性能が低く、不安定ではないということ…です。固定し過ぎると壊れるものもあるから」
「固定が一体、何を壊すと言うのかね!固定とは安定であり、測りうる根拠だ。具体的に言ってみたまえ!」
わなわなと肩を震わせ面接官の一人が食って掛かった。
その目はまるで「この世界の真理を否定する異物」を見ているようだった。
「強すぎる固定は、人も壊すし、世界も、壊します」
「そんな大枠の抽象論は話にならない。哲学ではないんだぞ!」
なおも言葉を重ねる面接官。
周りは息を呑み、次の言葉を待つように沈黙した。
「ノルトフルスは……固定、で壊れました」
翡翠は愉快そうに目を細めた。
レオンハルトは思わず振り向き、琥珀の視界いっぱいに銀色を映した。
その瞬間、パチパチと狂ったように魔気灯が点滅し始め、バチンという破裂音とともに砕け散った。
「なんだ…?魔気が逆流しているのか?何が起こっている…!?」
「俺の時計が、逆回転している…!」
「耳鳴りが…頭が割れるように痛いですわ!」
「境界ガラスが、軋んでる…!こんなことって」
「音が、聞こえないよ」
不穏な空気に場がざわついた。
魔気が……叫んでる?
―――呼んでる。
バタンとドアが開く。
「今すぐ避難してください!魔気災害AAAです…!!」
ピシッ。
誰も触れていない境界ガラスに細い亀裂が走った。




