奇才異才は美味そうにコーメ握りを喰む者3
どこかから声がしたか?
いや気のせいか。
そう思いながら、来た道を思い出すように庭園をあっちこっちと歩いていく。
「おい聞こえないのか、銀アタマ。お前のことだ」
芯の強そうな、よく通る中低音の声。
振り向くと、赤銅の髪の下からのぞく琥珀の瞳が真っ直ぐに俺を見下ろしていた。
「俺、銀アタマって名前じゃない」
失礼なヤツだな。
ぷいっと目を逸らして再び足を踏み出す。
「待て」
レオンハルトが、ぐい、と俺の腕を掴んだ。
思ったより強い力に身体がよろめき、そのままその胸元へ倒れ込む。
「…どうして、あの考えになる」
「…へ?」
「答えろ、何があの考えをさせる」
「…あの考えって……?」
レオンハルトの溶けた飴玉のような琥珀の瞳があまりに真剣で俺は戸惑った。
言っている意味がわからない。
「何故、使わないと考えた。お前は制御の構造も設計できたんじゃないのか?」
そこまで言われてやっと合点がいった。
ああそのことか。たいした話でもないのに。
「逆に、壊れるのがわかってて使うヤツなんているか?理由はそれだけだ。あ・ぶ・な・い。それが全てだ」
俺はもたれ掛かった身体を起こすようにレオンハルトの胸元をぐいっと押した。
理屈ではないその言葉に、レオンハルトの胸がざわつく。
ぎゅっと片手が腕を掴んだ。
そして一息で言い切った。
「理論上は可能だ。可能なら実装させるのが当たり前だろう」
「その当たり前、が全てを壊すかもしれないから、やらない」
レオンハルトは、その言葉に眉を下げ肩を震わせた。
「ハッ、この俺にそんなこと言うヤツがいるなんて」
「お前、面白いな」




