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銀の突き匙亭の新名物2 〜ぐつぐつパチパチの赤と白 

つやつやピカピカのコーメ。

ごろごろとマーメが入った真っ赤なトマソース。

プリっプリのツノブーブの腸詰めに、ほろほろと柔らかなヒレ肉。


そして溢れんばかりの真っ白なモーモチーズ。



魔火オーブンの中でぐつぐつとトマソースの旨味が凝縮される音がする。

ヒレ肉には軽く焼き目がつき、腸詰めは割れて、透き通った脂がジュワジュワと溢れ出す。

モーモチーズがパチパチと気持ちの良い高音で溶け出しカリカリに焦げる。


食堂中に溢れる旨味の洪水に、我慢できず口中に溢れる唾をゴクンと飲み込んだ。




ヤッタローのデビューと入れ違いで、銀の突き匙亭の新メニューも完成した。



「これは何て呼ぼうさね。ブルーメが考えてくれたんだから名前を付けとくれよ」


「うーん…名前かあ…。あ、こんなのどう?」


女将さんが新メニューで悩んでいるときに、ぽろっと「こういうの食べてみたい」と口にしたのがきっかけで出来たこの料理。



「真っ赤と真っ白のカリッカリ肉肉ドリア」



「肉肉……」


自信満々に答えるブルーメに、女将さんは微妙な顔をしてギョロリとした目を横に逸らした。


 


「美味しそうな匂いですね」


食堂に響く低音に、つま先から頭のてっぺんまで一気に熱が広がった。無意識にズボンのポケットに手を突っ込む。



「ああ、ライモンドじゃないか。最近毎日来るねえ。夕方の営業はまださね……そうだ、新メニューの味見でもしとくれるかい?」



見惚れるほどのイケメンはニッコリと、それはそれは麗しく爽やかな笑みを湛えて、さも当然のようにブルーメの隣にさっと座った。


心臓がドリアみたいにぐつぐつパチパチする。



「これは美味しい。王都の中心でも十分やっていけるレベルですよ。それにこの皿、料理に合わせて実に正確に保温する。廃棄魔石と煤と鉄粉と油、それだけで…。その手で作るところを、初めから終わりまで……全部、見たい」


場に不釣り合いなくらいの美しい所作。そんなライモンドにぼうっと見入ってしまった。


ライモンドと視線が、合う。縛られたように目が逸らせない。



「ヤッタローに、皿、入れてきます」



やっとの思いで声を喉から絞り出した。


翡翠の見えない弦が、絡みついてる。



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