試験結果 お絵描きって楽しいよね 食堂魔工具その2
そして筆記試験の結果発表の日が来た。
ブルーメは銀の突き匙亭で朝から皿の裏にお絵描きをする。
手元にある端の欠けたカップの底には油臭い煤けたペーストがべったりとへばりついている。
鉄串の先にその煤けたペーストをつけてちょいちょいと丸く幾何学模様を描くとそれに粉を一つまみ振りかける。
手を休めることなく店にある皿にいくつもいくつもお絵描きする。
「ブルーメ、今日は教員試験の結果がわかる日だろう?アンタいつまでそんなことやってるつもりだい?それにしてもこんなに細かい絵がよく描けるねえ。大きさも線の太さも全部まったく同じに見えるよ」
女将さんがいつまでたっても試験結果を見に行く準備をする素振りのないブルーメに居ても立ってもいられず声をかけた。
「もう一皿で終わるんで」
そう答えて丁寧に最後の一皿を描き終えるとゆっくりと腰をあげて上着を羽織る。
そうして女将さんに「借りますね」と一声かけると最後に描いた皿を一枚手に取って、まるで街歩きにでも行くかのようなぷらぷらした足取りでブルーメは試験結果を見に出かけた。
グリンベルク王立学院の会議室前に貼り出された試験結果には人だかりが出来ていた。
喜んでる人、泣いてる人、眉をひそめて下を向く人。
そんな中、ブルーメが真っ先に向かったのは計算問題の解答が貼り出してある場所だった。解答の前では、すでに数名の受験者がそれを写したり話し合ったりしている。
解答を確認して、ブルーメは目元を緩めて口の端を三日月にした。
全問正解だ。
あの少々捻くれた問題の罠を乗り越え、作問者からの挑戦に勝った!と思い、ぐっと拳を握りしめた。
試験結果も一応見ておこうと貼り出された紙の前に足を運ぶと、あのべったりヒョロ男が口をあんぐり開けて置物のように固まっていた。どうやら落ちたらしい。あれだけ大口を叩いておいてざまあみろだ。
試験結果は成績順で、名前の横に点数と合否が書いてあるようだ。
貼り出された結果を見て、ブルーメはその大きな青紫の目をさらに大きく見開いた。
1位 ブルーメ・クンツェ 985/1000点 合格




