↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
効率厨の魔物運用論 ~人も魔物もどう扱うかは投資価値で判断する~  作者: ファイアス
第1章:幼き探索者見習いに時間を投資する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/18

第12話:魔物使いならではの金策

 ダンジョン8階。

 このフロアには新たな魔物が出現しない。

 7階にいたマミー、デモンダイス、唐傘小僧。

 それに加えて6階までにいたリビングソード、リビングアーマー、ガーゴイルが再登場する。


「さくっと攻略していこう」


「はい」


 俺たちは8階の攻略に取り掛かる。


「魔物の数が多いのは気のせいですか?」


「気のせいじゃないと思う」


 このフロアは明らかに魔物の数が多い。

 既知の魔物ばかりとはいえ、決して簡単に攻略できるものではなかった。


「よし、今日はここで切り上げよう」


 手間取りながらも9階へと続く階段を発見。

 一区切りとするにはちょうど良い。


「分かりました」


 本日獲得した魔石は推定1200円程度だ。

 デモンダイスも魔石を落とす魔物であったため、前日に比べれば収入は大幅に増えている。

 小中学生のお小遣い稼ぎだったら悪くない金額かもしれない。

 もっとも俺は今年で20歳だ。

 最低でも1日1万円は稼いでおきたい。

 ただでさえ最近は物価高が進んでいるからな。


 俺は8階を探索中に取得したスキル「探索者感知」を発動した。

 フロア内にいる探索者の気配を感知するスキルだ。

 はぐれた仲間を探すときはもちろん、他の探索者と接触を避けたいときにも活用できる。

 消費MPは0なのでパッシブスキルも同然。

 地味ながら便利なスキルだ。


 7階へ移動。

 早速他の探索者の気配を感知した。

 気配を感じる方角からして、あの変質者はまだ小屋の付近にいるようだ。

 レベルは36。

 それなりに格上の探索者だったらしい。


 3~6階の間は気配なし。

 だが、2階まで引き返した時、またも他の探索者の気配を感知した。


「護愛、一旦ストップだ」


「何かあったんですか?」


「他の探索者を感知した。今から少しちょっかいをかけてみる」


 感知した探索者のレベルは3。

 俺たちよりも素人だ。


「スケルトン! 感知した探索者の付近を調査してこい。いいか、どれだけ攻撃されても絶対に反撃するな」


 指示を受けたスケルトンは俺たちの元を離れる。


「殺されちゃいますよ」


「それが狙いだよ」


「えっ……」


「新人探索者に被害者面するんだよ。俺の魔物だったのに……ってな」


 放し飼いにされていた魔物は、たとえ殺してしまっても法的責任が生じない。

 それどころか、放し飼いにしていた魔物使いは慰謝料を請求する権利がない。

 請求した時点で違法と定められているからだ。

 ただし、この法律には抜け穴がある。

 自主的に差し出されたお金を受け取ることは合法。

 つまり被害者面して罪悪感に訴えかければ、ワンチャン合法的に臨時収入が得られるわけだ。


「……律文さんって反グレなんですか?」


「そんなわけないだろ」


 失礼な。

 俺が半グレだったら、まずはお前を立ちんぼで稼がせようとするよ。


「交渉中、お前は絶対に口を出すな。分かったな?」


 護愛が余計な口を出さないよう、この場で待機させる選択肢もあった。

 だが、俺はあえて護愛を交渉の場に連れて行くことにした。

 幼い子供が同行している。

 ただそれだけで悪巧みしていると思われにくくなるからだ。


「は、はい……」


 スケルトンを送り出してから数分。

 感知していた探索者に動きがあった。

 スケルトンがやられたのだろう。

 計画を実行するタイミングが巡ってきたわけだ。


 俺は感知していた探索者の元へ近づく。

 その探索者は20代後半と思われる男で、スーツを着用していた。

 仕事帰りのサラリーマンだろうか?

 いや、まだ時刻は18時前だ。

 営業の息抜きでダンジョンに立ち寄った可能性のほうが高い。


「あのー、すみません」


 俺は早速声をかける。


「はい、何ですか?」


「さっき単独で探索させていたスケルトンを見ませんでしたか?」


「えっ……」


 スーツ姿の男が青ざめる。


「知ってるんですね?」


「あ、あちらに……」


 男に付いていくと、そこにはバラバラにされたスケルトンの姿があった。

 やはり倒されていたようだ。


「あー、まさか俺のスケルトンがこんなことになるなんて……」


「す、すみません。野生の魔物と勘違いしてしまって……」


 男は俺に平謝りをする。

 ダンジョン法に疎いのが丸分かりだ。


「そうならないよう何があっても攻撃するなと指示していたのだが……」


「あっ……あっ……あっ……」


 動揺する男の近くで、俺はスケルトンの骨を拾い集める。

 もちろんこれも罪悪感を煽る演技だ。


「あっ、あの……」


「どうしました?」


「お詫びと言っては何ですが……」


 男は財布を取り出し、俺に合計3万円を差し出した。


「お気遣い、ありがとうございます」


 俺は3万円を受け取ると男に一礼して、その場を離れた。

 作戦は大成功だ。


「護愛も同じ目に遭わないよう、ダンジョン法は学んでおけ」


「はい……」


 心の綺麗な護愛には刺激が強すぎたか。

 完全に表情が引きつっている。


「お前にも1万円やる」


「本当にいいんですか?」


「もちろんだ」


「わぁ、ありがとうございます」


 共犯者意識を芽生えさせるための1万円だ。

 遠慮せずに使え!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。