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効率厨の魔物運用論 ~人も魔物もどう扱うかは投資価値で判断する~  作者: ファイアス
第1章:幼き探索者見習いに時間を投資する

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第10話:全てを曝け出す

 7階を探索中、最初に姿を見せた魔物は全身包帯で巻かれたマミーだ。

 パァーン!

 まずは護愛が一発エアガンを撃つ。


「ファイアボール!」


 その後は俺の魔法で軽く焼き払った。

 特徴がない魔物だけに戦い方の工夫もあまり浮かばない。

 というか、工夫する気が起きない。

 ドーパミンの分泌を刺激しない魔物だ。


 長い通路を抜けた先の小部屋。

 その中心に柔らかそうな四角い物体が佇んでいた。

 デモンダイスだ。

 上から覗くと丸印が一つだけ刻まれており、弱点を晒しながら眠っているのが丸分かりだ。


「ガーゴイル、デモンダイスを頭上から突き刺せ!」


 ガーゴイルは爪を伸ばし、デモンダイスの一の面を貫く。

 その瞬間、デモンダイスはパァーン!と弾け、跡形もなく消えていった。


「クッションはテイムしないの?」


 デモンダイスをクッション扱いするな。

 弱点の柔らかい面に勢いよく座って死なせる未来が見えるんだよ。


「従えるのは別の個体にする」


 常に六の面を向けて敵と戦える前提なら、デモンダイスはガーゴイルを上回る優秀な盾役として期待できる。

 ただ、この個体を従えようとは思わなかった。

 せっかくぐっすりと眠っていたのだからな。

 わざわざ起こしてテイム条件を満たしてやるなら、さっさと経験値にしてしまったほうがいい。

 そのほうが効率的だ。


「従えるのはこいつにしようか」


 隣の部屋に続く通路を歩いていた時、再びデモンダイスが現れた。

 全てが脆弱な一の面を晒したまま迫ってくるその様子は警戒心の欠片も感じない。


「ガーゴイル! デモンダイスの上に乗って石になれ!」


 ガーゴイルは石像状態になると、その重さは150キログラムにも及ぶ。

 しかも石化している間は防御力が大幅に上昇する。

 仮にデモンダイスが暴れたとしても、ガーゴイルが倒される心配はない。


 狙いを定めてガーゴイルはデモンダイスの真上に着地。

 そして石像化すると、デモンダイスはドスッ!という音を立てて地面に落ちた。

 落下の衝撃と、共に落下したガーゴイル(石化)の重さでダメージを受けたことだろう。

 とはいえ、まだ弾けてはいない。

 これで浮遊していたデモンダイスの位置と向きを固定。

 事実上、生け捕りに成功したようなものだ。

 あとはテイム条件を満たすための動作をすればいい。


「護愛、ジャンケンしようか」


 亜炉麻の教えによれば、デモンダイスが興味関心を示す条件は近くで運試しをすることだ。

 だったらジャンケンで十分だろう。


「へっ?」


 何で戸惑うんだよ!

 護愛はジャンケンを実力勝負だと思っているのか?

 ジャンケンにやたら強い人間ならともかく、普通は運試しでしかないだろう。


「デモンダイスの関心を引くための運試しだよ」


「あ、そうですか」


 説明必要だった?

 まあ納得してくれたならいい。


「ジャンケン、ポン!」

「ジャンケン、ポン!」


 俺はグー。

 護愛はパー。


 護愛の勝ちだ。

 さて、デモンダイスの様子はどうか?

 生け捕り状態のデモンダイスに視線をやるが、俺たちに興味があるように見えない。

 ただのジャンケンでは刺激が弱すぎたか?


「護愛は興味を持ってくれたように見えるか?」


「いえ、全くそうは見えないです」


 変化がないように見えたのは護愛も同じか。


「お金を賭けてみます?」


「いや、野球拳にしよう!」


 俺たちはお互いに金欠だ。

 賭けられる金額などたかが知れている。

 10円、100円といった少額の賭け金では退屈に見えて仕方ないはずだ。

 肝心なのは刺激だ。

 その刺激を与えるなら脱ぐ、脱がせるに限る!


「野球拳って何ですか?」


 もはや死語だもんな。

 護愛が知らないのは仕方ない。

 俺の世代でもあまり伝わらない気がするよ。


「ジャンケンに負けたほうが一枚ずつ服を脱いでいくんだよ」


「分かりました」


 ……俺の前で脱ぐことに何の抵抗もないんだな。

 母親がアレなんだから当然か。


「じゃあやるぞ。ジャンケンポン!」

「ジャンケンポン!」


 俺がグー。

 護愛がパー。

 また俺の負けだ。


「……」


 さらにジャンケンを繰り返すこと3回。

 負け続けた俺はフルチン状態だ。

 どうしてこうなる?

 この状況、誰得だよ!


「フェルザーさん、デモンダイスが喜んでます!」


「はっ?」


 俺はデモンダイスに視線を向ける。

 喜んでいるのは一目瞭然だ。

 状況が状況だけにデモンダイスが変態に見えるよ。


「テイム!」


 成功したのか?

 倒してからテイムする手順と違って、起き上がる動作過程が存在しない。

 そのため、上手くいったのかよく分からない。

 ……ステータス画面を開いて、従えた魔物を確認してみるか。


 名前:赤穂(あこう) 律文(りつふみ)

 メインレベル:18

 スタイル:魔物使い

 スタイルレベル:16

 HP:137 / 137

 MP:175 / 175

 力:31

 防御:44

 魔力:55

 魔法防御:36

 素早さ:19

 免疫力:9


 取得済みスキル

 テイム(専)

 魔物召喚(専)

 魔物送還(専)

 魔物強化(専)

 魔物硬化(専)

 招集命令(汎)

 ファイアボール(汎)

 アイスニードル(汎)

 バースト(汎)


 従魔

 ゴーストLv14 ×2

 スケルトンLv7 ×2

 リビングソードLv12 ×2

 ガーゴイルLv13 ×1

 デモンダイスLv11 ×1


 状態:全裸

 累計経験値:11,095

 次のレベルまでに必要な経験値:2,010


「成功したみたいだな」


 俺はステータス画面の共有を行い、護愛にもデモンダイスを従えた証拠を見せた。


「デモンダイスの名前が記されているだろ?」


 護愛は小さく頷く。


「フェルザーさんの本名って、赤穂 律文っていうんですね」


「あ、ああ……」


 本名で登録していたのを忘れていたよ。

 母親の亜炉麻から連れ回す許可は得ているため、護愛に本名がバレるリスクは小さい。

 とはいえ、このうっかりミスはとんだ失態だよ。

 まさか裸だけでなく、本名まで晒すハメになるとはな……

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