予備日を終えて
「草の魔法よ」とウーラが答える。ダーテはというと、わたしたちへの草の魔法を維持しながら、今度は、貴族と護衛の騎士たちを全て同じように、蔦でグルグル巻きにしてしまった。都市の守衛たちも騒ぎを聞きつけたのか、ダーテの周りに集まってくる。
なぜか? 都市の守衛たちがダーテにペコペコしているに見える。貴族も項垂れるよに大人しく騎士に連行されていく。都市の守衛でも貴族を連行するのは権力的に難しい気がするけれども…。
これだけ遠いと、何を話しているのかも聞こえない。貴族が連行されると、遠目から見ていた人もダーテに拍手喝采している。ダーテは頭をかきながら照れくさそうにしていた。
「ねぇ、ウーラ。ダーテって何者なんだろうね?」
「うん。いくら魔法が使えても、普通は貴族に逆らわないわ」
そんなことを離していると、今度は、ダーテが屋根の上に乗ってきた。
「ごめんね、一応、危ないと思って、屋根の上に避難してもらったんだ」
「戦闘と貴族の妬みから守ってくれたってことですよね?」とわたしは聞く。
「うん。魔法が使えるようになっても、無闇に貴族へ関わってはいけないよ」
「はい。でも、ダーテさんは、大丈夫なんですか?」
「ふふっ。まぁね。おっと、ごめん、時間だ。僕はもう行かないと」と言って、わたしたちをイーグ鎧店の前に下ろすと、ダーテは手を振りながら、別方向へ蔦を使って下りていった。
わたしたちもダーテが見えなくなるまで手を振っていた。そしてイーグ鎧店に入ろうとしたら、”本日・定休日”と書かれたプレートがドアノブにぶら下がっていた…。
「「…か、帰ろうか…」」
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宿に帰ると、執事マイラドに勲章授与式の注意点を聞く。「いいですか? 謁見の間に入られたら、何があっても、床のみを見ること。間違っても領主様を見てはいけません。敵対行動と認定され即時攻撃を受けます」
自己防衛が推奨される国のため武器の携帯は、いついかなるときも許可されている。また武器や杖を持たずに魔法を発動できるため、それらを持っていなくとも護衛する立場の者は警戒が必要なのだ。それ故に、領主を直視することが禁止されているのだ。
テイマーならば、勿論、ダンモフも一緒にいてOKらしい。
「もし仮に、名前を呼ばれ、”面をあげよ”と言われたならば、領主を直接見るのではなく。まずは声のする方を見て下さい。そして許可が出た後、領主を見るようにしてください」
まずは司会者? が、魔法により、わたしに領主への攻撃意思があるか確認するようだ。
その他は、もう行き当りばったりになるしかないと言われた。大丈夫かな?
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勲章授与式がいよいよ翌日となる。緊張のあまり、夕食も喉を通らず、ベッドの上にダイブする。疲れていたのか、そのまま眠ってしまったのだが、真夜中、違和感を感じて起きる。
目の前にはウーラがいた。いや、近い。近すぎる?? ウーラは私の唇にキスをしていたのだ。
どういうこと? なんで? 怖くて声をかけることも出来ず、寝たふりをするしか無かった。




