友達になろう! 後編
一応、先にお父様たちに起きたことを知らせに行ったのだが、全員いない。村の酒場に出かけてしまったらしい。ぐぬぬ…。娘が一大事だって時に…。酒? 信じられない!! プンスカと怒りながら、ウーラの案内で、出逢った生徒の宿屋に向かった。
やはり学園に行こうとするだけあって、かなり立派な宿に泊まっていた。宿屋のフロントで部屋を尋ねると、まずはアポ無しのため先方の都合を聞いて来るからロビーで待っていてくれとのこと。
まぁ、そうだよね。きっと何処かの貴族だろうし。
従業員が戻ってくると、その後ろには、真っ黒な髪に銀色の瞳の可愛い女の子がいた。
「ウーラ! 来てくれたのですね!」と曇一つない笑顔で喜んでいた。
ウーラがわたしを紹介してくれる。「ベネツィオです。ベネツィオとお呼び下さい」家柄やなんやらは言いたくないし、学園では貴族も平民も関係ないのだ。
「私は、リーナです。リーナでかまいません」リーナもわたしの意図を汲んでくれたのか、気軽に挨拶をしてくれた。
わたしたち三人は、ロビーにあるソファーに座ると、ずっと前から友達だったみたいに打ち解けることができた。リーナはイッシュベル領地に隣接する領地アーチザルにある村の平民で、突如、光の眷属に導かれるまま光の巫女になったのだという。
「駄目だよ。あまり自分のステータスのことは言わないほうが良いよ。わたしもウーラも絶対に今聞いたことは誰にも言わないから」と注意を促す。
「そうなんだ。ありがとうね。ベネツィオ」と素直に感謝された。きっとリーナは理不尽な権力に振り回されたことがないのだろう。
「そんなこと言っておいて、あれなんだけど…。巫女って、基本的には、魔法使いと違うの?」とわたしは疑問に思ったことを聞いてみた。
「それは…わからないわ。だって、魔法使えないから…」
「あっ。わたしと同じだ」
二人は笑い合う。
「ふふふっ。ということは、このウーラだけが魔法を使えるってことなのね!」
「学園が楽しみですね。見たことない、知らないことだらけで、何もかもが新鮮です」とリーナはうさ角を膝に乗せ頭を撫で撫でしている。
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翌日、わたしたちは、都市フェイリスに入る。町と都市の違いは、一目瞭然で、道の広さ、建物の大きさ、高さ、何もかもが大きいのです。それと整備のされ方が尋常じゃない。地面の石畳一つ見ても、ただ置かれただけの町と違い、きっちりと凸凹がないように敷き詰められているのです。道路には一定間隔でゴミ箱が用意されているのですごく衛生的です。まぁ、最初は、何だかわかりませんでしたけどね! 財力も文化も何もかも町を凌駕しているのは確かです。
そして馬車の中、執事マイラドは、ある衣装をスーツケースから取り出した。
”アカデミックローブ”だ。イーノーベお婆ちゃんから、もらった村で着ていたローブだ。もしかして、お婆ちゃんも学園に通っていたの? あまりの懐かしさに、馬車の中だからと言って、大声を出して泣いてしまった。だって、いろんな物が、ずっと心に引っかかっていたから。懐かしさと共に、一緒に…全部、吐き出してしまおう!!
行く先々で奇異な目で見られた黒いゴスロリワンピースともおさらばだ。ニヤリ。




