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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第三章 静かなる狂者の間引き
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尋問 中編

「そ、それは…。お婆ちゃんと同じ、王宮魔法使いのレーシアという若い男に聞いた。レーシアは、孤児だった私に魔法を教えてくれた。それにイーノーベの孫だとも教えてくれた。別れ際には、そこのベネツィオが、お婆ちゃんを育ててもらった恩も忘れて幽閉していると言っていた」


フィプスアローは、その場にいた者たちを制すると、話し始める。


「疑問だらけですね。まず王宮魔法使いにレーシアという人物はいない。次にイーノーベ様は未婚で子供すらいない。それにウーラがその男の話を完全に信じてしまいベネツィオ様を殺害しようとした理由がわからない」


「ち、違う!! わ、私は、こ、殺そうなんてしていない。ただ、少し脅しただけだ…。だって、そいつは…黒き死神というぐらい…強いって…。それがあんな弱い魔法で死にかけるなんて…」必死になって殺意を否定するウーラ。


「よ、弱いって! わ、わたしだって、魔法使いと戦うのなんて、初めてなのよ! あ、あんたなんか、一度、わたしに、殺されているんだからねっ!!!」キーッと発狂するわたしを、執事マイラドと村長バルベルデが宥める。


「えっ? こ、殺された??」


「はじめましての方もいるので、まずはご挨拶から。町の冒険者ギルドを管理しています、ジブリックと申します。ウーラの殺意に関しては、ギルド内の記録魔道具にて検証したところ、確かに初級の魔法を使って攻撃していましたが、急所に放ったため殺意ありと言わざるを得ないでしょう。またその直後、ベネツィオがテイムする魔物からの攻撃により、ウーラの心臓は破壊されていました。そしてウーラを蘇生させたのもベネツィオです。この事実により、ウーラへの処分は、冒険ギルド内でも二分されています。一つは、蘇生されても殺人罪または暗殺罪に相当するというもの。もう一つは、ベネツィオにより死という捌きが下されたというもの」


筋肉ムキムキのジブリックは、そこまで説明すると、またフィプスアローに進行を委ねた。


「先に私からも伝えさせてくれ。ウーラよ、イーノーベとは、もう何十年という付き合いだ。だが孫がいるなど一切聞いたこともない」村長バルベルデは冷たくウーラに言い放つ。


フィプスアローは、手枷/足枷/首輪をされたウーラの頭に手を乗せる。「やはり…魔法による意志の強制は感じられませんね。すると…」


「心理操作だ。ベネツィオ、お前が春から学園で学ぶ貴族の謀略・策略の手口の一つだ。よく覚えておきなさい。これは魔法で操られるよりたちが悪い。なぜなら本人の意志で行動するからだ。つまり本事件の責任は、口車に乗せたレーシアという男にはない。なぜなら証拠がないからだ。全責任はウーラにあるのだ」お父様はわたしに理解しやすいように説明した。


「そういうことだね。ではウーラの処分だけど。貴族の身内であるベネツィオへの攻撃は、殺人罪または暗殺罪が適用され、その中でも重い即処刑が相応しいだろう。ジブリックが言う通り刑が済んでいたとしても、侵入罪が適用される。侵入罪は国家転覆の足がかりとなるためとても重い罪だ。恐らく拷問に耐えられずウーラは死んでしまうだろう」フィプスアローは話をまとめる。


「嫌よっ! まだ死にたくないわっ!」ウーラは、声を荒げ助けを求める。


「ま、待って。それでは、王宮魔法使いのレーシアとの繋がりが消えてしまうわ。ウーラは生かしておくべきよ」とわたしは訴える。なぜだろう? とても可愛そうに見えたのだ。


「ベネツィオ。何度も言っておる。それが世のルールだ。諦めなさい」と村長バルベルデは肩に手を置く。


「奴隷法。つまり貴族に反旗を翻す者を見せしめのため、生かさず殺さずに、生涯にわたり苦痛を味わわせる法です。これはベネツィオ様とウーラに当てはまり、現王宮魔法使いフィプスアロー様ならば、決して破ることの出来ない奴隷魔法を実施できるのでは? さらにウーラを泳がせレーシアを誘い出すこともできると考えられますが、如何でしょうか?」執事マイラドの提案に一同は驚く。


執事であるマイラドは、いつもわたしのことを最大限に考慮してくれる。それがなぜだがわからないけど、大変ありがたい。

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