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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第三章 静かなる狂者の間引き
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尋問 前編

この事件は冒険ギルドでも重大な案件として扱われた。ギルド内において、許可のない魔法の使用であり、それも貴族の身内への攻撃だったことで、殺人罪または暗殺罪に相当するのだ。


また町の法でも、許可のない町への出入りは侵入罪が適用される。侵入罪は目的に関わらずかなり重い処罰が下される。市民権のない冒険者でさえ、きちんと身元を冒険者ギルドが保証するのだから。


オルベリックは頭を抱える。町の管理者であるヒルブレッド男爵からは、町の入門審査が甘いと指摘されると同時に、冒険者ギルドを通して、ウーラが主張していたイーノーベの孫娘という情報が、王宮魔法使いフィプスアローの耳に届いてしまい、早々に確認をしに来ると連絡があったのだ。一体何を確認しに来るというのだ?


肋骨が折れたわたしはしばらくベッドの上で生活することになった。ダンモフの新芽である治癒の力をイーノーベの孫娘ウーラに使ってしまったから。治療中の私を執事マイラドが呼びに来た。


「ベネツィオ様。襲撃の件、いろいろ複雑になってきています。現王宮魔法使い様がお見えになり、ウーラへの尋問が開始されるということですが、ウーラがベネツィオ様が来ないのであれば、黙秘すると宣言しておりまして…」


「わかりました。でも傷が痛むので、歩くにも時間がかかりますがよろしいでしょうか?」


「はい。一応、担架をご用意したしました。ただ馬車は揺れるので、我慢して頂くしか」


わたしは脂汗を額に滲ませながら骨折の痛みに耐え、町を収容施設に到着して、待たせていたお父様やその他の人に「このような格好で申し訳ございません」と挨拶をする。


「眉唾ものでしたが、ベネツィオ様が…本当に町に? なぜ?」現王宮魔法使いは訝しげな表情で、わたしをみる。


「あの…。何処かでお会いしたことが?」見たことない人物がわたしの名前を知っているのが気になる。


「失礼。わたしは、現王宮魔法使いフィプスアロー。あなたには直接お会いしていないが、何度かイーノーベ様のご自宅で、拝見したことがある。しかし…なぜ?」わたしと周囲を見渡し、フィプスアローは回答へ辿り着く。


「オルベリック卿、まさか? 組み入れ制度の適応を? よりによって…ベネツィオ様にっ!? なんということを…。火中に飛び込むとは…」


えっ!? 火中に飛び込む?? わたしって?? 


「王宮魔法使い様の見解では、何か問題でもあるのでしょうか?」 オルベリック卿は引き下がらない。


「いえ…。本件とは関係ありませんでしたね。さて、ウーラよ、約束通りベネツィオ様に来て頂いた。何か申し開きがあるのならば聞いてやろう」フィプスアローは、ウーラに問いただす。


「なぜだ? お婆ちゃんが行方知れずだと言うのに、なぜ探しに行かないっ!?」とウーラは叫ぶ。


その問いに答えたのは、遅れてきた村長バルベルデだった。前にわたしに言ったことと同じ説明をする。世界は広く町に出入りもままならないと。


「その通りだ。ウーラと言ったな。現にお前は、”侵入罪”で裁かれる。とても重い罪だ」オルベリックに指摘され、ウーラは視線を床に落とした。


「今度は、わたしに質問させて下さい。あなたは、あのとき”幽閉”していると言った。何か、お婆ちゃんの居場所について、気付いていることがあるの?」


「そ、そんなものはない」視線を逸したまま答える。


「そろそろ、本題に入りますか? ウーラ、あなたは、どのようにして、イーノーベ様やベネツィオ様の情報を得たのですか?」フィプスアローの眼は冷たく鋭さを増したのだった。

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