イーノーベの孫娘
エレストが隣町に婿入りしたのを知ったのは、それから三日後のことだった。エレストめっ!
怒りと悲しみが織り交ざるベッドの中、わたしはシーシーに、一応注意する。
「メイドが丸裸で、添い寝することなんて無いと、エリッサお姉様から聞いて、もう随分と経ちますが、未だにシーシーは、それを続けているのですね? 正直言って、痴女になってしまいますよ?」
「だって…私…裸になるときだけが…村人に戻れるの…何にも束縛されない…この自由な状態が…本当の私なの…。ベネツィオお嬢様と呼ばない、このベッドの上、ここだけが、村なの…。駄目かしら…」
涙目になるシーシー。そうだった。痴女過ぎて忘れていたけど、シーシーは、まだ成人してない、たった9歳の女の子なんだ。わたしは馬鹿だ。自分のことだけで、精一杯になるなんて!!
裸のシーシーを抱き寄せると、シーシーの華奢で小さな体が腕の中に収まる。こんな小さい体で理不尽な情況を我慢しているって考えただけで…涙が止まらない…。「ごめんね。シーシー。こんな馬鹿なお姉さんで、ごめんね」
頬を赤らめるシーシーは、ベネツィオに見えないように、ぺろって舌を出すのだった。
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すっかり通い慣れた冒険者ギルド。そして受付嬢のマーファが笑顔で挨拶してくれた。
ランクも3まで上がった。週2だと、ランクを上げるための回数が足かせとなってしまうのだ。それでもメタフォやうさ角が楽しそうに、ダンジョン内を探索しているので良いかなと思ってしまう。
「今日も、北西の岩場のダンジョンのクエストがありますが、どうしますか?」
「はい。お願いします」といつものように答える。
「では、気を付けて行ってらっしゃい」受付嬢のマーファが言うと、ギルドのあちらこちらから、「いってら〜」と声がする。
そんな雰囲気が好き。今日も頑張ろう! と思ったその時。
「あなたがベネツィオね?」と一人の魔法使い風の女の子が立ちはだかる。
「えっと…どなたかしら?」
「わたしは、イーノーベの孫娘。ウーラよ。お婆ちゃんを何処に幽閉している? 白状しなさい!!」ウーラと名乗った女の子は、金属製の魔法の杖に魔力を込めると、わたしに向かって放った!
その魔力弾は、ダンモフシールドで防げたのだが、威力までは殺すことが出来ずに、冒険者ギルドの壁まで、吹き飛ばされてしまった。壁に体を強く打ち付けたため、息が出来ない…。
メタフォは主人の危機を察知して、本気モードに移行してしまった。鋼の針を躊躇なく、ウーラの心臓目掛けて、放ったのだ!! 心臓を貫かれたウーラは、心臓から大量の血を吹き出して倒れた。
「駄目…ダ、ダンモフ…そ、蘇生できる?」
「モプー…」と弱々しく返事をする。
魔法弾によるダメージを受けて歩けないダンモフを、うさ角がウーラの元まで運ぶ。触覚の新芽を心臓の傷口に当てると 新芽の生命力を主に流し込み始めた。
「ガハッ!!」とウーラが再び呼吸を始めたのを見届けて、わたしの意識は落ちてしまう。




