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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第三章 静かなる狂者の間引き
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丸出し姫と黒き死神

オルベリックは、重装備を着る時間を惜しんで、軽装備を指示する。


「ベネツィオ、お前も来い。準備を整えろ」とオルベリックの声がした。「お父様、わたしの用意はできています。いつでも行けます」ゴスロリ系の衣装に目を細めるが「そうか…」と何故か納得した。


椅子の下で大人しくしていた三匹の魔物を呼び出すと、オルベリックは自分の馬に乗れと言った。


町の北門付近。刈り取った牧草の搬入が遅れていたため、日が沈んでも門が開いていたため、豚者の侵入を許してしまったのだ。豚者とは、二足歩行する豚である。ベースは豚、特徴は人だ。


「ブヒィィィ!!!!」ただの棒きれを振り上げ、町の人たちを襲っていた。


「おかあさぁぁぁぁんっ!!」と今にも棒きれで叩き潰されそうな小さな男の子を、騎乗するオルベリックの馬の上で見つけた。「メタフォ!」とわたしが叫ぶと、メタフォの鋼の針が、豚者の頭を貫く。


わたしは、小回りの効かない馬から飛び降りると、うさ角とメタフォを左右に展開させ、自身は北門へと急ぐ。


はっ!? し、しまった…。短剣は…。ゴスロリワンピースの内側…。取り出す時は、パンチラならぬ、丸出しっ!? うっ…。どうしよう…。


「ごめんください〜」と近くにあった家に入る。すると、そこでは豚者が、民家の住人を襲っているではありませんか!! バッサっと丸出しにした後、短剣を抜く。「き、貴様…ゆるさんぞっ!!」と涙目で、豚者を切り刻む。


この衝撃的なシーンは。住人の心に熱く刻まれるのであった。そして、その武勇伝を称えるため住人は吟遊詩人となり、世界を巡り歌い続ける。その歌の名は、”丸出し姫”という。


涙目のベネツィオと二匹の魔物が合流した。北門はほぼ豚者に制圧され、騎士団と冒険者たちは徐々に撤退を余儀なくされていた。


エレストが魔物に囲まれていた。ハーブスルが頭から血を流し、ボンディスが庇っている。その三人の敵を蹴散らすためにも!


「突っ込むよっ! ダンモフはシールド展開。メタフォは頭に乗って背後からの敵をお願い。うさ角行くよっ!!」


一つの塊が、豚者の集団に突っ込む。次々とドロップアイテムになる中心の仲間たち。何が起きているのか? まるで中心に竜巻の魔法が顕現したようだった。


ダンモフのモフモフが紐状になり豚者の移動を阻害するため、少女を認識しても近づくことができない。豚者は悟っていた。真に恐ろしいのは、少女の背後を攻撃している何かだ。一定の間合いに入った刹那、瞬殺されるのだ。また少女に一定以上の豚者が襲わないよう、あのうさぎが敵の量を調整しているのだ。馬鹿な…この乱戦で、そんな芸当ができるものかっ!!


「どけっ! 俺がヤル!! ブヒィィィッッ」と一際大きい豚者が巨大な倒木を手に、ベネツィオ前に立ちはだかる。


「「「ベネツィオっ!!」」」オルベリック、 長男のエリック、次男のエイブラは、その絶望的な光景を見て叫ぶ。


巨大な倒木がベネツィオに振り下ろされる! だが、またしても短剣が優しく巨大な倒木にタッチする、するりとベネツィオの脇の地面にめり込み止まった。ニヤッと笑うベネツィオは、豚者の心臓を短剣で貫く。しかし豚者の分厚い胸の筋肉が短剣を拒み心臓に到達できなかった。


今度は豚者が笑う。ベネツィオの首を左手で掴み力を込める。ベネツィオは顔を歪めた。しかし左腕と共に、ベネツィオは地面に着地する。メタフォが豚者の左腕を切断したのだ。絶叫する豚者の心臓目掛け、うさ角が突進すると、光焔角を突き刺し、火炎で心臓を焼き尽くした。


ボス的な存在であったのだろう一際大きい豚者が倒されると、残りの豚者たちは、蜘蛛の子を散らすように、何処かへ消えてしまった。


「すげぇ!!」「何者だ!?」「何だよ、あの衣装は…」騎士や冒険者たちが騒ぎ出した。


黒のゴスロリワンピース姿…。黒き死神ベネツィオの名が生まれた瞬間でもあった。

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