リーゼハル家
屋敷で生活しているのに、リーゼハル家の誰とも合わないな? と思っていたのだが、疑問が解けた。わたしがいた屋敷は離れで、本当の屋敷は、隣の大きな屋敷だった。うん、エレストの屋敷と同じぐらいの大きさだ。シーシーは、当然知っていたのだが、「あれ? 言ってませんでしたっけ?」とのこと。
わたしは一人、テーブルに座る。この位置で良いんだよね? ね? マイラドに確認する。あう…。緊張するな…。そんなわたしとは逆に、シーシーは、なぜか堂々としていた。「なんで? シーシーは緊張しないの?」質問すると、「だって…もう何度も、お会いしたことありますから…」だって…。シーシー…それ、そういうのは、ベッドで報告するのっ!!
オルベリックが、家族を連れ入ってきた。わたしは立ち上がり出迎える。
「順番に、妻のエリル。長男のエリック、次男のエイブラ、長女のエリッサだ」
はっ? えっと、エ、エ? 全員、エっ? 一言二言、会話を交わし挨拶が終了する。
全員が着席すると、それぞれの給仕たちが動き始める。うんうん、シーシーも頑張れ!
運ばれてきたものを見て愕然とする。こ、これは…シーシー味コース…。一口目は毒味として、給仕たちが食べる…。いよいよ…シーシー味か…。しかし?? 全員が自分で食べ始める? はい? どういうこと?? 頭が真っ白になる中、長男のエリックが話しかけてきました。
「ベネツィオ、生活にはなれたかな?」
「はい。ですが貴族に関しては、まだお時間がかかるようです」
「まぁ、それは仕方がないことだ。それより騎士たちの間では、ベネツィオの剣術の噂でもちきりだ。もう紹介も済んだことだし、修練場に顔をだしたらいい」
少し考えたあと答える。
「そうですね。ハーブスルさんたちにも、きちんと謝罪しないといけませんし」
「まぁ、ベネツィオはよくて、なぜ私は修練場に行けないのですか?」とエリッサがふくれっ面になる。
スルーしても良いのだが…ここはきっちりと立場を理解していることをアピールするか…。
「エリッサお姉様。わたしは、戦う道具として、リーゼハル家の養女に召し上げられました。エリッサお姉様と、わたしでは、それぞれリーゼハル家に役立つ場が異なります。エリッサお姉様の美しい肌に怪我一つされただけでも、リーゼハル家にとっては、大損失なのですよ」
自分の立場、お姉様の癇癪をよいしょで止めること、リーゼハル家の損得を考えていること、どうだ? 褒めてくれ!!!
「そ、そうなんですね…。それぞれの立場…。妹がしっかりと先のことを考えているのに、姉として失格ですね。エリックお兄様、我儘を言って申し訳ございませんでした」
エリックが驚く。うん。多分いつもなら、ギャーギャーと喧嘩が始まっていたのだろう。
お父様もお母様も、これには満足そうな顔をしていた。
オルベリックか…お父様と呼ぶのには、まだまだ心の整理が追いついてないな…。
こうして…最初の顔合わせは、つつがなく終わりを迎えようとしていたとき、慌ただしく一人の伝令が入ってきた。
「お食事中大変失礼いたします。オルベリック様っ!! 町の北に、豚者が押し寄せてきました。騎士たちと冒険者たちは、北門へ向かっております!!」




