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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第三章 静かなる狂者の間引き
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メタフォ、吠える!

メタフォと巨石魔神の間には900mぐらいの距離があり、メタフォから飛び出した2つの尻尾は、垂直に停止すると、扇が開くように360度展開して円を作る。その円は透明で、レンズのようだった。レンズの中には、大小様々な魔法陣が浮かんでは消えている。それらはメタフォの尻尾が小の反射板、中間に中型と大型のレンズを配置した構図となった。


「ワン!!」とメタフォが吠えると、”三日月の砂浜”全体が数秒暗闇となる。そう、メタフォの尻尾の小さな反射板が、太陽のエネルギーを全て奪ったのである。


「ワオォォォン!!!」尻尾が変形してできた小さな反射板から、放たれた太陽のエネルギーは、次の中型のレンズを通ると、何倍もの熱量を持ったエネルギーに変換された。そして最後の大型レンズを潜ったそれは…。”三日月の砂浜”の砂浜を削り取り、巨石魔神を一瞬で消滅させても、勢いは一切緩むこと無く、海を切り裂き、遥か沖で大爆発を起こす。その火柱は、雲を突き抜け何処までも高く昇っていくのだった。


ゴゴゴゴゴゴッ!!!!! 爆発の直後、大地震が”三日月の砂浜”が襲う。


「わ、わっ、た、立ってられない!」ニールが叫ぶと、「おい、沖を見ろ!! 巨大な津波だ!!」とグラセルも叫ぶ。


放たれたエネルギーによる大爆発が、海底火山の誘発させ、噴火が大地震を起こし、大地震が巨大津波を発生させたのだ。


「あ、あんた達、一体何者なのよっ!」砂浜に崩れ落ちた銀色のハーフプレートアーマーを着た女の子が睨む。


「えっ!? ただの村の女の子だけど?」涼しい顔で答えた。


魔法のローブを着た村の女の子に…剣で負けたのだ…。剣士でもない…魔法使いに、負けたのだ…。プライドが許さないっ!


「巫山戯ないで! ただの村人が、そんなに強いわけないじゃない!!」砂浜の砂を力一杯握る。


「えっ!? これで強いの? 笑わせないでよ。大人たちは、もっと強いわよ?」


わたしはハッタリをかました。きっと怖がらせた方が良いと思ったから。


「ベネツィオ! 早く、魔法陣へ!! 津波が来るぞ!!」グラセルがわたしの腕を引っ張り、無理やり魔法陣の中に押し込む。


「なっ! 転移魔法陣?? そ、そんな高度な魔法陣が…」気絶から目覚めた黒いローブを着た魔法使いの老人が驚く。


***** ***** ***** ***** ***** 


イーノーベの家の魔法陣から、出てきた5人は、「誰にも言うな?」と意見を一致させた。また呪いで口封じされるのも嫌だったし…。


「しかし、何だよ、あのデタラメな威力の魔法は?」グラセルが抗議する。


「し、知らないわよ…。あんなの初めてみたもん」とわたしは弁解する。


5人は、しれっと、イーノーベの家を出るのだった。


***** ***** ***** ***** ***** 


”十字路の鍾乳洞”に封印されていたメタフォの親。それは数百年前、神に近いと言われた魔物だ。その力を受け継ぐメタフォは、一国すら簡単に落とす魔物と進化していたのであった。


イフリアン王国内でも、この巨大地震と巨大津波は、海底火山の噴火が原因だろうと、有識者たちの意見が一致した。現に、メタフォの放った太陽エネルギーは、海底火山を誘発させ、噴火させたのだから…。


そして、ベネツィオたちは、海を渡った遥南にある大陸の連合軍の斥候隊を退けたのである。戻った三人は、口々にあの大陸の軍事力は計り知れない。決して手を出してはいけないと…。


この日、数千年後の歴史学者が、大発見する重要な歴史上の分岐点が生まれた。しかし、それがたった一人の少女が起こしたことだとは、誰も気が付かないのであった。


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