お婆ちゃんのいない村
この話から第三章です。
いつもさり気なく道を示してくれたイーノーベがいません。
ベネツィオは、独り立ち? いえ、ニールと幸せになれるのでしょうか?
嵐のように過ぎ去っていった三人の眷属たち。ベネツィオは、その会話の中で”何か”違和感を感じていた。
な、なんだろう? とても…大切で、大変なことが??
魔法を貰ったこと? > 違う。 支払いの命令のこと? > 違う。 ダンモフが眷属の力を使えたこと? > 違う。 眷属が増えたこと? > 違う。
”お前に会いに来たかったのだが、眷属狩りにずっと守られていたからな”
これだっ!! 守ってくれてたのは…きっと、いや、絶対にお婆ちゃんだ!!
じゃ…お婆ちゃんは!?
ベネツィオは、イーノーベの家から飛び出すと全力で走る。途中、慌てすぎて、何度も転んでしまった。余計に時間かかる。1秒でも時間が勿体無いと言うのに!! 村長バルベルデのもとに駆け付けると、「お父さん! お婆ちゃんが! きっと、大変なことに!! た、助けに行かないと!!!」
「落ち着きなさい。ベネツィオ。一体どうしたのだ?」
ベネツィオは眷属から聞いた話を、村長バルベルデにする。そして導き出した答えも…。
「行かないと! お婆ちゃんがっ!!」
半狂乱で泣き叫ぶベネツィオを押さえつけ、村長バルベルデが叱る。
「何処へ行くというのじゃ? イーノーベは、元王宮魔法使い。お前が知る世界の何十倍と広い世界を移動できるのだ。お前が知っているのは、この村と町だけだろうに! それに町にさえ入ることが出来ぬお前が、何処を探すというのだ! イーノーベを信じて待つのだ。お前が、”忘れられた地下大迷宮”で消えてしまった時、イーノーベが待っていたように…」
ぎゅっと、泣きじゃくるベネツィオを抱きしめ、バルベルデは天を仰ぐ。
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ベネツィオは、村長バルベルデの家にある自室のベッドの上にいた。”忘れられた地下大迷宮”、”十字路の鍾乳洞”から脱出できた自分は、何でもできると思っていた。でも、たった一人の人間を探すことも、探しに行くこともできない無力な自分を許すことが出来なかった。
はっ! 眷属の力を使えば…。
「ダンモフっ!」とダンモフに期待するが、「モプー、モプー」と拒否されてしまった。
そういえば、渦の眷属は、なぜにわたしに会いに来たのだろう?
わからないことだらけだ。
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お婆ちゃんの消息がわからぬまま、夏も終わりを迎えようとしていた。そしてバルベルデは、夕食の後、わたしに告げる。
「お前は、正式にというか、なんというか、村の人間になった。ニールと結婚できることになったぞ」
それはとある血筋から、いらない子として、認定されたということだ。まぁ、わたしの望み通りの結果だ。何も問題はない。
こうして、お婆ちゃんがいない村で、わたしの結婚式の準備が始まったのだ。




