三人の眷属 前編
元王宮魔法使いイーノーべは、村の西、”青い湖”にある見えない浮島の見えない屋敷にいた。混沌と陰謀が渦巻く王宮で行われているナニカに気が付いたイーノーべは、自身の命も間もなく尽きると感じていた。
「せめて、あの子を…眷属の代価から守ってあげたかったのだがね…」
イーノーベは、指先から何もない空間に、はっきりとした波動の渦を作り出し指を天に向けた。その渦は、屋根を突き破り、村の方角へ消え去った。
現王宮魔法使いフィプスアローは、霧の中から現れると、微笑みながらイーノーベを拘束して言った。
「イーノーベ様は、本当にベネツィオ様を愛しておられるのですね」
「フィプスアローか。まさか、お前が…」
現王宮魔法使いフィプスアローは、わざわざ一度王宮へ帰り、王宮でイーノーベ殺しの容疑者にならぬよう王宮貴族たちへアリバイを作った。またこのことで、イーノーベの意識から遠ざかり油断を付いたのだ。そして、イーノーべは、闇に葬られる。
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ベネツィオは、”忘れられた地下大迷宮”に行くため、イーノーベの家に来ていた。
「う〜ん…。今日もお婆ちゃんは帰ってきていないのか…。寂しいな…」
ボフっと灰が撒き散らされ、一人の? 悪魔が現れた。
「ようっ! 人間、久しぶりだな!」ちょっと背が高い悪魔。髪は、烏の濡れ羽色で、腰まで伸びていた。全裸で氷のように白く体温を感じさせない。
「うん? お前、何か、変わったな? 背が縮んだ? あれ? 女だっけ?」
「あ、悪魔さん、お久しぶりです。えっ!? 悪魔さんが来たということは、わ、わたし…何か悪いことした? た、食べられちゃうの?」
心のスキル”命の達観”が発動し、食べられることを受け入れる。お婆ちゃん。ごめんなさい。わたし…悪魔さんに食べられて死にます…。
「おいおい…ちょっと、待って!」と悪魔が慌てていると、ピカッ!!! と家の中が明るくなり、光の妖精が現れる。光の妖精は、全体的に黄色なのだが、発光していて顔の輪郭とかわかりづらいのです。
「えっと…は、はじめまして…ひ、光の眷属です。あ、灰の眷属…。あ、あんた…な、何しているのよ?」
「お前こそ、何しに来やがった?」と悪魔こと、灰の眷属が光の眷属を睨む。
「な、何って…。わ、私は、こ、この子の眷属だから…」ドンと灰色の眷属の肩を押す。
「はっ!? お、俺だって、こいつの眷属だぞ?」
「ちょ、ちょっと、お二人とも喧嘩しないで!! 光の眷属と灰の眷属なの?」
「「うん!」」光の眷属と灰の眷属はハモる。
「えっと、二人共、わたしの眷属みたいです…」
「「はっ!?」」光の眷属と灰の眷属はまたハモる。




