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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第二章 幼女テイマーの発芽
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遠い何処かのお話

元王宮魔法使いイーノーベは、”忘れられた地下大迷宮”に、現王宮魔法使いフィプスアローと、 ベネツィオが落とされたという王部屋を調査していた。


「崩れた形跡が全くありませんね」現王宮魔法使いフィプスアローは訝しげな表情で床を叩いていた。


「ベネツィオは嘘を付かないからのぉ。しかし…ここまで露骨で強引な手段を使って、ベネツィオを暗殺するもんかねぇ…」


「まさか、ベネツィオが生きて戻ってくるとは想像もしなかったのでしょう。イーノーベ様でさえ、”十字路の鍾乳洞”に落ちたなど考えもしなかった…。通常では、”忘れられた地下大迷宮”の特性である、人間も魔物に倒されれば、ドロップアイテムに変わってしまう…。このルールの先入観を利用して、知識がある魔法使いを騙したのでしょう」


「となると…。犯人は、上層のダンジョンマスターで、決定でしょう…」


***** ***** ***** ***** ***** 


イフリアン王国の宮殿内では、王家の血筋、特に王位継承権を持つ者、またそれを支持する者たちが、慌ただしく浅はかな知略で、お互いを騙し合い、下らぬ謀略を張り巡らせていた。


現、第十三代国王イプリクラが暗殺されたのだ。その手口も犯人も何もわからぬ情況で、王位継承権のある王弟ブリタルアに、王を継がせるのは如何なものかと、荒れに荒れていた。


イフリアン王国の王位継承権は、王弟ブリタルア、王女リリーナ(7歳)、ミラージェルの連れ子であるガイゼリス殿下(16歳)、王弟ブリタルアとミラージェルの子であるイージック(4歳)の順位である。またイプリクラ王の王妃アルスースは、王女リリーナを産んだ際に亡くなっており、イプリクラ王は家臣から第二王妃を進められても頑として拒んていたため、王女リリーナだけが実子であった。ちなみに王弟ブリタルアの妻には王位継承権はない。


王弟ブリタルア自身、王への憧れもなければ、権力などに興味もなかった。それが仇となったのだ。自由奔放で天真爛漫な性格は、権力争いする貴族たちにとって邪魔以外の何物でもなかった。計画を立てれば潰され、思いもよらぬ不意打ちのような政策を王に進言し、民衆の人気は絶大であった。また兄の第十三代国王イプリクラとは、付け入る隙のない親密さで、まさに完全無欠であった。


そこに暗殺事件が起き、不支持派の貴族たちにとって、完全無欠の王弟ブリタルアを陥れる絶好の機会が訪れたのである。


しかし不支持派の貴族たちを従え、誰よりも素早くクリティカルな一手を打ったのが、王弟ブリタルアの第一夫人であるミラージェルであった。圧倒的な政権の手腕により、荒れる宮殿内をピタリと制圧し、完全なる統制の下、連れ子であるガイゼリス殿下を次期王とすることを、王弟ブリタルアに約束させるべく密談していた…。


「ふぅ…。ガイゼリスを王にか…」王弟ブリタルアには気づいていた。妻であるミラージェルが、兄イプリクラの暗殺の首謀者だと。だが確たる証拠はない…。そして、今、俺には…この国を統べる力が劇的に足りていない…。今までも、これから先も…。


「条件は2つだ」


「あら? 条件ですか? どのような?」潤いのある肌から余裕に満ちた表情を作る。


圧倒的に有利な立場のミラージェルが、その妻としての立場を守るならば…。


「一つ、ガイゼリスの妻を王女リリーナとすること、これで王家の血は絶えん」


「あなたの血は不要と?」


「あぁ、国に必要なのは、兄イプリクラ血だ」


「それで? もう一つの条件とは?」


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