家族会議
お父さん、マレカラート、アルジェリカの順に帰還の挨拶をする。夕食はとても豪華で、牛肉と果物だけだった鍾乳洞の生活と比べると、涙が出そうになった。
夕食が終わると、いよいよ”今後のことを話す”時間がやってきた。
「まず、この場でのことは、決して外に漏らしてはならん。家族の命、村の命に関わることだ。村を預かる我らが、村を危険に晒すなど、愚かでしか無いことを肝に銘じておけ」
村長バルベルデが全員を見回しながら言った。
「まずは問題が山積みだが、ベネツィオの結婚について認識の共有を図るべきか? 本来、結婚はアルジェリカの問題であるはずだったのだが…」
村長バルベルデの意見に同意したお婆ちゃんが口を開く。
「知っての通り、村では、成人式の終えた女は、決められた相手と結婚することになっておる。ベネツィオの場合は、テイマーとして魔物を貰った後に、女になった。これは偽りのない事実じゃが、女であることを隠していたのも事実だ。今年の成人式も、結婚式も、もう終わったことじゃ。ここまではいいな?
さて、ベネツィオの場合。とある血筋の子じゃ。そのお方が、ベネツィオに対して、どのような要求をしてくるかにより、こちらの対応が異なる。もしベネツィオを子として認めるならば、もうあちらの話になり、私達には手の出しようがないのじゃ。次に、ベネツィオを誰かと結婚させるならば、ベネツィオが持つ、さらなる問題を突きつけるつもりじゃ。それでも良いと言うならば、手の出しようがない。いらぬといえば、ベネツィオは村の子、村長の子となるのじゃ。
次に、村長の子になった場合、ベネツィオには2つの権利がある。決められた男と結婚するか、この村から出ていくかじゃ。村を出ていけば、町で経験した通り、ここに住む権利は破棄され、他の町へはいるのも困難じゃろう」
長い…。そして意味がよくわからない。
「お婆ちゃん? 町での結婚する場合は、”さらなる問題”ってのはいいの?」
「あぁ、”さらなる問題”ってのは、貴族や国家レベルで、どうこうできる問題じゃ、村人が手出しできる問題ではない。運任せじゃ」
はうっ!? そ、そんな重大な問題を、わたしが起こしてしまったの???
「イーノーベ。結婚の話は、村でも話題になっている。しかしベネツィオが、お国の機密に触れてしまい、お国の指示がない限り結婚は出来ないと、村人に発表しようと考えておる。まぁ、期限は半年というところか?」
「それで当分は時間が稼げるじゃろうし。あの方へ、ベネツィオの生存と結婚の確認をすれば良いじゃろう」
「あの…お婆ちゃん? わたしの結婚相手って誰なの?」
その質問に、村長バルベルデが、資料をペラペラとめくり答える。「お前と同い年のニールだ」
えっ!? あのニール…。
「じゃ、そのとある血筋っていう権力を明るみに出したら、好きな人と結婚できるの?」
「馬鹿タレ、証拠もなく、勝手に血筋を名乗れば、不敬罪で極刑じゃ。それに自分の将来は、親が決めるという、この世界の仕組みも町で学んで来てるだろうに」お婆ちゃんに怒られる。
「まだ半年の猶予があるが、ベネツィオは、覚悟する必要がある」と村長バルベルデが暗い表情で言った。




