お見舞いに来てくれて
「えっ!? なぜに?」
「馬鹿タレ、お前が裸で、三日月の砂浜に打ち上げられていたんじゃ。なぜ”忘れられた地下大迷宮”にいて、砂浜で助けられるんじゃ?」
「は、裸で!!!!! ノーっ!!!」
わたしが絶叫していたら、マレカラートを除いた同期全員が家に入ってきた。
「「「何だ、ベネツィオちゃん、元気じゃないか」」」とニール、シフォ、ギツァの三人は、連携しすぎてハモるようにまでなったのか? えっ!? そこじゃないっ! ベネツィオちゃん??
「おい、ベネツィオちゃんって、何だよ?」
「いいの、いいの。もう女の子だって、わかってるし。お前のおっぱい、でけぇーな、スイカみたいだったぞ」とマーゼが茶化す。
「おい、見たのか? メタフォ、殺せっ!!」とメタフォに命令する。
”ピシュッ!!”と鋼の針が、マーゼの頬をかすり、後ろの壁に突き刺さる。
「な、何も、見てません!!」と半泣きになるマーゼ。
「馬鹿タレ! おやめっ! みんなが助けてくれたんだ」とお婆ちゃんにまた拳骨を喰らう。
「えっ!? そうなの? あ、ありがとう…」
そして、朝食? をベッドの上で食べながら、”忘れられた地下大迷宮”での出来事を順番に話した。
するとイーノーベの顔が強張る。
「お待ちっ! 十字路の鍾乳洞の話は、決して口に出してはいけないよ…。国を滅ぼすかもしれない恐ろしい可能性を秘めているんだ。今から口封じの呪いをするよ、いいかい? 他人に漏らす前に絶命するからね。ベネツィオには聞きたいことがまだまだあるから、今はなしじゃ」
一気に楽しい雰囲気が、死の緊張へと…とんでもない展開になってきた。わたし以外の全員が口封じの呪いを済ませると、お婆ちゃんは言った。
「すまないね。でも、忘れておしまい。この呪いが発動することなんて無いんだ。気にする必要もないのじゃ。この老婆は、こう見えても、元王宮魔法使いなんじゃ。例え辞めたとしても、国を守る義務があるんじゃ。悪く思わんでくれ。あっ、このことも口封じせんとだめかのぉ?」
全員がブルブルと顔を横に振った。
「でも、そこの話が駄目だと、話すことがないじゃない? 皆の話を聞かせてよ」
わたしがいなくなった後、マレカラートが、親がいなかったり収入が少ない家族たちを助けるため。食費を浮かすために食堂を作ったこと。暖を取れるように薪をボランティアで集めていたこと、病気などの治療を無料でできるようにしたことなどを話してくれた。その手伝いをするためグラセル、ニール、シフォ、ギツァ、マーゼの五人で狩りを始めたことなど。
すごい、みんな頑張ってるんだね。
「他には、グラセルは、年上で戦いに慣れていない人たちへ、戦いの講習を開いたりしているんだよ」とマーゼが付け足した。
尽きることのない話。でも日が暮れ始めるとお婆ちゃんが言った。「これから、村長の家で、今後のことを話し合うことになったよ。ベネツィオ歩けるかい?」
「なら、俺がおぶって運んでやるよ」グラセルが言うと、「おいおい、おっぱいが…」またマーゼが茶化そうとするが、わたしがチラリと睨むと黙り込んだ。




