村の同期たち
翌朝、お婆ちゃんの家を訪ねてきたのは、同期であり同年代全員だった。護衛役でありテイマーのオーゼンさんが亡くなったため、村でテイマーを教えられる人物がいなくなったのだ。
「やれやれ、テイマーってのは、教えられるもんじゃない。自分で考えるもんさ。だから、お前らには、戦い方ってやつを、少しだけ教えてやるさ。後は、自分たちでどうにかしな」
魔法陣に乗り、姿を消したお婆ちゃんに、驚く男の子たち。
「さぁ、どんどん魔法陣に乗って、待たせると、お婆ちゃんの機嫌が悪くなる」
男の子たちが、次々と魔法陣に乗って消えていく。最後に残ったのは、虐げられていたときに、唯一、優しくしてくれたニールだった。
「やぁ、ニールも訓練を?」
「うん、戦うのは苦手だけど。お父さんに、来年、来る鮭熊討伐には、俺達の力も必要だから習ってこいって言われた」
「そうか。じゃ、行こうか。魔法陣に乗って」
魔法陣に転移すると、お婆ちゃんは開口一番に「遅い、何をしていたんだい?」と愚痴る。
「海猿を魔物無しで倒せるようになるのが目標だよ。ベネツィオ、手本を見せておやり。ただし、わたしがいいと言うまで、攻撃は禁止。いいね」
はい? と思ったけど、機嫌が悪いお婆ちゃんに何を言っても無駄だ。短剣を抜き、海猿と対峙する。
海猿の攻撃は直線的で避けやすい。フェイントも目線でバレバレだ。足と短剣を使い完全に海猿の攻撃を封じていた。
「す、すごい…。まるで剣士みたいだ」ニールは別人のようなベネツィオに驚愕した。
「何だよ? ベネツィオが強いのか? 海猿が弱いのか?」戦闘経験のないグラセルは戸惑う。
「何言ってんだよ。ベネツィオは、盗賊の首領を殺しだんだぜ?」マレカラートはまるで自分の手柄のように自慢した。
「ま、まじかよ…」マーゼは決して軽い気持ちではなかったのだが、自分にあのような芸当ができるとは思えなかった。
そんな子供たちの感想を聞いて、イーノーベは、しっかりと稽古の注意点などを示す。
「簡単そうに見えるけど、勘違いするな。海猿の攻撃は早く強い。当たれば即死する可能性が高い。また足場は砂だ。足を取られたら最後だと思いな。お前らは、まずは盾と剣でしっかりと防御することを学ぶのさ」
言い出しっぺのマーゼが、剣と盾を持ち、海猿の攻撃を受ける。腰が引けて、海猿の強打を受けきれずに、盾が弾かれた。次の攻撃に対して、全くの無防備となったマーゼは、目を瞑り死を覚悟した。
キンッ! わたしは海猿の攻撃を短剣で受け止め、海猿を蹴り飛ばすと、マーゼを引き起こし退却する。最後は、マレカラートだ。流石にマレカラートは、剣と盾の基本が出来ていた。海猿にも対等に渡り合うことが出来ていた。
午前は訓練、午後は狩りというスケジュールだ。三日月の砂浜には、海猿よりも弱い魔物が沢山いる。それらをバランス良く狩り、ドロップアイテムとお金を集める。それらは経済的に厳しい家庭の子に与えられたが、特に不公平を申し出る者はいなかった。
真冬の厳しい海風の中、誰一人として欠けること無く、毎日訓練は続いた。




