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村で再会

蜂蟻の出現場所であるドーム型の部屋の真横を通るため、エレストも冒険者たちも、少し緊張していた。わたしも左腕にダンモフを、右手には短剣を持ち、うさ角を出撃態勢で待機させる。


「いくぞっ!」と別の冒険者が号令を出す。御者は戦闘経験がないため、代わりに狩人のシジさんが馬を操る。御者さんは、わたしと同じく幌馬車の中だ。


入り口からドーム型の部屋までは半日かかる。遺跡のトンネル内は、馬でも歩行者と同じ速度で進むのだ。


ちょっと短剣を持つのは早かったな…。と短剣をしまって、うさ角を膝の上に乗せる。それからだいぶ時間が経ったころ、御者役の狩人のシジさんが前から、「そろそろドーム型の部屋らしいぞ、一応警戒しておいてくれ」緊張感がまるで無いわたしたちに報告する。


わずかに戦いの音が聞こえるが、わたしたちの馬車は、ドーム型の部屋の横を過ぎ去っていく。「これからは、他の冒険者からの保護も支援もない。今以上に警戒してくれ」戦士のヨルゼルさんから指示が出る。


そして遺跡のトンネルと抜け、凍てつく山脈の麓に出ると、夏が終わり秋になろうとしていた。空気の匂いも別物になった。あぁ…帰って来たんだなと、緊張が緩み泣きそうになる。


盗賊からも魔物たちからも襲撃は受けずに、予定通りに村に到着した。村の門で守衛に小さな声で「貴族様に護衛して頂いています。すぐに入れないと大問題に発展します」と告げると、大慌てで守衛は開門した。もう一人の守衛は、村長バルベルデに連絡を入れるため、大慌てで村長の家に走っていった。


村長バルベルデは、エレストと冒険者たちを、細心の注意を払ってもてなす。アルジェリカは勿論、大喜びで出迎えてくれた。不思議だがマレカラートまでも、わたしに対する態度が違っていた。


イーノーベお婆ちゃんも呼ばれ、その夜は村にいたころには、見たこともないご馳走がならんだ。


夕食が終わり、それぞれが部屋に帰ると、わたしもお婆ちゃんの家に戻ろうと思った。


「お兄様、少しお話が…」とアルジェリカがマレカラートとを連れて話しかけてきた。


「わしは、先に帰ってるぞ、ゆっくり話をしなさい…」とお婆ちゃんは先に帰ってしまった。


初めて入るマレカラートの部屋は、わたしの部屋よりも調度品が少なく感じた。


マレカラートは、わたしが命を助けてくれたことに感謝を示し、今までの態度を真摯に謝罪した。


アルジェリカは、村長バルベルデとわたしの確執は、ほんの些細なスレ違いから起きていることを話した。考えてみれば、アルジェリカが、村長バルベルデの話を出す度に、聞く耳もたないとばかりに、一切の話を聞いていなかったな…。


村長バルベルデは、何度も何度も、わたしとの仲を修復しようと努力していたらしい。そんな様子を息子のマレカラートは、気に入らなかったと言う。「だって、いつも実の息子の俺よりも、お前のことを気にかけているんだ。正直、辛かった」と本音を言われ、わたしに原因があったことを初めて知った。


「ありがとう…。マレカラート、アルジェリカ。村長と話してみるよ。でも、これからも、お婆ちゃんと住みたい。お婆ちゃんに沢山のことを教わりたいんだ。これからは、なるべく顔を出すから…」


わたしは、二人と別れると、村長バルベルデの部屋を訪ねた。村長バルベルデは、快く迎え入れてくれた。マレカラートとアルジェリカに言った通りだ。今までの非礼を詫て、旅の道中のことを報告しながら、町長からの書類一式を渡し、正式にブリッドさんやオーゼンさんが亡くなったことを伝えた。

その後、今後の村での生活を二人で話し合った。「また来るね、お父さん」と部屋から出ていく。


なんだか、数年間が、とても馬鹿らしく感じてしまう。でもイーノーベお婆ちゃんと出会えたんだ。悪いことばかりではない。わたしは、最後に、エレストの部屋をノックする。


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