村に帰ろう
幌馬車の中には、エレストとシリギデン家専属の冒険者たちがいた。冒険者は、戦士のヨルゼルさん。魔法使いのエビリさん、狩人のシジさんの三人組だ。同じ町の出身で幼少期からの知り合いらしい。
蜂蟻討伐隊の冒険者たちと合流して、村への長い旅が始まる。
馬車に揺られながら、テイマーとして魔物を得てから沢山の考え方を学んだなと思い返す。
武力が強いだけでは生きていけないこと。頭を使い戦いを避けること。卑怯な手を平気な顔で使ってくる大人たち。貴族との関わり方。人の命の重みと儚さ。
ブリッドさんやオーゼンさんが亡くなったあと、エレストのお母さんと楽しく過ごすように頑張った。二人の分も楽しまなくてはならないし、エレストのお母さんには二人のことで暗くなる私は理解できないだろうから。「こういうことでしょ?」とエレストに聞いたら、「う〜ん」とはっきりしない。
わたしはエレストが好きだ。一緒にいるだけで心臓が高鳴る。でもエレストは、シリギデン家のため、親の決めた女の子と結婚する。それが不幸なのか幸せなのかも、わたしにはわからないけど。だけど一緒にいる、このわずかな時間を大切にしたい。
兜と篭手を外しているエレストの手に触りたくて、躊躇している私の左手の動きを、向かいに座る魔法使いのエビリさんに見られてしまう。
「くっ…。若い、若すぎる…。お姉さんは見ていて辛いよ…」と泣き出してしまった。
「おいおい。エビリ、お前…また朝まで酒を飲んでいたな…。エレスト様、このことは…お母様に内緒にしておいて頂けないでしょうか…。久しぶりの酒で…つい…」
な、なんだ? お酒で酔っているのか? 大丈夫なのかな? この人たち…。
「ふっ。エビリの酒癖の悪さは、今も変わらずか…。懐かしいな」エレストは優しく微笑む。
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3日かけて遺跡のトンネル入り口まで来た。入り口には、冒険者たちの野営地が設営されていた。冒険者たちの情報によると、蜂蟻は尽きること無く、わたしの開けた穴から、湧き続けているらしい。穴を塞ぐ案も出たらしいが、何かの拍子で穴が再び開いたら大惨事になるため、撲滅することになったのだ。
「明日の予定だ。俺達は、討伐冒険者たちの最後尾に付かせてもらえるように話は通しておいた。一応、ドーム型の部屋には、常時数十名の冒険者たちがいて、交代で討伐を続けているらしい。遺跡のトンネルの安全は確保されているようだ」
戦士のヨルゼルさんは、メモを見ながらエレストに報告している。
わたし達は、明日に備えて早く寝ることにした。毛布に包まり横になると、融合したうさ角のステータスを確認する。
ベース:うさぎ、特徴:光焔角/足技/半妖精/羽、性格:慎重、生存率:レア
うわっ! 変化していた。羽は見た目でわかったけど 半妖精? 光焔角? なになに? 性格が臆病から慎重に変わっている!!
「うさ角、ごめんね。ちゃんと変化をわかってあげられなかった。もっとテイマーとしてしっかりするね」
「キュッ!!」と威勢よく鳴く。
うさ角は一番の成長株だねっ! よしよしと頭を撫でていると、メタフォが尻尾で太ももをくすぐってくる。もうっ! 気分屋め…メタフォの頭も撫でてやろうと手を延ばすのだが、パクっと噛みつかれてしまう。ぐぬぬ…。




