二人だけの凱旋
三ヶ月ぶりに帰ってきたヴィスコードの街。特に街は何も変わっていなかった。
「もっと感動すると思ってましたが…」と残念そうなクラリーネだった。
「ふふっ、とりあえず、冒険者ギルドに行こうか。それで、クエストの報告と報酬、それに買い取りをお願いしないと」
「報酬って言っても…ね。それよりポイントね」
ギルドに入ると、受付担当のリーズさんと目が合う。
「クラリーネさん!! フェレンツァさん!!」と大声を上げ、対応中の冒険者を放り出して、受付カウンターから駆け寄り、二人を抱きしめて大泣きした。
「凄く…心配したん…だからね。もう、会えないと…わぁぁっぁぁぁん…」
三人の周囲に人だかりが出来始める。
「おいおい、どうしたんだ?」「この子達が誘拐した盗賊ら解放されたんだとよ」「いや、リーズの生き別れた姉弟らしいぜ?」「違うぞ、無茶な遠征クエストから無事帰ってきたらしい…」
「リ、リーズさん、俺達…大丈夫だったから…」
「うん、ちょっと寄り道していただけだから…」
「うん? 目的地には行かなかったの? ううん。責めているわけじゃないの…。それで、よかったのよ。もう少し、仲間を集めて、強くなってからでも、遅くはないわ」とクラリーネと、フェレンツァの頭を撫でる。
「いや…。クエストの指定された素材は、持ってきたよ」
フェレンツァは、革袋から【スモールバイパーの牙】、【ゴールデンバットの羽】、【ウッドタイガーの糞】を出す。(ウッドタイガーの糞は、乾燥した固形物質なのだ)
「本当に行ったの?」と驚くリーズさん。しかし、初心者やFランクの冒険者には、それらが何処で手に入れられるか知る由もない。だが、ここは冒険者ギルドの一階。高ランクの冒険者たちは、その面白そうな見世物に野次馬として参加していたのだ。
「お前ら騙されるなよ。その3つの素材は、DランクやEランクの6人組の冒険者パーティで行くような場所だ。こんな小さな子供が行って帰ってこれる訳がない」とCランクパーティの一人が言った。
「どういうことだ?」「うん? どうせお坊ちゃんお嬢ちゃんのお遊びで、親にでも買ってもらったんだろ?」「あぁ、それで…品物が届くまで、家でオネンネしたたわけだ」「どうりで、三ヶ月も見なかったわけだな」
「はぁ…。本当に冒険者かよ…。採取した素材には、討伐者の名前が記録されるんだろ? 見てみれば、わかるだろ?」と、フェレンツァは呆れ顔で言った。ここで引っ込んでも良いことはない。言うべきことは、言う。しかも、それなりの態度で。
「それこそ意味がねーよ。お前ら、お坊ちゃんお嬢ちゃんなんだろ? だったら、パパのお金で、生きたまま捕まえてきた魔物を、お前らが…止めさせば、それで素材には、お前らの名前が記録されるからな」
「フェレンツァ…。こいつら…」と怒りだすクラリーネの腕を掴む。
「それじゃ、他の証拠を出すか。いでよ、ネコミ。解体した素材を持って来い」
ボフンッ!! 煙と共にネコミが出現した。
見たことがない魔物に冒険者たちは、警戒態勢を取るが、その猫の周囲には、トロールの牙、レイスの魂、ゴーレムのコア、オーガの角、トレントの枝など、Cランクや、Bランクの魔物たちの素材が並べられていたのだ。




