それぞれの選択
死神のデスサイズが…フェレンツァの胴体を斬り裂く。たった一撃を放ち、死神は黒い靄と共に消え去ったのだ。流石に一人の人間が…あのレベルの魔物を召喚することは無理だったのだろう。
「がはっ…」と衝撃を受けたフェレンツァ。しかし…フェレンツァは死ななかった。
「何故? デスを受けて…死なんのだ?」困惑するレグザルフ。そして初めて見せた隙だった。
「【毒針】、【剣羽】、【火球】、【凍結】、【雷槍】、【束縛】、【威圧】、【風圧】!!」持てる全てのスキルをレグザルフに放つ。
流石に至近距離から、全ての攻撃を避けることは出来ず、レグザルフは致命傷を負ってしまう。
「み、見事だ…。フェレンツァ…だが…」
そして…フェレンツァの意識は、そこで途絶えてしまう。
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フェレンツァが目を覚ますと、洞窟育ちのフェレンツァでも高級品だと理解できるぐらいに、何やらきらびやか装飾品で飾られた部屋で寝かされていた。
「ここは…」
「お目覚めになられましたか?」と清潔感溢れる白と黒の生地で作られた衣服を着た女性に声をかけられた。
「は、はい…。あの…。ここは? ペチカは? レグザルフは? 何処ですか?」
「はい。少々お待ちくださいませ…」と退室した女性は、片腕を失った老人を連れて戻ってきた。
「あなたは…」
「ふむ。覚えておるのか。わしは、第四王女の近衛兵にして隊長のプラハスと申す。その節は助かった。おかげで第四王女クラリーネ様に一切のお怪我はなかった」
「名はフェレンツァです。いえ…かつての…仲間が仕出かしたこと…です」
「お前は、奴を…仲間と認めるのか?」
「はい。レグザルフは、田舎育ちの俺に武術や生き方を師事したのです」
「そうか…。奴とお前が繋がっていると知れば…。お前の身柄を差し出せと言われかねんのだがな…。騎士団としての失態を隠蔽するため、国家反逆罪の犯人が欲しいのだ。国民誰もが見てわかりやすい結末が必要になるのだよ。それに…お前が…帝国の手先だとも思えんのじゃが…。奴が、帝国六黒剣の一人だと知っているかも疑問だ」
「帝国? 六黒剣?」
「うむ、やはり知らんか…。だが、それを含めて演技かも知れんと…言えるのだがな…」
フェレンツァは、レグザルフの教えでなくとも、今置かれている状況を考えれば、信頼など…程遠い立場なのだと、嫌でもわかった。
「あの…俺と…一緒にいた…女の子、ペチカという女の子を知りませんか?」
プラハスは、残された右腕で頭をかくと、覚悟を決めたように話しだした。
「ペチカという娘は、お前がレグザルフにとどめを刺そうとしたとき、後ろから…お前を斬りつけたのじゃ…」




