最後の昼食
季節は何度か変わり、オーク村を全滅させてた三人は、王都を目指していた。夕方には王都に着いてしまうだろう…。
「報酬も何も無しで、オーク村を壊滅させるとか、意味がないだろ?」とブツブツ文句を言うペチカ。
「言葉遣い。ペチカは、女らしくだ。ここのオーク村は、無人島にあり、人と干渉することもない。つまり討伐の有無に関わらず、今後の影響を考えなくても良いのだ。それに、最後の腕試しとしては、十分楽しめただろ?」
「そうですね。本当に…最後なんですね」と言葉遣いを改めたペチカが呟く。
レグザルフ・デスターと共に…辺境の地を中心に周った一年。
「あっという間だったな。王都に着いた後、レグザルフはどうするんだ?」とフェレンツァが尋ねた。
「あぁ、修行の旅が続くだけだ。今度は、もっとハードにな」
ペチカとフェレンツァは言葉に詰まる。レグザルフから学んだことは、どれを取っても、必ず…何も考えていなければ、躓く内容ばかりだったからだ。
信用から始まり、覚悟、裏切り、絶望などの心構え、戦闘、交渉、逃亡などの訓練、狩りと食事のみは教わらなかったが…。とても濃い一年だった。
王都に近いからか、街道の脇にある小さな池の前に、屋台が列んでいた。
「そこの三人組っ! ここで昼飯買っていかないかい? ここで食って休憩して、ゆっくり歩けば、ちょうど夕方には、王都に着くぞ? 夕方なら検問も空いているし、良いこと尽くめだぞ?」と、列んだ屋台から声がかかる。
「ペチカ、適当に買ってこい」と銀貨3枚ほどペチカに向かってレグザルフが投げる。
「銀貨3枚とか、最後だから遠慮しないっぞ?」
「言葉遣いに気をつけろ…。女らしくだ」
「はぁ〜い」
ペチカが選んだのは、オーク肉のハンバーガセットだった。三人列んで食べていると、近くの商人が声をかけてきた。
「あんたら、王都に向かってるのかい? なら、気を付けるんだよ。今朝、第四王女クラリーネ様が、商業都市ベルベランダに向けて、出発なさったという情報が入ってきた。街道で出くわしたら、なるべく早く、道を譲るんだぞ。貴族様達に妙な言いがかりを付けられたくないだろう?」
「うん、ありがとう」と営業スマイルでペチカがお礼を言った。
レグザルフは黒い鎧、フェレンツァはアカデミックローブ、ペチカはワンピース、三人はバラバラな格好をしていて、ちょっと目立つ存在だったので、注意してくれたのだろう。
「王女様って、見ればわかるのか?」とフェレンツァ。もう腰の低い話し方はしない。
「あぁ、間違いなく、立派な二頭立ての馬車に、騎士団が周囲を護衛しているんだろう。一目見れば、嫌でもわかるさ」と商人が笑いながら言った。
「王女様って、どんな人だろうね」とペチカが言うと、「馬車の中にいて、見ることはできないぞ?」とレグザルフが言った。
「えぇ…。それは…残念だなぁ…」




