ゴブリン討伐
やろうと思えば、人との接触を完全に断つことは可能だ。しかし、極少数の接触ならばと、フェレンツァたちは、僻地にある村に来ていた。
そこでフェレンツァは、ある選択肢を迫られていた。
事前に予想できる内容であり、ペチカと回答を用意していたのだ。そのやりとりを黙って見ていたレグザルフは、二人がどのような答えを出そうとも付き合うつもりでいた。
「つまりは、ゴブリンの集落を壊滅させて欲しいと?」
「はい。この村には…数人の狩人はおりますが、戦士と呼べるような者はおりませんのじゃ。奴等は、徐々に村の狩場を制圧しておりますのじゃ。そのうち、食料がなくなり弱ってたところを襲うつもりなのですじゃ」
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こんな話は、毎晩の講義で何度も出てきていた。
「こんな僻地までやって来れる冒険者だ。村人に戦闘能力が高く見られて当然だ。しかし、こちらは子供が二人、しかも一人は女の子だ。そんな年端もいかない子供に、何の関係もない村のために、命を賭けろと平気で言ってくる神経が信じられない。と、考えるべきである」レグザルフは言っていた。
「助ける力があっても? 余裕で救える力があっても?」
「フェレンツァ、それこそ、お前の良いところであり、悪いところでもある。その一戦は、確かに何かを救えるだろう。だからと言って、救った所で何になる? 過去に同様の事案があり、今まで対策していなかったかも知れない、それでは未来は? 暫定対応であり恒久対応ではない。理由はあるかも知れないし、無いかも知れない。その戦いを通して、お前の名が知れ渡る可能性もある」
「またレグザルフの答えの出ない話が始まりやがった」と呆れるペチカ。
「ふっ。だから考えるのだ。そのとき、お前たちはどうするのかと…」
「なぜ戦わないのか? その土地に固執する理由は? 領主に助けを求めたのか? 何故逃げない? 元からゴブリンが近づかないように見回っていたのか? 脅威に対する対策を考えていたか? こんな質問を、依頼してきた人に聞きたいんだよ。レグザルフは…。つまり、レグザルフは、お前らの怠慢のために、命を懸けてられっか! と、言いたいんだ」
パチパチパチと拍手するレグザルフ。「その通りだ」と満足げにペチカの頭を撫でた。
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そして、今、俺の回答は…。
「わかった。村を救ってやるよ。それなりの報酬はもらうぞ?」
レグザルフは、フェレンツァの物腰の柔らかさにダメ出しを出していた。本来ならば、実戦できれば良いのだが、人格が変わりかねないのでイメージトレーニングだけさせていたことがある。それは、親友を裏切ったり金を手に入れたり、恋人を残酷に殺すぐらいの修羅場をイメージさせていたのだ。そして、それを乗り越えられる男にならなければ駄目だと教えていたのだ。しかし、フェレンツァには、無理なことぐらいわかっているし、せめて口調を変えて、話の主導権を握り続けろとアドバイスしていた。
村長は、村の重鎮達を集め報酬を検討する。そして…。
提示された報酬は、3日分の食料、銀貨43枚、生娘2名(一晩限り)だった。
「生娘…」
今度はペチカが答えを出す番になった。




